2025年8月23日に能登半島、七尾市で開催されたフラワーアレンジメント教室の活動報告が届いたので、紹介させていただきます!毎週は現地まで行けないメンバーにとって、ここまでまとめてくださると本当にありがたいです!被災者さんへのインタビューもとても貴重な記録になります。ありがとうございました。フラワーアレンジメント教室活動報告2025年8月23日開催「季節の花をいけよう」能登半島地震から1年半。被災地ではいまも多くの方が仮設住宅での生活を続けています。そんな中、2024年6月から毎月1回続けてきたフラワーアレンジメント教室が、今回で14回目を迎えました。花とふれあう時間を通して、参加者の皆さんの心に少しずつ変化が生まれています。その様子をご紹介します。フラワーアレンジメント教室とは講師は華道師範の中村佳世さん。能登にボランティアとして訪れた際、「花を通して人と語り合える場所を作りたい」との想いから、この活動を始めました。使用する花は、規格外や売れ残ってしまいそうな、まだ綺麗なうちに廃棄されてしまう花、ロスフラワー®︎も使用しています。初回の方には花瓶をプレゼントし、2回目以降はご持参いただいています。中村さん▶「この活動は、参加された皆さんの心を癒し、笑顔を生むだけでなく、花の廃棄による環境負荷の軽減や花農家さんの活性化にもつながっています。教室が始まる30分前から並んでくださる方や、『もっと開催してほしい』と声を寄せてくださる方もいて、この時間を心待ちにしてくださっていることが、私自身の大きな原動力になっています。さらに、開催後には参加者の皆さんの声(人気の花や次回希望する花など)を農家さんに届けると、その声が反映され、また参加者の皆さんが喜んでくださる。そうした“嬉しい循環”が少しずつ広がり、花を中心にした優しいつながりが生まれています。」8月の教室風景 〜花と笑顔と音楽が響いた日〜この日の午前中は、七尾市・中島仮設住宅集会所で開催。30度を超える猛暑にもかかわらず、約15名の方々が足を運んでくださり、その多くが常連さんです。花瓶を抱えて『こんにちは〜』と笑顔で入って来られる姿に、会場は一気にあたたかい雰囲気に包まれました。先生と真っ先に言葉を交わす方、参加者同士で楽しそうに会話を始める方など、花をきっかけに自然と交流が生まれる、そんな和やかな光景が広がっていました。さらに今回は、特別ゲストとして佐賀県からボランティアに来られたじゅんこさんがウクレレ演奏をしてくださいました。花を自由に生け終えた会場に、心地よい音色と優しい歌声が響くと、皆さんは自然と体を揺らしたり、目を閉じて聴き入ったり――会場全体がやわらかな空気に包まれました。と思いきや、途中にはカラオケも飛び出し、笑顔と笑い声があふれる和気あいあいとした雰囲気もあり、外の暑さなんて忘れてしまうくらい楽しい時間を過ごしました。その中で、常連の岡本さんが「月に一度の楽しみなんです」と話してくださいました。インタビューより ――「このイベントに参加されたきっかけは?」岡本さん▶「昔からお花が大好きでしたが、地震が起きてから、花に向き合う気持ちを失っていました。そんな時にこのイベントのチラシを見て、すぐに予約したのが始まりです。」――「参加してみて、何か変化はありましたか?」岡本さん▶「最初は自分だけの楽しみでした。でも支援センターの協力で、人が集まる場所に花を飾らせてもらったら、これまで花に関心を示さなかった人たちが『花があると気持ちがいいね』と声をかけてくれるようになって。それが本当に嬉しかったんです。」画像:岡本さんの作品――「これからの教室に期待することや、先生へのリクエストがあれば教えてください。」岡本さん▶「できれば月に2回、もっと開催してほしいです!仮設住宅の殺風景なお部屋も、花があるだけで明るくなりますし、先生がとても優しいので、この時間が本当に癒しになっています。おかげで仮設住宅の風通しがよくなり、住んでいる人同士の会話も増えたように思います。あと私はバラが好きなので、次回はぜひバラをお願いしたいです。」画像:皆さんの作品(一部)岡本さんの言葉からは、花を通じて再び心が動き出し、そこから周りの人々へも温かい気持ちが伝わっていく様子が伝わりました。そして、他の皆さんからも「もっと来てほしい」という希望や、このフラワーアレンジメントの時間を心待ちにしている想いを強く感じました。午後は、七尾市中島町を中心とする地域住民の心のよりどころとなっている支援拠点「じんのび広場」にて開催。こちらでは、今回初めて参加された福田さんにお話を伺いました。インタビューより ――「このイベントに参加されたきっかけは?」福田さん▶「前に娘が教えてくれたことと、LINEのオープンチャットで案内を見て、今日初めて参加しました。」――「参加してみてどうでしたか?」福田さん▶「正直、今まで花に関心はあまりなくて……買うのはお供えの時くらいでした。でも今日、実際に花に触れてみたら香りがこんなに良いことに驚いて、癒されました。自分からはなかなか体験できない機会なので、またぜひ参加したいです。」画像:福田さんの作品福田さんは、地震当日のことについても話してくださいました。福田さん▶「この地域は大きな地震も台風もなく、まさか能登であんな地震が起きるとは思いませんでした。特にあの日は天気が良く、車庫にいた時にクルマが暴れだして……。その後も揺れが続いてパニックでしたが、なんとか避難できました。幸い電気は使えたので、自宅で避難生活を送っていました。」――「その後、特に困ったことは?」 福田さん▶「一番困ったのは水道が使えなかったことです。飲み水も、洗濯やお風呂、トイレに必要な生活用水も手に入りませんでした。備蓄もなく、お店も閉まっていて……。でもふと冷静になった時に、自動販売機を思い出して、水が買えたんです。その時は本当に安心したのを覚えています。」画像:水やりの方法などアドバイスをする先生福田さんのお話から、たとえ地震が少ない地域であっても過信せず、“自分事”として捉えること。そして、日常的にもしもに備えていくことの大切さを、改めて学びました。花とともに、心も復興していく岡本さんや福田さんをはじめ、参加者の多くの方が「花を通じて気持ちが変わった」とお話してくださいました。花を生けることは、ただの趣味や気晴らしではなく、被災地の暮らしに新しい喜びと人との交流を生み出しています。そしてその喜びは、農家さん、ボランティア、地域の方々へとつながり、少しずつ確かな“希望の循環”として広がり続け、心の復興を支える大切な時間となっています。現在、この活動を継続・発展させるため、クラウドファンディングに挑戦しています。皆様のご支援が、次の花を咲かせ、被災地にさらなる希望の循環を広げていきます。どうか引き続き、温かいご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。文:内舘綾子





