3日間で目標金額を達成することができました!
「旧つたや」をより良い形で再生するため、
ネクストゴール「250万円」を目指します!
皆様の暖かいご支援のおかげで、クラウドファンディング開始3日目にして、目標金額の150万円を達成することができました。
ご支援、応援をいただいた皆様に心より感謝を申し上げます。
本当にありがとうございます。
しかし、「旧つたや」は、比較的保存状態が良いものの、長年に渡り放置され続けてきたため、壁や天井が崩落している箇所があるなど、安全に使い続けるためにはまだまだ補修が必要な箇所がたくさんあります。雑貨店を開業予定のスペースも雨漏りの形跡が見られ、今後、予期せぬトラブルがあるかもしれません。それを防ぐためにも、目標金額をオーバーした資金の一部は、より丁寧な補修に充てたいと思っております。
また、熱海やまちの歴史を伝える資料室としての機能を充実させるため、書籍や古い資料の購入にも充てさせていただきたいと考えています。
それに加えて、現在、同じ中央町の町内で営業する老舗の商店や料理店、スナックなどにお声がけをして、熱海の夜の魅力を伝える店舗オリジナルグッズの開発を進めています。そちらも広がりを見せており、当初予定していた以上の費用が必要になると予想されます。
他にも、「旧つたや」の建物とテナントを紹介する公式ウェブサイトの構築や夜のまちを紹介するマップの作成なども計画しており、そのための資金とさせていただきたく思っております。
新たなリターンを追加しました!
今回のクラウドファンディングの終了まで、まだ1ヶ月を残しています。
その間、引き続きご支援を募りつつ、丁寧に開業準備を進めていきたいと思います。
開業前の10月17日(金)〜10月26日(日)の期間では、「旧つたや」再生のこけら落としとして、『GLOUND ATAMI』と題したアートイベントも開催されます。今回、それに関連した新たなリターンを追加しましたので、ぜひご支援をご検討いただければと思います。
それでは、9月30日まで、引き続き、ご支援、応援のほどよろしくお願いいたします!
2025年8月30日

はじめまして。熱海市にある『バーコマド』店主の髙須賀哲(たかすか てつ)と申します。この度は本プロジェクトに目を留めていただきありがとうございます。私は今回のクラウドファンディングを通して、熱海市に残る築70年の貴重な妓楼建築「旧つたや」を再生して、熱海の夜の活性化につなげたいと考えています。


私は、1978年生まれ、愛媛県松山市出身で、現在47歳になります。大学進学のために上京し、大学卒業後は出版社に入社して雑誌編集者として活動。10年前に独立して、現在はフリーランスの編集者・ライターとして仕事を続けています。
2017年には、結婚を機に20年間暮らした東京を離れ、新たな環境を求めて静岡県熱海市に移住しました。熱海市は観光地というイメージが強いですが、私は生活の場として大きな魅力を感じました。新幹線が通っているので都心へのアクセスも良く、取材などで出張に行くのにも便利。また、コンパクトなまちなので基本的に徒歩圏で生活が成り立つ一方、少し車で足を伸ばせば海と山、両方の自然を満喫できます。また、近年は子育て支援も充実しており、安心して子供を育てることができる環境が整っています。

移住した当初は、本業と子育てに専念するつもりでしたが、暮らしているうちに、地域で活動するさまざまな人々と知り合い、熱海生活は思わぬ広がりを見せることになります。編集・ライティングのスキルを活かしてイベントの企画・宣伝を手伝わせていただいたり、歴史ある地元の神事に参加させていただいたりするなど、地元の人たちに受け入れていただいたおかげで、さまざまなまちの活動に参加することができたのです。
熱海はただ暮らしているだけでも楽しいですが、まちに積極的に関わることでさらに楽しさが広がりました。熱海には、確かに都会にはないものがたくさんあります。人口も3万人程度で決してプレイヤーは多くないかもしれません。しかし、その分、自分が動くことで何かしら変化を生み出せる余地があるのです。そんな感覚を熱海に来て初めて味わいました。そして、いつの間にか、まちに主体的に関わっていきたいという気持ちが芽生えてきました。
*熱海移住に関して取材いただいた記事
熱海経済新聞 https://atami.keizai.biz/column/10/
中央町にある『バーコマド』の店内。内装にはできるだけ手を加えていない
『バーコマド』を始めたのは、ひょんなきっかけからでした。熱海で仲良くなった不動産屋を営む友人が、30年近くも空き家になっていた元バーの物件の存在を教えてくれたのです。案内されて物件の内部を見た私は、昭和の香りが色濃く残されたレトロな内装に一目惚れしてしまいました。
熱海でお店をやるつもりはまったく無かったうえに、当時、産まれたばかりの息子がいたため、迷いはありましたが、私は一念発起して妻を説得して開業を決意しました。私自身、熱海に移住してきた時に、地元の方々、移住者、観光客が混ざり合い、交流するお店に巡り会えたことで、スムーズに地域に溶け込むことができました。そのため、熱海という場所が好きで集まってきた人たちが、垣根なく集い、語り合うことで、地域に関わる人が増え、新たに楽しいことを生み出せる場所を作りたいという思いがあったのです。
*バーコマドを取材いただいた記事
熱海経済新聞 https://atami.keizai.biz/headline/477/
dancyu https://dancyu.jp/read/2023_00007212.html
メトロポリターナ http://metropolitana.tokyo/ja/archive/metropolitana245-special-04
※2025年5月27日放送の『マツコの知らない世界』の「熱海の世界」の回に出演し、熱海の魅力や熱海が抱える課題についてお話しさせていただきました。
『バーコマド』は開業から3年を迎えました。当初、思い描いていた、地元の方々、移住者、観光客が垣根なく交流できる場という理想像に徐々に近づいていると感じています。しかし、地域に根ざして商売を始めたからこそ気づく課題もありました。『バーコマド』がある中央町は、熱海の歓楽街の中心地であるにもかかわらず、夜は閑散としていることが多いのです。熱海は夜になると居酒屋やバー、スナックなど多くの魅力的な店にあかりが灯り、昼間とは違うまちの一面を知ることができます。夜の熱海を知れば、もっと熱海が楽しくなり、もっと熱海が好きになるはず。今回のプロジェクトは、そんな夜の熱海の魅力を多くの人に伝えることで、さらなるまちの活性化に繋げたいという思いからスタートしました。
夜も魅力的な熱海

プロジェクトの詳細に入る前に、熱海が抱える課題について説明させてください。
良質な温泉と風光明媚な景色に恵まれた日本有数の温泉観光地として知られる静岡県熱海市。かつては新婚旅行や社員旅行のメッカとして栄えましたが、バブル崩壊以降、観光客が激減して衰退の時期が長く続きます。しかし、近年、都会からのアクセスの良さや、独特のレトロなまち並み、スイーツや海鮮の店が注目を集め、宿泊客数がV字回復。年間300万人を超える観光客が訪れるようになり、駅周辺のアーケードや中心部の熱海銀座商店街周辺は若者を中心に多くの観光客で賑わっています。しかし、賑わいを見せる一方で、熱海はいくつもの課題を抱えています。日本の30年後とも言われる少子高齢化率、全国トップレベルの空き家率などは特に大きな課題となっていますが、私が「バーコマド」営むようになってから強く感じたのが次の2つの課題です。
●まちの賑わい格差
熱海のまちは、昼間は多くの観光客で賑わいを見せています。しかし、観光客の多くは駅前や熱海銀座通り商店街というメインストリート、そして海沿いに集中しており、少し中心部を離れると営業をやめてしまった店も多く、人通りはまばらになります。また、日が暮れるとまちの様相は大きく変わります。日中、人気店の前に列をなしていた人々の姿はどこかに消え、夜は閑散としています。駅前や熱海銀座は早めに閉店する店が多いということもありますが、スナックなどが立ち並ぶ歓楽街でさえ、GWや長期休暇などの繁忙期以外は閑散としていることが多いのです。最盛期の熱海では、多くの浴衣姿の観光客がそぞろ歩き、夜通し下駄の音が鳴り止まなかったといいます。V字回復を遂げたとはいえ、夜の景気は最盛期には遠く及びません。また、コロナ禍で外出や飲酒を控える人が増えた影響もまだ尾を引いています。
●まちの均質化とコミュニティの衰退
観光客に沸く熱海では、次々に新しい店がオープンしています。その一方で、住民の暮らしに根ざした小さな商店が姿を消していっています。また、歓楽街も高齢化による廃業などで灯りのともる店が少なくなり、かつての活気が失われつつあります。さらに、近年は海沿いのエリアで再開発の計画が持ち上がっており、昔ながらのまち並みが消えてしまうことが懸念されています。こうした状況が進めば、まちの個性が薄れていき、均質化したまちになってしまいます。そうすると地域の歴史に対する意識や住民同士の関係が希薄になり、コミュニティの衰退につながる可能性があります。
「まちの賑わい格差」と「まちの均質化とコミュニティの衰退」。この2つの課題解決の一助となるように、”日中だけでなく夜もまちに人の流れを作ること”、”まちの歴史と個性を伝える場を作り、魅力的なまちを維持すること”が今回のプロジェクトの目的です。

多くの観光客でにぎわう熱海のメインストリート、熱海銀座商店街。そのほど近くに糸川という川が流れています。1月~3月頃になると川の両側に植った早咲きの熱海桜が咲き乱れ、人々の目を楽しませます。今年、2025年にはそんな糸川を照らすライトアップがリニューアルされ、これまで以上にSNS映えするスポットとなり、多くの観光客でにぎわうようになりました。
そんな糸川に隣接する昔ながらの歓楽街である中央町では、町内の若手を中心に、ライトアップのリニューアルを機にまちに人を呼び込むための話し合いが行われていました。友楽町は高齢化に伴い、飲食店を廃業した後も住居として使用している物件が増え、夜になると灯りがともる店もまばらな通りもあります。そのため、川沿いが明るくなるほど、中央町の暗さが際立ってしまうことが懸念されたのです。
夜の中央町の街並み。営業していない店舗が多く、人影もまばらで薄暗い印象。
話し合いの中でイベントを開催するなどの方法も検討されましたが、人の流れを作るには、やはり町内に人を呼び寄せられるような拠点となる場所が必要だという意見も出てきました。その時、私の頭に、「旧つたや」の存在が頭に浮かびました。中央町の中心部にある築70年の貴重な建築でありながら大部分が空き家になっている「旧つたや」をうまく活用すれば、人が集まる場所になるのではないかと考えたのです。
しかし、ちょうどその頃、「旧つたや」の建物が売却されることになったのです。成り行きによっては、更地になってしまうかもしれない。私も含め地域の人たちは貴重な建築が失われることを心配していましたが、幸いにも新しいオーナーは建物の価値を理解したうえで保存活用することを望みました。
それから、管理を任された不動産会社やまちづくり会社が関わる形で「旧つたや」を再生するプロジェクトが始まりました。私は同じ町内で「旧つたや」と同じく築70年を超える建物をリノベーションした『バーコマド』を経営していたこともあり、プロジェクトチームに加わることになりました。

「まちの賑わい格差」と「まちの均質化とコミュニティの衰退」という課題を改善するための鍵となるのが歓楽街である中央町(旧町名・友楽町)の中心部にたたずむ築70年の古建築「旧つたや」です。壁面に「つたや」の屋号が残るこの建物は、現在では日本各地にわずかしか残っていない戦後の妓楼建築の様式が随所に見られ、かつて「糸川花街」としてにぎわった中央町の名残を色濃く伝えています。
中央町にたたずむ築70年の妓楼建築「つたや」。建物上部には屋号と蔦の葉のモチーフが残る
「旧つたや」は、中央町の一等地に建つにもかかわらず、長年、営業を続けるスナックが1軒あるのみで、建物の大部分は放置され廃墟状態になっていました。そのため、「旧つたや」をリノベーションして中央町に人を呼び込む新たな拠点を作り、希少な建築を保存・有効活用しつつ、熱海の夜の活性化につなげたいと考えています。
「旧つたや」再生のための第一歩が、1階スペースでの「つたや雑貨店(仮)」の開業です。
熱海には老舗の喫茶店や居酒屋、バーなど魅力的なお店がたくさんあります。近年は、若者に人気の個性的なスイーツを提供する店や、海沿いの温泉街らしく海鮮を楽しめる店も次々にできています。しかし、飲食店は充実しているものの、それ以外のコンテンツが乏しいのが実情です。観光に来た人がゆっくり過ごせる場所、熱海らしいカルチャーを発信している場所は数えるほどしかありません。特に夕方以降は飲食店以外に居場所はほとんどなくなってしまいます。そこで、「旧つたや」は、個性的なテナントを集めて、これまで熱海になかったコンテンツを提供することで、観光で来た人も地元の人も楽しめるようなスペースにすることを目指しています。その第一歩として、オープンするのが「つたや雑貨店」です。
「つたや雑貨店」は、夜に営業する雑貨店として、幅広い年代の観光客の方々に熱海の夜に興味を持ってもらえるようなオリジナルグッズ等を販売するとともに、まちの歴史を伝える資料室、近隣の居酒屋やバー、スナックを紹介する「熱海の夜の案内所」的な場所として、中央町に人を呼び込みたいと考えています。そのために、ぜひ皆様のお力をお貸しください!

「旧つたや」とはどのような建物なのかここで説明させていただきます。「旧つたや」がある中央町周辺は、かつて「糸川花街」と呼ばれたいわゆる赤線地帯でした。昭和33年に売春防止法が施行されるまでは、店の前に立ち、客を呼び込む女性の姿が見られたといいます。売春防止法が施行されて以降、多くの店舗は通常の飲食店に変わりましたが、現在も町内には「旧つたや」をはじめ、妓楼建築、カフェー建築と言われる建物が残っており、独特のまち並みを形作っています。
中央町でもひと際存在感を放つ旧つたやの建物
かつての遊郭・赤線は、負の歴史として語られる側面が確かにあります。しかし、そこには生きるために知恵を絞り、支え合ってきた人々の営みがあったはずです。その過去を無かったことしてしまうと、まちの歴史を語ることができません。残された建物やそこに染みついた記憶を否定するのではなく、今を生きる人々の目線で歴史を再解釈し、語り継ぎ、考える機会を作る。それこそが「旧つたや」を活用する意義だと考えています。また、現在、どこも同じような風景になってしまうまちの均質化が進んでいます。その中にあって、まちに人を呼び込むには、歴史に裏付けられた独自性をアピール・活用していくことが不可欠だと考えています。
「旧つたや」は建築的な価値も高い建物です。和洋折衷の外観もさることながら、装飾を凝らしたインテリアは今では再現が難しいものです。1階は大きく3つのスペースに分かれており、中央に創業49年になるスナック亜が入居しています。右側のスペースは一昔前までお茶漬け屋として営業しており、内部には「つたや」の蔦の葉やひょうたんを模した意匠があしらわれています。左側のスペースには小さなカウンターと厨房スペースがあり、奥に広めの小上がりがあります。こちらは雨漏りが激しく壁が崩壊している状況です。
1階右側スペース。左手には蔦の葉のモチーフ、右手には瓢箪型のモチーフが残されている
1階左側スペース。手前には厨房スペースがあり、飲食店を誘致予定。
2階に上がる階段付近も見所となっています。”浴室”と書かれたガラス戸を開けると奥にはレトロなタイル張りのお風呂が現れます。扇形の独特な浴槽にはおそらく温泉が引かれていたのでしょう。
タイル張りが見事な浴室
それぞれ名前がつけられた2階の小部屋
2階には計8つの小部屋があります。それぞれ、「梅」「蔦」「あやめ」のように名前が付けられており、それにちなんだ意匠が部屋の入り口にあしらわれています。部屋の広さや作りはそれぞれ異なりますが、天井や壁、床には数寄屋建築にも用いられてきた技法が使われています。



見るたびに新たな発見のある「旧つたや」。「つたや雑貨店(仮)」では、その建築的な魅力を伝えるパンフレットを配布したり、オリジナルグッズ展開する予定です。
本プロジェクトの写真でもご協力いただいている色街写真家・紅子さんに、ご自身のYouTubeチャンネル『紅子の色街探訪記』で、クラウドファンディングに関する動画をアップしていただきました。
改装が始まる前の『旧つたや』の内部を見られる貴重な動画となっています。ご覧いただければ、中央町というまち、『旧つたや』という建物について、より深くご理解いただけると思います。拙いですが、私のコメントもご覧いただけると幸いです。

近年は日中の賑わいがクローズアップされることが多いですが、夜のまちが熱海の文化・経済を長年にわたって下支えしてきたという一面があります。古くは明治時代から財界人や文人墨客が熱海に別荘を持ったり、旅館に泊まったりしながら、温泉を楽しみ、まち中の飲食店が供する料理や酒に舌鼓を打ちました。志賀直哉、谷崎潤一郎、太宰治、三島由紀夫など、誰もが知る著名な作家も多く訪れており、彼らが行きつけだった飲食店が何軒も残っています。熱海は昔から文化の薫るまちだったのです。
「旧つたや」のある中央町は、そんな熱海において、夜のまちの中心地として多くの人に親しまれてきました。私が開業を目指している「つたや雑貨店(仮)」では、築70年という歴史ある建物を活かして、熱海に根付いた夜のまちの文化を伝えるような空間を作りたいと考えています。
オレンジ色のスペースに雑貨店を開業予定
開業予定のスペースの内部
・夜の雑貨店・土産店としての機能を持たせる
「つたや雑貨店(仮)」は、熱海の夜の魅力を伝え、まちに人を呼び込む雑貨店を目指します。そのため、当初は営業時間を17時から22時に設定し、「夜だけ開いている雑貨店」として営業します。熱海では多くの土産店が夕方頃に店を閉めますが、あえて夕方からオープンすることで、お土産を買い逃した人に来店いただくことも狙いです。また、さまざまな業態・年代の店舗が凝縮した熱海のまちのように、さまざまな商品がぎっしりと並ぶカオスで魅力的な空間を作ることで、観光客から地元住民まで幅広い人たちが楽しめる場所にしたいと考えています。商品展開としては、近隣の老舗飲食店や商店の看板などをモチーフにしたグッズや各店舗のオリジナル商品、熱海の夜や昭和の熱海をイメージしたオリジナルのグラフィックを用いたグッズ、地元の作家さんが手がけたハンドクラフトの作品やZINEなども取り扱う予定です。
店内イメージ
・夜のまちの案内所としての機能を持たせる
雑貨店で商品を購入してもらった人には、「夜のまちの案内所」として近隣の居酒屋やバー、スナックなどの夜のお店を紹介して活性化につなげます。バーやスナックに入ったことがない若い人たちに、ナイトライフを楽しむ一歩踏み出すきっかけにしてもらうことも狙いです。そのために、周辺マップの作成も視野に入れています。
熱海の夜の入り口になる場所を目指す
・まちと建物の歴史を伝える資料館的機能を持たせる
熱海の歴史や中央町の歴史、旧つたやという建物の魅力を伝えるため、熱海に関する書籍や写真、遊郭・赤線に関連する書籍などの資料を展示・販売することで、資料館のような機能を持たせます。具体的には、遊郭・赤線関連図書専門出版社「カストリ出版」の手がけるZINEや、全国各地の遊郭・赤線を撮り歩く色街写真家・紅子さんの写真集などを販売予定です。
店内イメージ
・内装について
「旧つたや」の内装をできるだけ活かしてリノベーションを行います。商品のディスプレイに必要な什器を新たに設置する以外は、極力、手を加えず、照明などを活用してレトロな空間に現代的な息吹を吹き込む予定です。

・ナイトタイムエコノミーへの取り組み
私が営む『バーコマド』では夜間の経済活動を活性化する「ナイトタイムエコノミー」に少しでも貢献すべく、イベントの開催を行ってきました。その1つが『熱海怪談』です。『熱海怪談』は、著名な怪談師をお招きして、怪談をたっぷり語ってもらうイベントで、地域の集会所で年2回、夕方から夜にかけての時間帯で開催しています。町内の飲食店の協力のもとドリンクやフードも楽しめるようになっていおり、最近は県外から泊まりがけで参加する人も多くなっています。
昨年の『熱海怪談』の様子。県内外から約40名が参加して怪談を楽しんだ
*「熱海怪談」について取材いただいた記事
熱海経済新聞 https://atami.keizai.biz/headline/1241/
・まちの歴史を伝える取り組み
2024年10月に色街写真家として活動する紅子さんの写真展『遊郭・赤線の残滓 静岡』を開催しました。熱海を含め、静岡県内に残る遊郭・赤線跡を独自の視点で切り取った紅子さんの作品を展示したほか、東京・吉原に店を構える遊郭・赤線専門書店「カストリ書房」店主の渡辺豪さんをお招きし、お二人による熱海赤線跡ツアーやトークショーを実施して、参加者にまちの歴史に対する理解を深めていただきました。このページにも、紅子さんが撮影した旧つたやの写真を多数使用させていただいています。
色街写真家・紅子さんの写真展『遊郭・赤線の残滓 静岡』。全国各地から多くの来場者があった。
*写真展について取材いただいた記事
熱海経済新聞 https://atami.keizai.biz/headline/1126/
・リノベーションスクールの実施
「旧つたや」をどのように再生していくかを検討するにあたり、まずは様々な人に物件を知ってもらい、アイデアを募るために、まちづくり会社の主催で「リノベーションスクール」というイベントが開催されました。「リノベーションスクール」とは、実在する遊休不動産を対象に地域再生のためのビジネスプランを考える3日間の実践型スクールです。スクールには、熱海市内外から6名の受講生が参加。ファシリテーターとして、東京の墨田区京島で長屋の再生を手がける暇と梅爺株式会社・代表取締役の後藤大輝さんをお招きし、私は地域でビジネスを行う当事者としてサポートを行いました。

スクールでは実際に「旧つたや」を内見して建物の特徴や状態を把握。その上で、皆でディスカッションを行い、リノベーションプランをまとめて発表しました。最終的に、「まちを照らす、歴史を照らす」というコンセプトのもと、「旧つたや」に再び灯りをともし、地域ににぎわいを取り戻すとともに、まちの歴史を伝えていく施設として活用の道を探ることになりました。また、1階には、私が運営する雑貨店のほか、観光客だけでなく地域の人々も気軽に入れる飲食店を誘致して、「社交場」としての機能を持たせる、2階にある8部屋の小部屋には、書店やギャラリーなどそれぞれ個性的なテナントを誘致して、蔦が這うように人々が回遊する空間にするというアイデアが出されました。現在は、それを軸として、テナントの誘致を開始しています。
*リノベーションスクールについて書かれた記事
・アートイベントの開催
「旧つたや」はここ数年、熱海で開催されていたアートイベントの会場として活用されてきました。唯一無二の個性的な空間は、アートとの親和性が非常に高かったのです。そこで、「旧つたや」がテナントで埋まり、本格的に稼働を始める前に、多くの人に建物の魅力を伝えるべく有志が新たなアートイベント『GLOUND ATAMI』の開催を企画しています。開催期間は、10月17日(金)〜10月26日(日)を予定しています。
イベントでは、熱海に縁のあるアーティストらの作品を展示し、「旧つたや」の空間を彩る予定です。このイベントを「旧つたや」再生のこけら落としとして、人を呼び込めればと考えています。

2月 古物商許可証を取得
7月上旬 物件の契約完了
8月下旬 クラウドファンディング開始
9月末 クラウドファンディング終了
10月中旬 アートイベント開催予定
10月下旬 リターン発送
10月下旬〜11月上旬 「つたや雑貨店(仮)」オープン

現在、オーナーと管理会社によって、「旧つたや」の建物全体の補修が進められています。これまでに主に雨漏り箇所や崩壊している外壁や屋根の補修が行われてきましたが、室内の工事は基本的にテナントの負担となります。保存状態は比較的良い方だとはいえ、長年の雨漏りや経年劣化によるダメージは大きく、補修が必要な箇所が多数あります。そのため、自己資金に加え、ご支援いただいた資金を内装改修工事や備品の購入費用、リターンの製作費、キャンプファイヤーへの手数料(17%)に充てたいと考えています。また、目標額をオーバーした分は、屋外照明の設置など、共用部の改修費用に活用させていただきます。

熱海や旧つたやにご縁のある方から、応援コメントをお寄せいただきましたのでご覧ください(五十音順)。
後藤 大輝さん(暇と梅爺株式会社・代表取締役)
僕の娘が大人になったら一緒に行きたい夜のまちと出会いました。夜のネオン灯るバーやスナックに、お酒が弱い僕がこんな思いを抱くことに自分自身驚いています。
普段、僕は東京都墨田区で築年数の古い建物の利活用事業を軸に、地域に関わりながら表現する人たちの住む・作る・発表するを受け入れる環境つくりを行っています。この春までの約1年程、アートプロジェクトの交流からリノベーションスクールのユニットマスターとして関わらせていただき、熱海に通いました。多様な立ち位置で熱海に接続している魅力的な人たちにまち案内をしてもらい、一緒に地域と建物の未来を構想させていただく得難い経験でした。このプロジェクトの髙須賀哲さんが言葉にしてくれた歴史的建築を引き継いていく意味、地域特性に根差した役割を見出していくプロセスにも感銘を受けています。
熱海地域と離れた位置にいる僕ですが、僕は「旧つたや」が、髙須賀哲さんの活動を皮切りに新しく再生されていく過程に関わりたいと強く思っています。その大きな理由が、積み重なった歴史と風格から自分一人では入れなかったであろう熱海の店「バー コマド」と「スナック 亜」を訪ねたことで知った世界観です。カウンターに立つマスターやママ、ほかのお客さんとの偶然の会話を通して、人はかくも深い存在なのかと、、、気づかされました。夜が映す社会や人間の怖さもあれば、悲しさ、深さ、尊さ、可笑しさが色濃くあることを知りました。
このような世界観を持つ場所に協力できれば、僕だけでは伝えるのが難しいことを、大人になっていく娘に伝えられるかもしれない。可笑しな想像かも知れませんが、熱海・中央町で「旧つたや」が再生されれば、僕のように思う人や、もっと若い世代の人たちの人生観を広げる機会を作ることができると思ったのです。
このクラウドファンディングを立ち上げてくれた髙須賀哲さんはじめ「旧つたや」再生に尽力されている方々に感謝しています。熱海に関わっている方も、まだ関わりを持っていない方も一緒に応援しませんか? 「旧つたや」再生はきっと、ほかの地域にも波及する歴史や地域特性を継承する建物の再興モデルとなります。僕は東京の墨田区から熱海に通うので、一緒に行ける人を募りたいと思っています。一緒に行ける人、声かけあいましょう!
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紅子さん(色街写真家)
私はこれまで、日本各地の遊廓跡や赤線跡地を訪ね歩き、失われつつある記憶とその痕跡を写真として記録してきました。年々、遊廓の建物は姿を消し、現存するものはほんのわずかです。それでも、全国をめぐるなかで、今もなお静かに佇む建築と出会い、そこに宿る「歴史の記憶」に触れるたび、シャッターを切ってきました。
その中でも、私がもっとも多く足を運んできたのが、熱海市中央町にある旧赤線街――そしてその中心に建つ「旧つたや」です。初めて「旧つたや」を目にしたとき、時代の流れの中でよくぞここまで残っていた…と、その迫力ある佇まいに震えるような感動を覚えました。
ご縁をいただいたバーコマド店主・髙須賀哲さんとの出会いから、内部を撮影させていただく機会にも恵まれました。内部には、「浴室」と書かれた文字、瓢箪や蔦の葉などの遊廓建築に見られる意匠、そして「あやめ」「さくら」と名付けられた艶やかな部屋の札が残っていました。そこには、性産業という特殊な背景から長く人々の記憶の奥に押しやられてきた、昭和のリアルな歴史が静かに息づいていたのです。
この建物は、ただの「過去の遺物」ではありません。遊廓文化が持つ複雑さと、美しさ、そして人間の営みの痕跡が、確かに刻まれています。それをなかったことにするのではなく、文化として受けとめ、今に活かしていく―― その一歩を、このプロジェクトが担ってくれると信じています。
「旧つたや」が、次の時代への橋渡しとなるよう、そして人々が出会い、語り合う場所として再生されることを、心から願っています。私も、写真というかたちで微力ながらこの挑戦を応援したいと思います。
どうか、多くの方の想いが、このクラウドファンディングに集まりますように。
未来へとつながる灯を、共につないでいけたら嬉しいです。
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二見 一輝瑠さん(株式会社 釜鶴 代表取締役・株式会社machimori代表取締役)
熱海の歴史を色濃く残す場所として、友楽町があります。小ぶりな飲み屋が軒を連ね、文化芸術の交流をしてきました。生まれ育った熱海において残すべき場所の一つです。
machimoriはまちづくり会社として、銀座通りの再生とリノベーションまちづくりを担ってきました。
お陰様で銀座通りは、過去のような人通りを多少取り戻してきましたが、新たな顔ぶれと共に過去の歴史文化が見えづらくなってきました。
同年代でもある髙須賀君をお祭りに誘う中で、まちへの思いを共有できました。
髙須賀君の経営する「バーコマド」は熱海を訪ねてきた友人、取引先など自慢の出来る熱海の店として灯りをともしてくれています。
熱海の社交場がきっかけでビジネスに成功された方も熱海に恩返しをしてくれています。
オフラインのリアルな人の繋がりのキッカケづくりとしての「つたや雑貨店」は、熱海が担ってきた役割を継続する大変有意義なプロジェクトとなります。
移住してその責務を担う覚悟を応援しない熱海の人はいませんよ!
まちづくりに関わる全ての人に、「自分がまちを楽しむ」ことを是非応援して一緒にまちにダイブしましょう!
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渡辺 豪さん(遊廓専門出版社カストリ出版・代表)
戦前戦後に遊廓あるいは赤線と呼ばれた娼街に観光資源の可能性を見出して、保存/活用の道を探る活動が、ここ10年ほどで漸進している。私もその可能性を探る一人だが、都心はもはや可能性に乏しい。
投資費用の回収期間から逆算して旧娼家の運用方法が決定されるためだ。現在、活用を謳う活動下において、カフェ、コワーキングスペース、民泊、アーティスト・イン・レジデンスといった活用法に偏っている事実は、これらが現代人が必要とするサービスである以上に、収益性から逆算式に導き出されたことを示している。したがって、活動者の課題意識以前に収益性の上位順に用途が決定されてしまい、詰まるところ、独自性を望めない。
都心から電車での1時間移動は観光にちょうど良い。反面、地価は100分の1にも下落する。かといってこれ以上、郊外や地方に進出すると集客が困難となる。したがって私は、都心から1時間前後の距離にある娼街が今後、保存活動の中心地になると推察している。娼家の保存状態も比較的良い。その最有力候補が熱海である。
先駆者が育む独自性は揺籃期を必要とする。「新しいもの」は新しいが故に、周囲から無関心あるいは時に反発を招く。地価の低さが揺籃の役目を果たし、先駆者を守る。熱海を拠点に選択したプロジェクトリーダー髙須賀氏の慧眼に他ならない。
髙須賀氏は2022年に旧赤線・糸川べりにバーコマドを開業させ、秘かな繁盛店に盛り立てている。聞けば、観光客や地元客、歴史好きやぶらり客も多いというが、多様性こそ性売買というデリケートなテーマに最も求められる要素だろう。
すでに熱海での実績を持つ髙須賀氏が、さらなる高みに目標を据えた。是非この企画にご賛同とご協力をお願いしたい。

今回のクラウドファンディングは、8月から9月にかけて実施しますが、夏の熱海は観光のハイシーズンです。大勢の観光客が海水浴や温泉、花火を目的に押し寄せます。しかし、そのうちどれくらいの人が夜の熱海に繰り出すでしょうか? もちろん、日中に海を満喫して、ホテルや旅館で温泉に入ってゆっくり夜を過ごすのもいいでしょう。しかし、熱海の魅力、観光の魅力はそれだけではありません。まちを散策してその土地の歴史や文化に思いを馳せる。あるいは、夜のまちをそぞろ歩き、地域に根ざした料理店で舌鼓を打ったり、バーやスナックで地元の人と交流したりして、まちの違う側面に触れる。そうすることで、観光の楽しさは大きく広がり、知らなかった熱海の魅力に出会えるはずです。
旧つたやに再び灯りをともし、「まちを照らし、歴史を照らす」新たな拠点へ
長年、中央町にたたずんできた「旧つたや」は、新たな命を吹き込まれることで、きっと「夜の熱海」の魅力を伝える場所になるはずです。そうして、より多くの人が熱海という場所の多面性に触れ、熱海のことをもっと好きになり、何度も足を運ぶようになってくれることを願っています。
そのために是非ご支援のほどお願いいたします!
最新の活動報告
もっと見る現在の進捗状況につきまして
2025/11/22 17:24活動報告の更新が滞っており申し訳ございません。現在の進捗状況について、ここで一度、ご報告させていただきたく思います。アートイベント「GLOUND ATAMI」終了後、これまでに電気工事や建物本体に関わらない部分の解体工事を進めております。しかし、床や壁の傷みが激しい部分もあり、状態に応じて当初の工事予定を修正しながら進めている状況です。また、以前よりネズミ駆除を行っていましたが、十分に駆除ができていないこともあり、一度、人間の立ち入らない期間を数週間設けて、徹底した駆除を実施することになりました。こうした事情があり、当初予定していた11月中のオープンは難しい状況となっております。ただ、「つたや雑貨店(仮)」のオリジナル商品の開発や仕入れについては同時進行で進めており、他に入居するテナントも徐々に決まってきております。そのため、プロジェクトメンバーとも相談し、万全の準備を整えたうえで、当初の予定よりも充実した形で新しく生まれ変わった「つたや」をご披露できればということになりました。つきましては、「つたや雑貨店(仮)」のオープン日は一旦未定となりますが、近いうちに正式なオープン日をお知らせできればと思います。ご期待いただいていた支援者の皆様には申し訳ございませんが、今しばらく次のご報告をお待ちいただければと思います。何卒よろしくお願いいたします。「旧つたや」再生プロジェクト リーダー高須賀 哲 もっと見るリターンの発送につきまして
2025/10/31 00:51ご支援をいただいた皆様へリターンの多くを10月中のお届けとさせていただいておりましたが、進捗にやや遅れがありまして、11月上旬のお届けになってしまいそうです。誠に恐れ入りますが、現在、発送準備を進めておりますので、もう少しお待ちいただければと思います。恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします。高須賀 もっと見る
『旧つたや』が蘇りつつあります
2025/10/16 02:22先週、今週と、アートイベントの開催に向けて、『旧つたや』の清掃を行いました。土日にはお手伝いしていただける人も集まり、2階部分を一斉に清掃。長年、溜まっていたホコリや汚れが一掃され、見違えるように綺麗になりました。ずっと閉まっていた雨戸も開け放ち、空気の入れ換えをしたことで、建物全体が息を吹き返したように感じられます。廊下と各部屋の照明も付け替えました。一部の部屋を除いて灯りがともり、各部屋に凝らされた意匠が夜でもはっきり見えるようになりました。2階にも灯りがともった『旧つたや』の全景に感動…10/17から始まるアートイベント『GLOUND ATAMI 2025』に、ぜひ足を運んで、生まれ変わりつつある『旧つたや』をご覧ください。 もっと見る




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