
あの日、街と7万本の松の木は見たことない大きな波に飲み込まれていった。ただ一本の松だけがそこに立ち続けた。
2012年ニューヨーク。「なんとか力になりたい」という想いから一人の日本人が復興の象徴である「一本松」と名付けたビールを自作する。販売代わりに募った寄付を、復興支援にあてた。
それから10年、この活動を通して交流を深めた陸前高田マイクロブルワリーで「一本松エール」の限定醸造がスタートした。
松の香りと苦味のあとに微かな柑橘の香りがするクラフトエール。
それは希望の味かもしれない。

おかげさまで、目標の80%を達成しました! これまでご支援くださった皆さま、本当にありがとうございます。いただいた応援コメントも、一つひとつ大切に読ませていただいています。
本プロジェクトの目的は、「一本松エール」というビールを一人でも多くの方に知っていただくことです。1本につき100円が高田松原を守る会に寄付されるこのビールを通して、被災地やご自身の防災について、気軽に思いを巡らせるきっかけになれたらと願っています。
プロジェクトは11月30日まで、ここからいよいよラストスパートです。最後のひと押しが、大きな力になります!ぜひ、ご支援や拡散で応援していただけたら嬉しいです。
(11月20日追記)



初めまして。陸前高田マイクロブルワリーの熊谷です。陸前高田で生まれ育ち、進学を機に東京へ出ましたが、東日本大震災をきっかけに地元へ戻ってきました。
震災発生から数週間後、車で帰省したとき、津波に流された故郷の姿を目の当たりにし大きなショックを受けました。変わり果てた陸前高田と、なんとか生活できる状態ではある東京。自分はこのまま東京にいてはいけないと思い、地元に戻ることを決意。最初は社会福祉協議会の職員として、被災地のためにできることを手当たり次第に取り組みました。その後、仲間とカフェを開業、さらに2020年に陸前高田マイクロブルワリーを立ち上げるに至りました。

震災からまもなく15年を迎える今、陸前高田マイクロブルワリーで製造している「一本松エール」をより多くの方に届けたいと思い、今回クラウドファンディングに挑戦します。
「一本松」という名前と、ボトルに描かれたシンプルな松のロゴは、震災を思い出すきっかけになり得るものだと考えています。ビールが好き、陸前高田が好き、どんな理由でも構いません。来年の3月11日、一本松エールでの乾杯を通じて、それぞれの場所で少し立ち止まるきっかけになれば幸いです。


一本松エールという名前は、陸前高田の「奇跡の一本松」に由来しています。江戸時代から続く名勝・高田松原は、2011年3月11日の東日本大震災で、陸前高田の街とともに約7万本の松が津波にのまれました。その中で、ただ1本だけ残った松が「奇跡の一本松」と呼ばれるようになり、多くの人に希望を与えてきました。
しかし、この商品は単にその名前を借りただけではありません。奇跡の一本松が人々の記憶に残り続けているように、一本松エールにも、語りたくなる背景と、未来へつなげたい想いがあります。


一本松エールの始まりは、実は陸前高田ではありません。そのルーツは、震災の翌年、遠く離れたニューヨークにあります。
2012年、ニューヨークに住むデザイナー・小林耕太さんが、「何か力になりたい」という想いから自らビールを醸造。そのビールに「一本松」と名付けました。販売はせず、寄付を募るかたちで提供し、その支援金は被災地に届けられました。
当時、陸前高田マイクロブルワリーはまだなく、私自身も別のカフェを営みながら、地元産りんごを使ったビールづくりのプロジェクトに関わっていました。そんなとき、「陸前高田でクラフトビールをつくっている人がいる」と知った彼が、私にコンタクトを取ってくれたのが最初の出会いでした。

出会った当初から、いつかこのビールを自分でつくろうと思っていたわけではありません。ただそのとき感じたのは、世の中には本当にすごい人がいるということでした。
自分で考え、動き、仲間を巻き込み、そして実際に形にしていく小林さんの行動力。そして、わざわざ陸前高田まで会いに来てくれたこと。それだけでも胸を打たれましたが、その日の夜に彼が持ってきてくれた一本松ビールを一緒に飲んだ時のことは今でも鮮明に覚えています。

一本松ビールとの出会いから数年後、陸前高田に「発酵パークカモシー」という施設ができることになり、その中で自分のブルワリーを立ち上げることが決まりました。
準備を進める中で、一本松ビールを初めて飲んだあの夜のことが強く思い出され、小林さんに連絡をとりました。あのときの経験が自分の中でどれだけ大きなものであったか、どれだけ心に残っているかを伝えました。そして、ブルワリーの立ち上げの報告とともに、あのビールを受け継がせてほしいと伝えました。
出会った当初は、まさか自分がつくる側になるなんて思ってもいませんでした。しかし、時が経つにつれ、このビールは陸前高田という町でこそつくられるべきものだと、自然に感じるようになっていたのです。小林さんも快く背中を押してくださり、一本松ビールは陸前高田で「一本松エール」として新たな一歩を踏み出すことになりました。

「一本松ビール」から「一本松エール」へと名前をあらためたとき、そこに込められた思いやストーリーは受け継ぎつつも “陸前高田らしいビール”を目指してレシピを練り直しました。

一本松エールは、ホップの香りと苦味が際立つIPAスタイルのクラフトビールです。使っているのは、木や松葉のような香りが感じられるホップ。特に、そうした香りが長く残りやすい品種を選んでいます。そこに爽やかな柑橘系のホップも加え、飲みごたえがありながらも、最後にふわっと軽やかな香りが抜ける味わいに仕上げました。
実際に飲んでくださった方からは、「松の香りがする」「松の味がして美味しい」という声もいただいています。そんな風に、香りや味わいからもこのビールの背景に興味を持ってもらえることが何より嬉しいです。

一本松エールは、味わいだけでなく「500ml」という量にも意味があります。
一人で飲むには少し多いけれど、でも、誰かとシェアするにはちょうどいい。3月11日の周辺に、家族や友人とこのビールを分け合いながら、「いざという時どこに逃げる?」「何を持って行く?」といった防災の話をしてもらえたら。そんな想いから、あえてこの容量を選びました。
災害が多い国だからこそ、お互いがかけがえのない存在であることを再確認し、備えについて語り合うきっかけをつくりたい。もちろん、他のお酒でもそうした会話はできます。でも、シンプルな一本の松が描かれたこのボトルなら、その一杯がより特別な対話の入口になれると信じています。


一本松エールは、1本あたり100円を「高田松原を守る会」へ寄付しています。「高田松原を守る会」は、市や県と連携しながら高田松原の再生に取り組んでいる団体で、2017年には松苗の植樹を本格的に開始しました。
松が震災前と同じ高さに育つまでには、50年以上かかるといわれています。このビールを飲むことが、その再生を支える支援の一歩になります。ぜひ私たちと一緒に高田松原の未来に思いを寄せながら、美味しく味わっていただけたら嬉しいです。

一本松ビール(一本松エールの前身)は「Brewed with Purpose」 (目的のある醸造)という言葉を掲げて始まりました。その目的とは、「復興への寄与」でした。そしてアメリカやイギリスを始め、世界で多くの人が僕たちの想いに賛同し、ビールを飲んでくださいました。陸前高田マイクロブルワリーの熊谷さんは、僕たちの精神を継承し、売上の一部を高田松原を守る会へ寄付し続けています。ただの利益追求ではなく、地域社会へ貢献していく活動は今の世界に必要な事だと強く感じています。僕はそんな活動を続けている熊谷さんを心から応援しています。
寄付を受け付けてくださっていた熊谷さんが、小林の作っていたビールを「陸前高田でつくりたい」と話してくれた時、本当に大きな希望をいただいた。NYでの立ち上げからこれまで、このビールは数えきれない唯一無二の出会いを運んできてくれた。あの大災害以来、僕たちはゆっくりと時間をかけて熊谷さんとの関係を深めてきたし、それはこれからも続いていくのだと思う。熊谷さんとその活動を心から応援するとともに、自分にできる継続的な関わりとは何かを、これからも考え続けていきたい。

今回リターンとしてお届けする「一本松エール」は、クラウドファンディング限定の味わいをご用意しました。黒ビールタイプで、通常の一本松エールと同様に、松や大地を感じられるような風味に仕上げる予定です。実は、オリジナルの「一本松ビール」には黄色と黒、2種類のスタイルがありました。今回はその原点を踏まえ、黒ビールとしてお届けします。

さらに、ボトルに描かれているのと同じ松のロゴが入ったオリジナルグラスもご用意しました。ぜひこのグラスで乾杯していただけたら嬉しいです。

また、大切な人へのギフト用リターンもご用意しています。このビールは、誰かと一緒に“もしものとき”や“これからのこと”を話しながら飲んでいただくことを願ってつくったビールです。防災について語りたい相手、大切に思う人に贈って、一緒に乾杯していただけたらと思います。
今回は、一本松エールをモチーフにしたオリジナルグッズも制作しました。デザインを手掛けたのは、一本松エールの生みの親であり、ボトルデザインも担当した小林耕太さんです。

ステッカーとTシャツには、海水浴場として再開した高田松原と、一本松エールのシンボルが描かれています。さらにTシャツの前面には「Brewed with Purpose(目的のある醸造)」という言葉も。一本松エールの活動を端的に表す、良い言葉だと思っています。


そのほかにも、醸造所へのお名前の掲載やビールづくりを体験できる醸造体験コースなどもご用意しています。飲んでもよし、身につけてもよし。お好きなかたちで、一本松エールとの乾杯を迎えていただけたら嬉しいです。

陸前高田マイクロブルワリーは、2020年12月に岩手県陸前高田市で開業した、小さなクラフトビールの醸造所です。市内にある「発酵」をテーマにした商業施設「発酵パーク CAMOCY(カモシー)」の一角で、アルコール発酵を担当。CAMOCYには他にも、パンやチョコレート、お弁当など、発酵を活かした商品を扱う店舗が集まっています。

私たちは、生産者とのつながりや、地域・施設内での協力を大切にしながら、食品ロスを減らし、新たな商品を生み出す取り組みも行っています。取り巻くすべてのものが循環していくような、陸前高田らしいクラフトビールづくりが私たちが目指すものです。
左:りんごエール陸前高田/右:「04 クレセントIPA
たとえば、「りんごエールりくぜんたかた」は、地元産のふじやジョナゴールドなどのりんごを丸ごと搾り、原料の約1/3をりんご果汁が占める、果実感あふれるエールです。「04 クレセントIPA」は、東日本大震災で流出した県立高田高校の実習船「かもめ号」が、アメリカ・カリフォルニア州クレセントシティに流れ着いたことをきっかけに生まれた1本。姉妹都市となった同市のクラフトビール醸造所からレシピ提供を受け、誕生しました。
また、CAMOCY内のベーカリー「ベーカリーマーロ」でロスになったパンを副原料として再活用した「Bread & Brett」などユニークなビールづくりにも取り組んでいます。
施設内では、クラフトビールの飲み比べやスパイスカレーの提供も行っています。陸前高田にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください!
<店舗情報>
岩手県陸前高田市気仙町字町308番地5
発酵パークカモシー内
TEL:070-4283-0852
営業時間 11:00~19:00(火曜定休)
※酒類販売免許についてはこちら
<オンラインストア>
陸前高田マイクロブルワリー 公式オンラインストア
https://rikuzentakatabrewery.stores.jp/

2025年9月25日(木) クラウドファンディング開始
2025年11月30日(日) クラウドファンディング終了
2026年1月 リターンのお届け(予定)
リターンは、2026年3月11日に必ず間に合うようにお届けする予定です。
ぜひ、当日の乾杯に備えて、お好きなリターンをお選びください。

震災以降、陸前高田では「一本松◯◯」と名のつく商品が数多く生まれました。どれも想いの込もった素晴らしい商品ですが、その中でも一本松エールのパッケージデザインには、特に強い自信を持っています。
看板商品としてだけでなく、いつか「一本松〇〇といえばこれ」と言われるような存在に。そして、陸前高田を代表する商品として、もっと多くの方に手に取っていただけるよう育てていきたいと考えています。
そして、来年の3月11日。全国のあちこちで、一本松エールを手に「乾杯」とグラスを合わせる音が響く。そのラベルに描かれた松を眺めながら、「これからの防災」の話が交わされる。そんな風景が、震災から15年という節目に全国へ広がっていったら、とても嬉しく思います。

最新の活動報告
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11/30達成をもってプロジェクト終了しました!
2025/12/01 17:3811月30日をもちまして一本松エールクラウドファンディングプロジェクト無事終了しました。結果達成率114%で目標達成となり、改めて支援していただいた皆様、拡散など応援していただいた皆様本当にありがとうございました。正直達成できるか不安でしたが、東京時代の友人たち、震災直後の困難な時期に出会った方々、起業してからの仲間たちなど多くに人に支えられたこと。それは自分自身がこれまで歩んできた道が間違いではなく、かけがえのない友人知人たちとの出会いが今の自分を形成しているのだと実感しました。クラファン目標達成がゴールではありません。これからリターンを皆様にお届けしてそれからが本当のゴールです。東日本大震災の記憶の継承、陸前高田に賑わいを作ること、そしていつ起こるかわからない災害にたいして支援いただいた皆様が一本松エールを通じて万が一の場面でより良い判断ができるそのきっかけづくりになるよう心から祈念しております。 もっと見る
100%に到達しました!
2025/11/26 11:21おかげさまで100%達成しました!支援と応援していただいたみなさま本当にありがとうございます!東日本大震災をきっかけに誕生した一本松エールは家族や仲間と飲みながら震災を思い出してもらうこと、そして次に起こるかもしれない災害に備えて避難先や連絡方法などを話し合うきっかけを作りたいという願いが込められたビール。さらに売り上げの一部が陸前高田市の観光名所「高田松原」にあった松林(奇跡の一本松を残して全て流失)の維持、管理を行うNPO法人高田松原を守る会の活動資金として寄付されます。ビールを飲んで陸前高田を応援することができます。オリジナルの一本松ビールが2012年に誕生し、2021年から陸前高田マイクロブルワリーで醸造が始まりました。東日本大震災の記憶とこれからの災害に備えるためにもっと多くの人に一本松エールを届けたいです!残り5日間ですが目標は高くネクストゴール150万円!3/11は未来を見据えて大事な人と乾杯しましょう!プロジェクトは11/30まで! もっと見る
ライブ配信、やってみます。
2025/11/20 17:5811/21(金) 20:30~ インスタグラムでライブ配信やってみます。ライブ配信はやったことがなく、でも身近でクラファンに挑戦している友人はみなやっているのでやってみようかなと思いました。配信に慣れているりんご農家の友人に協力してもらいます。醸造所のこと、クラファンへの思いなんかをしゃべると思います。お時間ある方はぜひご覧ください。陸前高田マイクロブルワリーのインスタアカウントはこちらです ↓ もっと見る




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