自己紹介
初めまして、今回キャンプファイヤーにてクラウドファンディングをさせて頂くことになりました。
梶並 魁 と爬虫類ショップ「叢雲屋(むらくもや)」の 谷渕 史明 です。
このプロジェクトで実現したいこと
植物や土の表面に生えるカビ(真菌類(真核生物)は、特定の種類のカビを除いて、植物にとって無害であり必要不可欠な存在です。
しかし、中には悪影響を及ぼすカビもあり、病気の原因となります。
ここで一般的に知られている植物でみられるカビの病気を10例、挙げさせていただきます。
白絹病、黒すす病、すす点病、灰色カビ病、斑点病、褐色腐敗病、赤色斑点病、うどんこ病、菌核病、黒星病
その中でも菌核病や斑点病は一般的に知られています。
ここで菌核病と斑点病の症状について、説明させて頂きます。
菌核病は植物の内部に糸状菌(カビ)が感染することにより、植物表面に病斑を形成し拡大した後、葉や茎の根本から水を浸したように腐敗が生じ、最終的に植物自体枯れます。
斑点病は、雨が多い時期に、糸状菌(カビ)の感染により、褐色や黒色の斑点が形成され、最終的に感染した植物の葉が枯れ落ちます。※斑点病は細菌によっても起こることもあります。
菌核病に至っては今年農林水産省から出された報告によると、東京都と千葉県のキャベツ栽培の現場で被害が問題視されていました。
今回のプロジェクトでは、それらの社会的課題に立ち向かうために生理活性ペプチドの宝庫であるサソリ毒由来の抗真菌ペプチド剤の開発と製造販売を行います。
そのためにアジア圏に生息しているサソリから毒液を抽出し、乾燥サンプルに調整します。
次に公的研究機関又は企業に受託依頼して、毒液に含まれるペプチドのアミノ酸配列を決定した後は、2次クラウドファンディング行いスクリーニング費用を皆様から集めさせて頂き、決定したデータを基にペプチドを合成し、抗真菌作用を持つペプチドのスクリーニングを行いたいと考えております。
スクリーニングで抗真菌作用を持つペプチドが同定出来ましたら、商品化に向けて3次クラウドファンディングを行いペプチド合成機とペプチド剤製造販売拠点の準備費用を集める予定です。
そして製造販売拠点とペプチド合成機の準備が出来ましたら、2026年以内には商品化を関係省庁と相談を図りながら実地する方針で頑張らせていただきたいと思っております。
その際クラウドファンディングで支援をして下さった、皆様に抗真菌ペプチド製剤の割引、半額、無料提供のサービスを実地をさせて頂きたいと思っております。
今年は、サソリ毒の解析と抗真菌ペプチドのスクリーニングが目標になります。
何卒宜しくお願い致します。
プロジェクト立ち上げの理由と背景
サソリやクモは一般的に人々から、毒を使って攻撃してくる恐怖の存在としてのイメージが強いかもしれませんが、一部の人達の間では、サソリやクモは魅力的な生物として捉えられております。
例えば国内外の大学や研究機関では、サソリやクモの毒液に含まれるペプチドを使って、副作用が少ない新しい農薬や医薬品の研究開発が行われております。
今回はサソリの内容を重点的に説明をさせていただきます。
サソリは古生物学や進化生物学の分野で節足動物の進化の道筋を知るための、研究対象として注目されています。
その理由として、サソリの部分的な形態的特徴は4億年以上前(古生代シルル紀)から変化しておらず、生きた化石と呼ぶに相応しい姿をしていることが化石の研究から分かっているからです。

サソリやクモが分類される鋏角亜門に属するウミサソリの化石画像。東京サイエンス株式会社提供。
最近の化石記録では、中国北部・内モンゴル自治区の赤峰市の白亜紀前期の地層から発見された、約1億2500万年前に生息していたとされるJeholia longchengiが記録として挙げられます。
上記のJeholia longchengiの別種であるPulmonoscorpiusは石炭紀に生息しておりました。
このようにサソリが4億年以上前から姿を変えずに生き残れたのは、毒腺の進化が理由として、挙げられます。
生物にとって餌の確保は生命活動を行うにあたり、必要不可欠な動作となります。
サソリは南極を除いて地球上の全大陸に生息しており砂漠等の乾燥地域~熱帯地域や高山地域まで分布を広げております。
日本でもサソリは生息しており、ヤエヤマサソリとマダラサソリが挙げられます。
※ここから先サソリやクモの画像が出ます。閲覧注意になります。苦手な方はご注意ください。

ヤエヤマサソリの画像。
サソリ自体は絶食に強い生物ではありますが、餌なしの状態が続くと死んでしまいます。
そのためサソリは餌である昆虫を捕獲するために、毒素という武器を持つように毒腺を進化させました。
サソリが毒素という武器を獲得したのは、3億年以上前であり、その過程で哺乳類に対する毒素を獲得したのは、昆虫に作用する毒素を獲得した後なので2億3000万年前あたりだと考えられています。
哺乳類に作用する毒素はあくまでも、捕食者である哺乳類からサソリ自身を守るために作られました。
毒腺の進化の過程で得た毒素には塩類、糖類、ペプチド、脂質、タンパク質が含まれております。
これらの成分の内、ペプチドが主成分となります。
ペプチドは細胞の基本的な生命活動に関わる役割を持つ分子でございます。
サソリではそれらのペプチドが獲物(昆虫等)を仕留める毒として使われます。
ここで、皆さんにペプチドというものを少しばかり、説明させて頂きます。
ペプチドというのは、アミノ酸が数個~数十個繋がり出来たものになります。
タンパク質は、アミノ酸が数十個~100個以上繋がり出来たものです。
上記にも示したのですが、昆虫や哺乳類に対しての毒素は、このペプチドにあたります。
それでは、少し難しく、専門的な内容になるのですが、サソリの毒ペプチドについて説明させていただきます。
サソリ毒ペプチドの長さは30残基~最大で50残基以上のものまであります。※残基とはアミノ酸数の把握に使う単位のことです。例えば1つのアミノ酸=1残基となります。
サソリ毒ペプチドには大まかに、2つのタイプが存在します。
1つはジスルフィド結合(システイン残基間にあるチオール基(SH基)が酸化されることにより形成される非常に強い共有結合であり、タンパク質の構造(特にタンパク質の三次構造)安定化のための結合である。)という構造を持つペプチド。
ジスルフィド結合を持つペプチドは先程説明した、哺乳類や昆虫の細胞に作用するペプチドが該当します。
例として、Centruroides noxius毒由来のβ-NaTx毒素であるCn2、Leiurus hebraeus毒由来のα-KTx毒素であるAgitoxin 1等が挙げられます。
2つ目はジスルフィド結合という構造を持たないペプチド。
ジスルフィド結合を持たないペプチドは、抗菌性を持つことが先行研究で分かっております。(※抗菌ペプチド以外にも、抗真菌・抗ウイルス作用を示すペプチドも発見されております。)
しかし、これらの抗菌ペプチドの中には、神経毒として作用するものもあり、実際のところ不明な点も多いです。
現に国内外のサソリ毒抗菌ペプチドの研究では、ジスルフィド結合を持つサソリ毒ペプチドと同時に使われることにより、神経毒性を増強させたという報告も御座います。
サソリが自身の毒の中に抗菌ペプチドを獲得した理由として、毒針を使って獲物(昆虫)の血液で満たされる内部に毒液を注入するので、当然のことながらサソリ自体が感染症の危険にさらされてしまいます。
ですので、それらのリスクを回避するために免疫システムとして、抗菌・抗真菌作用を持つペプチドや抗ウイルス作用を持つペプチドを獲得したのではないかと考えられているわけです。
そこで本プロジェクトでは、これらの生体分子標的への選択性が高いペプチドを使って上記に示した真菌による病害の問題を解決できないかと考えるに至りました。
現在の準備状況
解析用の毒液採取のため、アジア圏に生息している大型サソリ40匹の飼育環境の準備を開始。
今回のクラウドファンディング支援金の使い道について
5500000円はサソリ毒の解析費用。
450000円は真空凍結乾燥機の購入費用、輸送費用、設置費用。
200000円はサソリ×40匹(今回毒を調査するサソリは大型の種類なのですが一個体からとれる毒の量は1ml以下で限りなく少なく、解析に必要な量をとるためには40匹でないと難しいからです)の入手費用。
残りの金額はクラウドファンディング手数料と税金納付費用。
リターンについて
100000円コースでは 振込明細書。サソリ毒の解析結果を基に作成した医薬品、農業用薬品の研究開発に有用なペプチド化合物のアミノ酸配列ライブラリ(サソリ毒由来ペプチド化合物のアミノ酸配列リスト)。
スケジュール
2025年11月 真空凍結乾燥機の購入。アミノ酸配列解析に必要なサソリ毒液の抽出を開始。サンプル採取後公的機関又は企業にアミノ酸配列解析を依頼。
2025年11月~2026年4月にかけて解析結果を基に抗真菌ペプチドのスクリーニングと毒性評価研究を開始。
2026年6月 抗真菌ペプチド剤の製造に向けて、準備費用の二次クラウドファンディングを開始。
最後に
本プロジェクトの最終目標は一般的に人々から危険視され、恐怖の対象としてとらえられるサソリやクモのイメージを払拭することです。
そのためには身近な植物の栽培で発生するカビ等の問題を、サソリの毒を使って解決できればと考え、本プロジェクトを考案させていただきました。
もし実現し、社会実装が出来れば、特異的な高選択性を持つ新しい薬剤で真菌だけでなく細菌による病害からも植物を救うことができます。
既存農薬では使用後の土壌への滞留が問題になりましたが、今回のプロジェクトで開発する薬剤は病原体にのみ作用するので、使用後は土壌の再利用が可能だと考えております。
本プロジェクトは、最終的にサソリやクモに対してのイメージを根本から、変える一助になることができるのではと私たちは考えております。
そこで皆様から、是非ともご支援を頂きたい所存で御座います。


国内で、個人経営の爬虫類ショップの人と個人で研究している人がタッグを組んでこのような事業を行うのはあまり例がないことではありますが、我が国の新しい民間技術の発展のためにも本プロジェクトを皆様と共に成功させたいと思っております。
そのためには皆様からのご支援が必要不可欠になります。
何卒ご支援の方、宜しくお願い致します。
人物紹介
梶並 魁
現在通信制の大学で勉強をしながら、個人で生物学の研究に没頭。本プロジェクトではサソリの毒成分調査及びプロジェクトの指揮を担当。
谷渕史明
爬虫類ショップ(叢雲屋)店長。幼少期から生き物に対する興味や愛情が深く、プライベートでも多種多様な生き物を飼育。生き物の鳴き声や匂い、水槽から聞こえる水音などが、日常の中で心を落ち着かせてくれる、かけがえのない空間の一部となっている。福祉業に従事した後、子供の頃から抱いていた「生き物と関わる仕事をしたい」という想いから、爬虫類ショップ(叢雲屋:〒569-0034 高槻市大塚町5丁目13-3)を開業。本プロジェクトではサソリの調達及びプロジェクトの指揮を担当。保有資格/動物取扱業責任者・小動物飼養販売管理士・愛玩動物飼養管理士




プロジェクト責任者の梶並 魁です。プロジェクトの内容に関する質問は下記の連絡先に連絡を宜しくお願い致します。 ・e-mail k.kai429jp@gmail.com ・Tel 080ー3854ー7328