自己紹介
私はオフロードバイクに乗って40年くらい経ちました。この間の経験をもとに20年前からオフロード用タイヤ、チューブの販売をしてきました。この2年ほどはゴムに代わる新しい素材、TPU(熱可塑性ポリウレタン)を使った競技用タイヤチューブの製作、販売を行ってきました。
このプロジェクトで実現したいこと
かつて、自動車を含めたタイヤには内部に空気を詰めたチューブが使われていましたが、現在はほとんどの自動車、バイクでチューブレス化が進んでいます。しかし、まだ一部のオートバイではゴム製のチューブが使われているのが現状です。ゴム製のチューブは1本数百グラムから1000グラム以上の重さがあります。チューブタイヤはチューブを使わないチューブレスより重いため、燃費にも影響があります。また、市場全体で見るとゴムが大量に使われているので、資源への負担も大きいことが懸念されます。
左が従来のノーマルゴムチューブ750gあるが、同サイズのTPUチューブは140gしかない。ゴムチューブはゴムの厚いヘビーチューブになると1kgを超える。
TPUは最近使われ始めた素材ですが、リサイクルが可能で、ゴムの10倍以上の強度を持つ特徴があります。タイヤチューブに使うと重量比で最大10分の1程度に軽量化が可能です。オフロードでよく使われる1kグラムのゴム製ヘビーチューブは140グラムくらいのTPUチューブに置き換えることができます。ヘビーチューブのゴムの厚さは1.5~2ミリありますが、TPUチューブは0.2~0.25ミリしかありません。
日本国内のオートバイ保有台数は約1000万台と言われています。このうち、チューブを使っているオートバイはかなりの台数に登るはずです。自動車のタイヤはリサイクルが進められていますが、オートバイのタイヤチューブはほとんどが使い捨ての状態です。このタイヤチューブをゴムからTPUに代えることで、資源の節約、リサイクル化を進めることができるはずです。
プロジェクト立ち上げの背景
じつは4年ほど前、自転車競技用のTPUチューブの存在に気が付きました。自転車競技はタイヤの重量がそのまま性能差になる世界です。ゴム製タイヤチューブは数百グラムですが、それを20数グラムまで軽量化できる画期的なTPUチューブが登場していました。当時、オフロードタイヤを扱っていた私は、オートバイ用のTPUチューブがないか、あちこち探しましたがありませんでした。そこで、自分で作ってみることにしたのです。
さっそく、素材となるTPUを入手して、チューブの試作を始めました。TPUの接着、バルブの取り付けなどいくつかの技術的ハードルがありましたが、試作品が出来たのが2年前でした。最初はオフロードバイクの競技用として、トライアル、モトクロス用に販売を開始しました。そこでいくつかの問題が見つかりましたが、改良を加えて、1年ほど前にようやく一般公道で使用しても安全なチューブを作ることができるようになりました。
初期のTPUチューブはバルブを専用接着剤で固定していました。手で思いっきり引っ張ってもとれないほど、接着力は十分だったのですが、タイヤ内部でバルブの根元が引っかかるなどして、はがれてくることがありました。

そこで、バルブのナットを利用して、内部から止めるようにバルブの取付方法を改良しました。引っかかりの原因だったバルブのゴム部分を切断して、内部にOリングを入れ、空気漏れを防いでいます。ナット、接着剤、Oリングの3つでバルブを固定しています。この方法に代えてから、バルブに関する不具合はなくなりました。また、チューブの接合部も接合部分を広くするなどして万一の剥がれを防いでいます。
現在の準備状況
すでにTPUチューブの製造法を確立することができました。いくつかの問題点を改善するノウハウもできました。製造は人の手による人力なので、1日あたりの生産本数はあまり多くありませんが、資金を確保できれば、徐々に拡大することが可能です。このプロジェクトを通じて、TPUチューブの存在を知ってもらうことも大事だと考えています。
このプロジェクトではリターンにオートバイでよく使われているサイズのTPUチューブを提供したいと考えています。人力で製造できる数量の範囲でリターンを募集します。
TPUチューブの特長
TPUチューブのメリットは大幅な軽量化が可能になる点ですが、それだけではなくパンクにも強いという特徴があります。釘や突起物が刺さったときにパンクするのはゴムチューブと同じですが、オートバイのタイヤパンクで一番多いのはリム打ちです。段差や石にタイヤがぶつかったときに発生するパンクです。
とくにオフロードバイクではグリップをよくするためにタイヤ空気圧を低くする場合があります。ロードバイクでは2kg程度入れることもありますが、オフロードバイクでは0.8kg以下にすることが多く、場合によっては0.4kgという低い空気圧で使うこともあります。これだけ空気圧を低くするとタイヤのリムがタイヤのゴムに打ち付ける、リム打ちが起こります。タイヤのゴムはチューブのゴムよりも硬いため、挟まれたチューブのゴムが裂けてしまうのです。
TPUチューブの場合、硬度が80~90あります。タイヤのゴムは60程度です。ゴムよりも硬いTPUはリム打ちしてタイヤのゴムに挟まれても、硬いために裂けることがありません。じっさい、私がテストで林道を走り回っても、リム打ちによるパンクは一度もありませんでした。そのときの空気圧は0.4~0.6kg程度でした。石や丸太にタイヤを打ち付けるとごつごつとしたタイヤがつぶれる感触がきますが、パンクすることはありませんでした。自転車のTPUチューブではリム打ちによるパンクがありますが、自転車のタイヤゴムと比較してバイクのタイヤゴムは厚いため、硬いリムの影響が小さいと考えられます。
上の動画は空気圧を0.4kgにして丸太が敷かれた作業道を走ってみた様子です。フロントタイヤがつぶれてかなりごつごつ来ますが、パンクすることはありませんでした。
また、ゴムからTPUチューブに替えるとすぐに気が付くのは、フロントの軽さです。オフロードバイクはフロントが軽くなると取り回しやコーナーでのバイクの挙動が楽になります。オートバイは軽量化するためにアルミや高価なチタン製部品に代えることがありますが、前後のチューブをゴムからTPUに替えるだけで、1kg以上の軽量化が可能です。しかもサスペンションの負担が軽くなるというメリットもあります。
TPUチューブは軽いだけでなく、手のひらに握れるほどコンパクトなのも特徴です。もしものパンクに備えて、ウエストバックに入れることもできます。かさばらないので、ツーリングのお供にもぴったりです。
良いとこだらけのTPUチューブですが、一つ欠点があります。それは熱に対する可塑性が高いという点です。TPUは約80度で柔らかくなり始めるため、高温になる環境では使えません。オートバイタイヤが80度を超えることはまずありませんが、高速道路などの100km以上の速度で長時間走行した場合、タイヤの温度が上がる可能性があります。そのため、TPUチューブは高速道路で使用することはできません。80km以下での使用をお願いします。
チューブ交換、パンク修理
TPUチューブの取り扱いは従来のゴムチューブとほとんど同じですが、注意していただく点があります。それはタイヤの外で空気を詰めないようにすることです。タイヤに入れないで空気を詰めると一部だけが膨らんでしまう現象が起きます。TPUはある程度伸縮しますが、一度伸びるとほとんど元に戻りません。伸びた部分は薄くなるため、穴が開きやすくなります。
また、タイヤにTPUチューブを入れる前に中の水分を十分にふき取ってください。水が残っているとTPUが張り付いて一部だけ伸びてしまうことがあります。TPUチューブをタイヤに入れビードを入れる前に、一度、ゆるくチューブを膨らませて、タイヤ内部になじませるようにしてください。TPUチューブは薄いため、リムとビードの間に挟み込みやすいです。TPUが挟まったまま空気を入れると、その部分が伸びてしまいパンクの原因になります。空気を入れた後、バルブが真っすぐになっていることを確認してください。斜めになっている場合は、チューブの根元を噛んでいる可能性があります。
バルブは出来るだけ真っすぐに
バルブにはナットが2個ついていますがチューブ側のナットを緩めないようにしてください。
0.4kgといった低圧で使用する場合はビードストッパーが必要です。
パンク修理は自転車用のTPUパンク修理キットが使えます。水に入れパンクした個所を調べたうえ、周囲をよく洗浄してパッチをあててください。継ぎ目から漏れてくる場合はセメダインのPPXを流し込み、上からパッチをあててください。
TPUはその性質上、紫外線などで変色しますが、ご使用には差し支えありません。保管する場合は冷暗所に置いてください。
TPUには水蒸気を通しやすいという特徴があります。そのため、空気を詰めた後に内部の水蒸気がしみだし、少し圧力が減ることがあります。パンクではありませんので、空気圧チェックを定期的にしてください。
タイヤの中に入れてしばらくするとタイヤゴムの色が移り、茶色に変わりますが、性能には影響ありません。
リターンについて
このプロジェクトのリターンはTPUチューブです。サイズは以下の通りです。お乗りのバイクのタイヤサイズがわからない時はお問い合わせください。TPUチューブはゴムのように伸びないため、小さいサイズを大きなタイヤに入れることはできません。サイズは適切にお選びください。また、初期不良については無料で交換いたします。交換以上の責はご容赦ください。
80/100-21(一般的なフルサイズオフロードバイク・フロント)
110/100-18(一般的なフルサイズオフロードバイク・リア)
120/100-18,140/80-18(250cc以上のフルサイズオフロードバイク・リア)
110/90-19(モトクロス、ファンバイク・リア)
2.25-17,80/90-17(スーパーカブノーマルタイヤ・前後)
各重量140g~180g、製造上の誤差があります。簡単な説明書が付きます。
リターンの選択でサイズを間違えたときは、コメントなどでお知らせください。
上記のサイズにない場合でも、製造することが可能かもしれません。お問い合わせくだされば、検討いたします。
お得な前後セットもあります。
製造・販売:ハムスクエア
スケジュール
6月 クラウドファンディング開始
7月 クラウドファンディング終了
8月上旬 リターンへの製造開始・順次発送開始
リターンの発送は状況にもよりますが、1,2か月かかることも予想できます。
最後に
新しい素材を使うことは、大きな可能性もありますが、予測できない問題が発生することも考えられます。問題が発生した場合は素早く対応するつもりですが、新しい試みに対して、応援いただけると幸いです。
最新の活動報告
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2025/06/24 09:22ご支援、ありがとうございます。終了まで少し時間がありますが、リターンは終了前でも発送できます。ご希望の方はお知らせください。 もっと見る






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