12年間にわたる現場の記録。
対話から生まれ、次々と連鎖していった企画たち。
身体表現の現場から見えてきた、からだの教養とゆるい哲学。
暗黒舞踏の普及を背景に、
閉ざされがちな芸術を、どう社会にひらいていくか。
酒と対話の中で試行錯誤を重ね、
コロナ禍や評価への嘆きも交えながら、
社会と舞踏をつなげようとした、ひとりの若きプロデューサーの奮闘記です。
舞踏を知らなくてもきっと共感できる、〈越境する人〉の物語。
Photo : yixtape

1960年前後、日本が学生運動に揺れ、西洋文化の急速な普及の裏で“日本らしさ”を問い直す文化や芸術が次々と生まれた時代。その只中で、のちに世界へ広がる「暗黒舞踏(のちの舞踏)」が誕生しました。
白塗りやスキンヘッドなどの強烈なビジュアル。西洋のダンスとは異なる、東洋的な肉体論と精神性。そして「老い」「衰え」「ふるえ」さえ肯定する、価値観を根本から揺さぶる表現として、舞踏は世界に大きな衝撃を与えました。
Butohという名で海外に渡った舞踏は、多くの芸術家や文化人を魅了し、世界中にコミュニティが生まれるほど大きな影響を残しました。今では世界中で舞踏を学ぶことができ、「世界の舞踊史にその名を刻んだ」と言っても、決して大げさではありません。
けれど、その舞踏が生まれた日本では、意外なほど知られていません。
この“ねじれ”こそが、僕が知恵を絞り続けてきた理由であり、そしてその過程で、この本が生まれました。
Photo : yixtape
舞踏に詳しくなくても、ぜんぜん大丈夫です。
この本は、ひとりの制作者が、現場の人たちと対話を重ねながら
「舞踏とはなにか」「企画とはなにか」「社会とどう繋がるか」を探ってきた記録です。
だからこそ、こんな人に読んで欲しい。
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・舞踏や身体表現に興味がある人
・マイナーな分野やジャンルの普及に取り組んでいる方
・ゆるいけど深い“身体の哲学”に触れてみたい人
・未知の世界をのぞいてみたい人
・アートやイベントの現場で悩んでいる人
・自分の企画をどう形にしていいか迷っている人
・NPOや助成団体など、“支える側”として日々奮闘されている人
・自営業や個人事業主などで、道なき道を切り拓いている人
・分野横断、ジャンルの越境に興味がある人
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舞踏という言葉をきっかけに、
対話や企画、普及と醸成、そして哲学や教養について、
あなた自身の場所に重ねて読んでもらえたらと思っています。
舞踏の話でありながら、
きっとあなた自身の物語にもつながる一冊です。
Photo : yixtape
こんにちは。札幌を拠点に、舞台芸術や文化事業のプロデュースをしている森嶋拓(もりしま ひろし)と申します。
専門はコンテンポラリーダンスと舞踏を軸とした身体表現。
ほかに芸術祭のディレクション、新聞や文化施設への寄稿、国際交流事業などにも携わってきました。
最近は、教育とアートをつなげるネットワーク事業にも取り組んでいます。
この度、自分のこれまでの活動を一冊にまとめた書籍
『読む舞踏BAR』の出版に向けて、クラウドファンディングを立ち上げました。
Photo : yixtape
もともとはストリートダンスを出発点に、クラブイベント、アートイベント、舞台公演、野外フェス、温泉×音楽×癒しイベント、仮面舞踏会×DJイベント、さらにはクリスマスに対抗した「釈迦誕生祭」なんて仏教と現代アートの企画まで──
とにかく面白そうなイベントを主催してきました。

Photo : yixtape
そんなことをしているうちに年を重ね、気がつけば活動の軸はコンテンポラリーダンスと舞踏という“身体表現”へと移っていきました。
僕は文化施設や文化団体に所属していたわけでもなく、人や作品との出会いの中で、自然に舞台芸術を学びながら歩んできました。
ストリートを出発点に、さまざまな現場を渡り歩きながら、
人と出会い、対話を重ね、少しずつ形をつくってきた野生のプロデューサー。
その実践の積み重ねが、今の自分の原点です。
そんなわけで、最近は自分のことを“野良プロデューサー”と呼んでいます。
Art work : Hal Tanaka, Photo : yixtape
2012年、札幌で「コンテンポラリーダンスと舞踏の拠点をつくろう」という構想が持ち上がり、僕はその企画に巻き込まれるように参加しました。
当時のミッションのひとつは、「舞踏を盛り上げること」。正直に言うと、途方もない挑戦に思えました。
暗黒舞踏は、日本で生まれた表現でありながら、いまだに“難しい”だったり、“よくわからない”と言われがちです。
どうしたら、もっと身近に感じてもらえるだろう?
どうしたら、知らない人にも“舞踏の入口”をつくれるだろう?
そう考えた末にたどり着いたのが、舞踏とBARを掛け合わせた「舞踏BAR」というアイデアでした。
そこには笑いもあり、カラダの哲学もあり、そして新しい対話が生まれました。
この“境界を飛び越える場づくり”こそが、僕の活動の原点になりました。
Photo : yixtape
この本を書こうと思ったきっかけは、ある日、妻がふと言ったひとことでした。
「これまでの経験を、本にまとめてみたら?」
そのときは「そんなに書くことあるかな」と笑い飛ばしていました。けれど、コロナ禍で仕事が思うようにいかず、焦りと不安ばかりが募っていたある日、彼女が泣きそうな顔で僕に言った言葉が、心に残りました。
「もっと楽しそうにしていてほしい。」
その言葉にハッとしました。数字や成果ばかりを追いかけて、自分の“楽しむ力”を見失っていた。
だからこそ、もう一度、自分が歩んできた道を見つめ直そうと思いました。
この本は、そうした想いから生まれた「原点回帰の記録」です。
Photo : yixtape
この本は、10年以上にわたる舞踏の活動と、
そこから広がった公演・フェスティバル・企画の記録です。
けれど、単なる出来事のまとめではありません。
現場での対話を通して、「企画とは何か」「表現とは何か」「境界とは何か」を問い続けた軌跡でもあります。
次の世代へとつなぐ“思考と実践のノート”として、読んでもらえたら嬉しいです。

Art work : Hal Tanaka, Photo : yixtape
原稿はすでに書き上がっており、現在は最終校正の段階です。登場する関係者の方々にも、これから順に確認を取りながら丁寧に仕上げています。
2026年2月に販売開始を目標に、急ピッチで作業を進めています。
Photo : yixtape
『読む舞踏BAR』は、下記の5つの要素によって構成されています。
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1、舞踏奮闘記(全27章)
舞踏BARの誕生、滝や遺跡のワークショップ、ビルのっとり、怪談ツアー、舞踏フェスティバル開催、コロナ禍の活動休止と再開、ミステリー舞踏ツアーの実施まで──12年以上にわたる企画と挑戦の記録です。
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2、イベント概要と分析
「イベント概要」「企画の背景とねらい」「効果」「影響」など、通常は助成金の報告書でしか書かれないような内容を、あえてプロジェクト毎に書いていきました。
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3、ひとやすみコーナー(全3回)
「舞踏ってなんですか?」「日本語と舞踏」など、素朴な問いを入り口に、舞踏という表現の輪郭をゆるやかに、ふわりと探ります。
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4、プロデューサー視点ミニコラム(全4回)
「プロデューサーってなにをするひと?」「来場理由を増やす」など、創作とマネジメントのあいだにある思考を、制作者の視点から綴りました。
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5、特別寄稿(全2章)
日本最北の舞踏家・田仲ハルさんによる特別寄稿です。
ひとりの舞踏家の視点から見た“舞踏BARの12年”が語られます。
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よろしければ、試し読みをどうぞ
本を買うとき、「内容がよくわからないもの」は、少し迷ってしまうものです。
この『読む舞踏BAR』も、きっとそう感じる方がいるかもしれません。
だからこそ、少しでも中身を感じていただけるように、
各パートの試し読みを用意しました。
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1、舞踏奮闘記より 第6章『遺跡』
URL:https://note.com/trash_treasure/n/nc8
2、ひとやすみコーナー『舞踏ってなんですか?』5つの問いから見えてくる舞踏の輪郭
URL:https://note.com/trash_treasure/n/n6
3、プロデューサー視点ミニコラムより『ひらくこと、とじること』
URL:https://note.com/trash_treasure/n/n4a0b76bac93b
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Photo : yixtape

本そのものを中心に、3種類のカテゴリーでリターンを用意します。
ちなみに書籍「読む舞踏BAR」だけは、全てのリターンにつきます。
1、グッズリターン:書籍・コースター・ポストカード・Tシャツなど
2、コラムリターン:特別に書き下ろしたミニコラムをいくつか!
3、オンラインリターン:オンラインで現場の裏側をお話したり、ガチ相談もお引き受けします!
4、リターンはいいんだ!シリーズ:ただただ、お気持ちに感謝です!
リターンは後日追加になる場合がございます。

ご支援者のお名前をWEBや書籍に掲載させてください(もちろん任意です)
書籍は巻末に支援者一覧を掲載するページを作ります。
なお、団体や企業の場合はロゴの掲載も可能です。
Photo : yixtape
2025年
11月27日 : クラウドファンディング開始予定
1月7日 : クラウドファンディング終了・支援者名確定
2026年
1月中旬 : 本の最終入稿・名前リスト最終確認+デザイン反映
2月中旬 : 印刷・発送開始(予定)
3月中旬 : 出版記念イベント開催(予定)リアル+オンライン
Photo : yixtape
本をつくるには、どれくらいの費用がかかるのか。
調べてみると、一般的には200万~600万円ほど。
実際に出版社に見積もりをとったところ、おおよそ350万円……なかなかの金額です。
そこで、私たちは古民家をDIYするかのように自分たちで手を動かし、
印刷や制作の工程を工夫することで、
およそ 150万円程度 までコストを抑えられる見通しが立ちました。
・出版に関わる各種申請費用: 10万円
・出版費用(印刷・製本など): 150万円
・プロモーション費用 :20万円
・ほか、クラウドファンディング手数料など
Photo : yixtape
まずは、クラファンの目標金額を 90万円 に設定しました。
最初は少しびびって50万円にしようかと思いましたが、
せっかくなら挑戦してみよう、と開き直りました。
本づくりのプロセスそのものも、
この挑戦の一部として楽しんでもらえたら嬉しいです。
Photo : yixtape
デジタルやAIが加速する現代だからこそ、逆に“人間の身体”が持つ存在感が、これまで以上に浮き上がってきているように感じています。いまの僕のテーマは、まさに「社会 × 身体」です。
舞踏は、肉体と精神が密接に結びついた身体表現です。老いも若きも、強さも弱さも、あらゆる身体をそのまま受け入れながら、内側を感じたり、からっぽにしたり、外側からの影響によって踊らされたりします。その境界線の“ゆらぎ”にこそ、舞踏の魅力が宿っています。
舞踏には「表現しないこと」など、とんちのような言葉が日常的に登場します。けれどその逆説の中には、確かに“身体の深い知性”があります。
僕はそれを勝手に「身体感性」と呼んでいます。AIが“正解らしき答え”を返してくれる時代において、その身体感性こそ、人間が持つ大切な“違い”として光るものだと思うのです。
この本の出版だけで終わらせるのではなく、今後もさまざまな方法で、社会とアート、社会と身体をつなげていく必要性を、これまで以上に強く感じています。
Photo : Atsushi Kato

プロジェクト開始後に、順次掲載してまいります。
僕がやりたくて始めた挑戦です。
だからこそ、「助けてください」ではなく、
「一緒に楽しんでもらえたら嬉しい」という気持ちでいます。
「なんか面白そうな人だな」と思ってもらえたら嬉しいし、
「この本、読んでみたいな」と思ってもらえたら、もっと嬉しい。
世界には、舞踏のようにまだ光の当たらない、小さくてマイナーな分野がいくつもあります。
スポーツでも、文化でも、音楽でも、ビジネスでも。
その“普及と醸成”に力を尽くす人たちにも、
この本が小さな共感や発見を届けられたらと思います。
このプロジェクトは、私個人の“挑戦”であると同時に、
これまで多くの仲間たちと築いてきた文化の記録であり、未来への継承でもあります。
この一冊が、誰かの中に新しい問いや行動の種を残せたら。
その小さな芽が、また次の時代へとつながっていくことを信じています。
Photo : yixtape
✍️ 森嶋 拓(もりしま ひろし)
身体表現を軸とした舞台芸術/文化芸術のプロデューサー。
2012年にCONTE-Sapporo Dance Centerを有志と立ち上げ。
アーティストの中間支援、振付家養成講座などの人材育成、舞踏BARやフェスティバルなどの舞踏普及活動、地域とアートをつなげる「まち×ひと×アート」のプロデュース、教育とアートをつなぐネットワーク活動など、その活動は多岐にわたる。
国内外の新聞や文化施設などにたまに寄稿しており、文章を書くことが好き。
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【主な肩書】
株式会社ラツカ 代表取締役
CONTE Dance Production プロデューサー
北海道コンテンポラリーダンス普及委員会 委員長
飛生芸術祭 パフォーマンスディレクター
一般財団法人田嶼碩朗彫刻美術財団 理事長
スパークプラグ・アライアンス 事務局長
北海道舞踏フェスティバル プロデューサー
【受賞歴】
札幌市民芸術祭奨励賞
北の聲アート奨励賞(ビルダップ賞)
最新の活動報告
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応援コメント 日本最北の舞踏家 田仲ハルさん
2025/12/04 15:15読む舞踏BARへの応援コメントをいただきました。これまでの活動をともにしてきた、田仲ハルさんからです。以下「北海道という舞踏未開地で、舞踏の種をまくことは容易くはなかった。森嶋氏と共に二人三脚で歩んだ、この12年。真っ白な雪原の北の大地を、舞踏の足跡で真っ黒に塗りつぶすべく奔走した、山あり谷あり地獄ありの年月。森嶋拓氏が、この日々の軌跡を一冊の本にまとめるという。いつものメールの文章のような、ゆるーい文体で書かれた本書は、まるで話し言葉のような口調で展開し、舞踏を知る人も知らない人も簡単に楽しんで読めるだろう。普段の氏のクールな態度からは、中々想像が出来ないユーモアが随所にちりばめられている。これまでに語られることのなかった裏話や、エピソードの数々、氏の本音などが淡々と書き進められ、それでいて読後は、何かをやり遂げた直後の人間特有の心理的な感動すら覚える。また、氏のプロデューサーとしての役割や、考察、実験、極意なども多く語られている。「仕掛ける」ということはどういうことなのか。プロデューサーやディレクターを目指す若い方々にも是非読んで頂きたい一冊である。」田仲ハル もっと見る
















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