
百年蔵の敷地内には、昔から使われていた井戸が今も残っています。
片付けや整備を進める中で、この井戸を見ながら、改めて日本人にとって「水」がどれほど大切な存在だったのかを感じています。
日本には古くから、万物に神が宿ると考える「八百万(やおよろず)の神」という考え方があります。
その中でも、水は命を支える特別な存在として大切にされ、湧き水や井戸には「水神様」が宿ると信じられてきました。
井戸は、ただ水を汲む場所ではなく、暮らしを支え、人々が手を合わせ、大切に守ってきた場所でもあります。
今でも日本では、井戸を掘る時や、役目を終えて埋める時には、神職や僧侶の方にお祓いをお願いする文化が残っています。
また、元旦の朝に井戸から最初に汲む水は「若水(わかみず)」と呼ばれ、邪気を祓い、新しい一年の健康や命を願う特別な水として神棚に供えられてきました。
効率だけではなく、自然と共に生き、水を大切にしながら丁寧に暮らしてきた日本人の知恵や精神性。
この蔵を単に直すだけではなく、こうした日本の文化や精神性も、ものづくりと共に未来へ繋いでいきたいと思っています。



