
クラウドファンディングでご支援いただいた皆様、あけましておめでとうございます。 『新版 ボードゲーム教育概論』制作担当の松本です。
現在、本作はいよいよ最終校正・校閲という大きな山場を迎え、越えかけている地点です。私のお正月は、家族の帰省により東京で1人となった3日間、合計30時間をすべて校正作業に捧げることとなりました。
ずっと原稿と向き合いながら改めて「ぜひ読んでみてほしい」と感じたのが第1章「ボードゲーム教育概論」のパートです。前回の報告では「実践のファシリテーション」に触れましたが、今回はその土台となる「思想」の部分についてお伝えします。

ルールと人の関わりを考える
現代は、既存の正解が通用しない「不確かな時代」と言われます。そんな時代に、ボードゲームで遊ぶ体験はどのような意味を持つのでしょうか。
一般的にボードゲーム教育といえば、「仲良く楽しめる」「論理的思考や心理戦を経験できる」といった側面が注目されます。もちろんそれも重要なポイントですが、本書ではもう一歩先にも踏み込み、今の時代にこそ必要な体験がボードゲーム教育には含まれているのだと訴えています。
ボードゲームは、プレイヤー全員が「その場を楽しく維持する」ために、自律的にルールを引き受けることで成立します。同じゲームでも、デジタルゲームと異なり、参加者の合意があればルールをその場で調整することも可能です。
「このルールは何のためにあるのか」「今の状況に合っているのか」を問い、必要に応じて合意を形成し、ルールを書き換えていく。このプロセスは、既存の枠組みが行き詰まった現代社会において、他者と共に歩むための大切な「態度」を養う経験になると考えています。
前作『概論Ⅱ』でも触れたこのテーマを、今回はボードゲームの構造や特性を交え、より深く、詳細に解説しています。
発刊前に高まる「緊張感」
2025年12月から本格化した校正業務は、協会メンバー総力で取り組んできました。とにかく紹介ゲームが84作品もあるので、素読するだけでも時間がかかります。

なかでも、この第1章は、2年間にわたる実践者たちとの対話、リサーチ、そして研究者の助言が溶け合い、結晶化したものです。
結果として、私たちが提示するボードゲーム教育の「価値」は、他であまり見ない、独自性のある主張となりました。とはいえ独自性を目指したわけではなく、参照できる言説があまり見つからず、自ら地平を切り拓くしかなかったのです。
それゆえに、一種の「緊張感」も感じています。議論を積み上げ、自分たちでは納得のいく内容に到達しましたが、果たして社会はどう受け止めるのか。
本書をきっかけに、ボードゲームが持つ教育的な価値についての議論が社会でもっと増えてくれたら、これほど嬉しいことはありません。
ボードゲーム教育の価値を訴えるという意味では、実は本書にも込められなかった別角度の論理などがまだ残っていて、今後、そういうことを含め、活発な議論が増えるといいなあと心底願っています。
お届けまであと少し。 実はまだ調整すべき点は残っていますが、いっそう「精度」を高めつつ、今月中にまとめ上げることを目指し、全力を尽くしています。ぜひ、楽しみにお待ちください!






