45年の灯を次の世代へ──tottoriカルマ戎町店の閉店を“新しい船出”に

2025年12月tottoriカルマは11年間の幕を閉じます。東京での34年間を足すと、45年。しかし運営者75歳の今、諦めて「全て仕舞う」町の明かりを消す選択は出来ません。次の航路へ舵を。市内拠点「トりんく まんまる」を、ブックカフェ✕私設図書✕小さなイベントスペースへ“新しいカルマ”始めます。

現在の支援総額

2,306,233

76%

目標金額は3,000,000円

支援者数

273

24時間以内に8人からの支援がありました

募集終了まで残り

26

45年の灯を次の世代へ──tottoriカルマ戎町店の閉店を“新しい船出”に

現在の支援総額

2,306,233

76%達成

あと 26

目標金額3,000,000

支援者数273

2025年12月tottoriカルマは11年間の幕を閉じます。東京での34年間を足すと、45年。しかし運営者75歳の今、諦めて「全て仕舞う」町の明かりを消す選択は出来ません。次の航路へ舵を。市内拠点「トりんく まんまる」を、ブックカフェ✕私設図書✕小さなイベントスペースへ“新しいカルマ”始めます。

小さな無国籍料理店カルマ

中野時代の終わり、そして2012年〜

一路、鳥取へ(連載8回目)

◆次の扉を開ける2人/最前線の「ド真ん中」鳥取へ◆

「丸さん、11月に『トットリノススメ』って言う2日間のイベントに出てパーティーでお料理出す出店、してくれませんか」

2012年、夏の終り。

ある日、終わりを目の前に控えた「中野の小さな無国籍料理店カルマ」の店内でベルが鳴り、鳥取出身の元カルマスタッフであるカルン(赤井薫)の声が電話口から響いてきた所…からのお話。

実は同時期に、山崎亮さんの「ふるさと最前線」という講座に出席していたのでした。

「鳥取は人口減少の問題に関しては超最前線ですよ」…そう聞いていた事もあって、興味深さと何より「パチン!!」とピースの嵌る音が響いてきそうなタイミングを感じたのです。

2012年。その年の冬のはじまりに、ココスキーパンや愛用の調理器具をギッシリ詰めた巨大な蛍光イエローのトランクをゴロゴロ引っ張って新宿(バスタ新宿が出来る4年くらい前の話。当時は南口の路上から乗ってた)から長距離バスに乗り、長々と揺られた果てに辿り着いた鳥取駅。

早朝、白い息を吐きながら荷物を抱えバスを降り立って初めて見る鳥取駅には雲間から眩しい光が幾筋も幾筋も降り注ぎ、駅なのに何故かイタリアの教会の天井画と祭壇のように神々しく光り輝いていた。

(後から判明したけどコレは鳥取の気候としては至極普通の通常営業だった)

「ここが約束の地だよ」

…気の所為だとは思うんだけど、何だか顔のすぐ横に優しく囁かれている雰囲気。

そんな鳥取駅前に広々とひらけた空、その空にノビ〜ンと飛んではクルリと奔放に舞うトンビ、駅前なのにキリリとした甘い空気、そして絵のようにドドンとした久松山に向かって真っ直ぐ伸びて行くアーケード、すんなりした商店街。そんな風景のド真ん中に初めて降り立ったのでした。

「ウワー!!きれい!」暫くウロチョロと空を見上げたり駅周辺だの見て回っていたら太陽の光の筋はそのままに、アッと言う間にバラバラバラッ!!と雹が降ってきた。

冷たい粒々が、面白がって狙ってくるように首スジにいくつも入って来る。震え上がって振り払いながら駅ナカに避難する事になったんだけど…それもまぁ冬の始まり鳥取の通常営業(つまり鳥取の冬装備はマフラー必須)だったのだ。

イマデハモウ(.^_^)ナレッコヨ

今思うと、この時既に鳥取が放つキューピッドの矢は、心臓ド真ん中に深々と刺さっていたのです。

駅の中で風と雹を避けて暫く待っていたら、呼んでくれたカルンこと薫ちゃんが「丸さ〜ん!!」と迎えに来てくれた。

そして荷物をお店に置いて、何と天然温泉のお銭湯(忘れもしない末広温泉町「元湯温泉」。でも鳥取のお銭湯が軒並み天然温泉だというのは、当時全く知らなかった)に連れてって「素早く芯まで温めコース」を仕立ててくれた。

早、鳥取の地の恵みが放つ切っ先鋭い矢「ニノ矢︰天然温泉!!」が、心臓ド真ん中にHit The Spotな予感…?!

血流がそんな活発でない派のわたくし伊太朗の血潮は、温泉成分と長旅の筋肉を緩ませる少し熱めの湯加減にカンタンに絆され、ぐるぐるせっせと活発に巡り始めた。

「ふあぁ~…はわわわ…」温泉パワーを全身で感じ、緊張が解けると出てくる癖のあるアクビを連発しつつ、芯まで茹だって浴室を出ると…脱衣場の鏡に写った顔は旬ド真ん中の水蜜桃的萌えピンクに染まっていた。(当時62歳ですけど…)

と、目の前に見慣れた瓶入り牛乳が。でもその商品名が…

「白バラ牛乳…?!何だぁそのミェルヒェンな名前…絵本のタイトルなのかな!?」

あんまりって言うか殆ど牛乳って飲まないんだけど、名前に惹かれて買って飲んでみると…お…美味しい…!何だこの乳脂肪の酸化を全く感じない、まるで集乳地が隣の家みたいな新鮮さは…?!

なんと鳥取が放つ仕事人キューピッドの矢は、次々と簡単に心臓ド真ん中をキメてくる。

とうに鳥取愛乃致命傷間違い無しのわたくし伊太朗は、美味しい白バラによって最上の茹で上がりに間髪入れず冷水で色留めされた神の絹さやのようにキリリと引き締まり、冴え冴えと桃の頬をして元湯を出た。

と、すかさず迎えに来てくれた薫ちゃんは「じゃ、丸福開いたから行こ〜」と当時まだ営業していた喫茶店に向かってくれました。

濃いブラウン基調の落ち着いたレトロな店内。薫ちゃんは店内に寛ぐ、新聞広げつつ朝の情報交換に勤しむ商店街のご店主方に目礼などしつつ奥の席に座る。

街の朝だ。

そしてわたくし伊太朗はこの店内の皆様に圧勝できる事が1つだけある事に気が付いた。

「オレは今きっと、この店内で1番体温が高い!!」

…さあ!!どっからでも掛かってきなさい!という温泉虎の威無敵モードでモーニングを戴く。

コーヒーも旨い。出店打ち合わせをしつつ、バターを塗られたトーストを噛み締めました。

美味しい。そしてまだ足先までぽかぽか幸せなこの温かさ。

何だかもう、引き返せない魅惑の道に踏み込んだのかも…in鳥取。

さて、今回はこの辺で。

また続きをお楽しみに!!

現在ご支援していただいた方251人。他にもたくさんの応援メッセージをいただいております。 残り31日、行けるとこまで行きます。引き続きクラファン応援よろしくお願いします。

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