
希ちゃんをお迎えした日
広島市動物愛護センターで暮らしていた「希(まれ)ちゃん」。
職員さんたちは毎日、一生懸命に里親さんを探してくれていました。
けれど、推定10歳という年齢のせいか、なかなか新しい家族と出会うことができませんでした。
乳腺腫瘍の手術を受け、歯周病の治療で6本の歯を抜いた希ちゃん。
身体の負担も少なくはなく、それでも小さな体で頑張って生きてきました。
その姿を見て、スタッフみんなで何度も話し合いました。
「この子に安心して過ごせる居場所をつくってあげたいね」
そうして、エターナル・ホームで希ちゃんをお迎えすることを決めました。
お迎えの日。
センターに到着すると、ケージの中で少し不安そうにこちらを見つめる希ちゃんがいました。
知らない人、知らない場所――。
怖くて、すぐにキャリーには入ってくれないだろうな、と思っていました。
ところがその時、希ちゃんは自分からゆっくりとキャリーの中へ。
まるで、「ここへ行く」と決めたかのように。
驚きと同時に、胸の奥がじんわり温かくなりました。
その瞬間、希ちゃんが自分の意思でエターナル・ホームの仲間になってくれたように感じました。
車の中では、少し緊張した様子で静かに外を眺めていた希ちゃん。
これからは、エターナル・ホームの仲間として、
のんびり、穏やかな毎日を過ごしていこうね。
そして、もしいつか――
希ちゃんと“赤い糸”で結ばれた本当の家族が現れたら、
その時はきっと笑顔で「いってらっしゃい」と送り出そう。
それまでの時間を、ゆっくりと大切に重ねていこうと思います。
希ちゃん、ようこそエターナル・ホームへ。
あなたのこれからの毎日が、穏やかで優しい時間でありますように。




