◼構想の原点にある我が家の元保護犬
すでにプロジェクトページでも触れていますが、Northland構想の背景には、我が家で暮らす元保護犬・ニーナの存在があります。
今回の活動報告では、これまで簡単にしか触れられなかったニーナの背景と、その経験が今回のNorthland構想にどのようにつながっているのかを、あらためてお伝えしたいと思います。
◼福岡で起きた多頭飼育崩壊
ニーナは、2019年に福岡県で起きた多頭飼育崩壊の現場から保護されました。
約80頭もの犬たちが、糞尿が溜まった劣悪な環境で生活していたと報じられ、期限までに行き先が決まらなければ、全頭が殺処分される可能性があったケースです。

ニーナがいた多頭飼育崩壊の現場家屋
全国の保護団体やボランティアの方々が連携し、短期間でのレスキューが行われ、ニーナもその中の一頭として命をつなぐことができました。

当時、ニーナがいた多頭飼育崩壊現場について報道された新聞記事

保護されて間もなく治療を受けるニーナ
ご縁があり、ニーナを我が家に迎え入れることになりましたが、最初の彼女は、いわゆる「すぐに慣れる保護犬」ではありませんでした。
◼家に来たニーナは「何もできない」状態だった
ずっとチェアの下にうずくまり、飲まず食わずの状態が続き、物音がしたり触ろうとすると体を震わせ、目を合わせることもありませんでした。
正直に言えば、
「この選択は、この子にとって本当に良かったのか」
そう自問する時間もありました。
◼「慣らす」のではなく、「待つ」ことを選んだ日々
それでも、無理に慣れさせようとせず、距離の取り方も、関わり方も、すべてニーナのペースを優先して過ごす中で、少しずつ変化が訪れました。
そして、Northland構想を考える上で、忘れられない出来事があります。
ニーナは、都内近郊のドッグランでは、他の犬や人にどうしても慣れることができませんでした。緊張して動けなくなったり、距離を取ろうとして固まってしまうことも多く、「外で思いきり遊ぶ」という姿は、なかなか想像できない状態でした。
◼忘れられない転機となった、ある旅先での出来事
そんな中、ある時、地方へ旅行に出かけ、宿に併設されていたまるで森の中にあるようなドッグランを訪れました。
特別なことをしたわけではありません。ただ、十分な広さがあり、視界が抜け、人や犬との距離を自分で選べる環境でした。すると、それまでとはまったく違う反応を見せたのです。
突然、嬉しそうに走り出し、先住犬であるシュナウザーと、自然に遊び始めました。
初めてドッグランで走った時の様子
◼「足りなかったのは、環境だった」と気づいた瞬間
正直、目が丸くなりました。
「ああ、この子に足りなかったのは、慣れさせ方ではなく、環境そのものだったのかもしれない」
そう感じた瞬間でした。
この体験をきっかけに、ニーナは少しずつ、外で思いきり遊ぶということに慣れていきました。
まるで別の犬のように変化したニーナ
◼不安を抱えた犬にとって、本当に必要なもの
この変化を間近で見てきたことで、私たちは強く実感するようになりました。
それは、不安や過去を抱えた犬にとって、「慣らし」や「社会化」以前に、安心できる“環境”がどれほど重要かということです。
都心や住宅地での慣らしは、人にも犬にも、思っている以上の緊張や負荷がかかります。
一方で、広さがあり、人や犬との距離を自分で選べる場所では、犬は驚くほど自然に、自分から一歩を踏み出すことがあります。
Northlandは、こうした実体験を土台に構想しています。
不安な犬が、無理をせず、「今日はここまででいい」と選べる場所。
そして、同じような経験をしている里親が、孤立せず、安心して悩みや時間を共有できる場所。
この構想は、完成した理想像を一方的に示すものではありません。
ニーナと過ごしてきた日々の延長線上にある、とても現実的な選択肢だと考えています。
◼最後に
これまでご支援いただいた皆さま、本当にありがとうございます。
そして、この考え方や背景に、少しでも共感いただけたなら、
それだけで大きな励みになります。
引き続き、構想の進捗や考え方を、活動報告として丁寧に共有していきます。



