これまで私たちは、放牛石仏を「歴史文化財として多くの方に知ってもらうこと」を目的に、展示会や講演などの地道な活動を続けてきました。資金がないなりに、できることはすべてやってきたつもりです。しかし、現実は、私たちの想いよりも早く、厳しく進んでいました。雨、風、台風、地震。年々激しくなる自然災害の中で、石仏の風化は想像以上の速度で進行しています。ひび割れ、文字の消失、顔の崩れ。「このままでは、もう修復できない段階に入ってしまう」そう感じる場面が増えていきました。それでも、私たちはどうすることもできませんでした。なぜなら、放牛石仏は文化財指定を受けておらず、公的な補助も、修復支援も受けられない存在だからです。人の善意と手作業だけで300年守られてきた石仏。しかし今、その「善意」だけでは守れないところまで来てしまいました。正直な話ですが、私たちには、費用という大きな壁に“立ち向かう力”がありませんでした。そんな中で知ったのが、クラウドファンディングという方法です。「これなら、熊本の皆さんや全国の方に現状を知ってもらえるかもしれない」「もう一度だけ、石仏を守るために動けるかもしれない」私たちの年齢を考えても、後世に託すために動けるのは、今が“最後のチャンス”だと思いました。悩みました。迷いました。それでも、挑戦しないまま失われていく姿を見続けることだけは、どうしてもできませんでした。ただ、まっすぐにお願いしようと決めました。だから、今回の挑戦があります。これは「石仏のため」だけのプロジェクトではありません。300年続いた“祈りの記憶”を、次の世代へ手渡すための挑戦です。どうか、この現実を知ってください。そして、もし共感していただけたなら、あなたのお力を貸してください。放牛石仏を守る会 正田




