こんにちは〜。
和泉 聡 (いずみ さとる)です。
今日は、私の母のこと、そして私の原点について書いてみようと思います。
私の愛する母は、現在70代です。ずっと若いままだと思っていた母も、いつの間にか「おばあちゃん」と呼ばれる年齢になったのだなと、感じる今日この頃です。
母は若いころから絵が好きで、油絵、水彩画、デッサンと、子育てや仕事の合間を見つけては絵を描いてきました。実家の壁に母の絵が飾られているのは、私たち家族にとって当たり前の光景でした。
私たち子どもも自立し、祖父母の介護もひと段落。仕事も退職し、「これからは自由に絵が描ける」そんな時間がやっと訪れた、その矢先でした。
5年ほど前から、母は左手の動きに違和感を覚えるようになりました。
次第にものが持てなくなり、思うように手が動かなくなっていきました。私は医療職として、これまで多くの患者さんを見てきた経験から、「きっと整形外科的な問題だろう」と考え、整形外科の受診を勧めてきました。しかし、どこの病院に行っても原因ははっきりせず、その間にも母の左手は少しずつ、確実に動かなくなっていきました。
やがて「頚椎症」と診断され、首の手術が必要かもしれないと言われ、手術前の検査が始まりました。しかしその後、整形外科の先生から「一度、神経内科で診てもらった方がいい」と勧められました。神経内科を受診した結果、母に下された診断は
「大脳皮質基底核変性症」
でした。
私は愕然としました。それがごく稀な難病であり、進行性の病気であることを知っていたからです。信じたくない気持ちと、これが現実なのだと突きつけられた感覚。母にどのように伝えたらいいのか、しばらく葛藤する日々が続きました。
仕事の現場では、同じような状況を何度も乗り越えてきたはずなのに、それが家族、それも母となると、胸が締めつけられるような、どうしようもない気持ちになるのです。
病院に付き添った帰り、「大変だけど、前向きにね」と声をかけたとき、母はこう言いました。「もう早く死にたいの」「絵を見ても、何も感じなくなった」。あれほど明るく、楽観的で、前向きだった母。あれほど絵を愛し、貪欲に生きてきた母から発せられた言葉でした。
私は「そんなこと言わないで……」と、言葉に詰まり、涙をこらえるのに必死でした。それは、仕事の中でも多くの方が口にする言葉です。けれど、母の言葉からは、どうしても逃げることができませんでした。
現在、母は週に1回、訪問リハビリを利用しています。担当してくださっているのは、私と同じ作業療法士の方です。母はその方が来てくれる日を心から楽しみにしており、頼りにしている様子が伝わってきます。父も懸命に母を支えていますが、専門職が関わってくれることで、安心している姿が見られます。私も、いつか本人にも、家族にも、「この人がいてくれてよかった」と思ってもらえる存在でありたい、そう強く思っています。
今は、家庭のこと、仕事、そして訪問看護ステーション開設の準備に追われ、なかなか母に会う時間が取れないのが現実です。それでも、子どもたちと実家を訪れた際には、母とゆっくり話をし、体の状態を聞いたり、左手を動かす練習を一緒にしたりしながら、できる限り寄り添うようにしています。
そんな中、私が始めようとしている訪問看護ステーションの話をしたとき、母は「お母さん、全然わからないけど、応援してるからね」と言って、「リハビリ代だから」と、お小遣いを渡してくれました。左手が使えず、右手だけで財布からお金を取り出し、封筒に入れるのも大変なはずなのに、その封筒には、震える文字で「ありがとう1万」と書かれていました。

「死にたい」「もういいかな」と言っていた母が、今、私を応援してくれている。情けない息子だなと思う一方で、母への感謝の気持ちが、胸いっぱいにあふれます。
訪問看護ステーションを立ち上げたいと思った理由も、利用者さんやご家族の「できなくなった」に寄り添いたいと思った理由も、すべては、母の姿と重なっています。
病気や障がいがあっても、その人の人生や想い、そして「その人らしさ」が、簡単に失われていいはずがありません。
母から受け取ったこの想いを胸に、私は地域で、在宅で、人の人生に伴走できる訪問看護ステーションをつくっていきたいと思っています。
地域で、
在宅で、
人の人生に最後まで伴走する。
それが、私の選んだ道です。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。

父と母、私の原点 photo:和泉ひろみ(妹)
Instagram ▶ 和泉みなぎ
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止まりかけた地域の医療を再び動かす!白老町に訪問看護ステーションみるみる誕生へ!
このプロジェクト期間は、2026年1月28日(水)まで。
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代表 和泉聡



