このプロジェクトについて
長野県伊那市で手製本を得意とする製本所を営む美篶堂の上島明子と申します。このたび、地元の小学校6年生34名の子どもたちが、紙づくりの研究(和紙や、牛乳パックなどのパルプを使っての紙製作)を通して『自分だけの本を作りたい』という想いを抱き、私たちに製本指導のご依頼をいただきました。子どもたちが自分で漉いた紙を表紙に使い、世界に1冊だけの和綴じ帳を作り上げるために、皆さまのお力をお借りしたいと考えております。

[小学生が紙を漉いている様子]
なぜ今このプロジェクトが必要なのか
伊那小学校の先生からご連絡をいただいたのは2025年夏のことでした。子どもたちが3年間紙を漉く研究を続けてきたそうです。そんな中で、【作った紙で本を作りたい】という声が上がったそうです。実際に10月に学校を訪ね、3時間の授業をさせていただいた時、子どもたちの目の輝きに心を打たれました。ものづくりには慣れている小学6年生の皆さんでしたが、製本作業となると千差万別で、きめ細かなサポートが必要だということがよくわかりました。
そこで、3月に私たちの製本所に子どもたち全員に来てもらい、スタッフ約10名で一人ひとりに寄り添いながら、本格的な和綴じ製本を指導することにいたしました。しかし、工場を丸一日止めて全社員で取り組むため、どうしても人件費や材料費が必要になります。

[美篶堂の製本所の様子]
プロジェクトが目指す未来
このプロジェクトを通して、子どもたちには【日本の伝統技術である和綴じ】を体験してもらいたいと思っています。自分で漉いた和紙を表紙にしてノートを作る子もいれば、自作の小説を本にしたい子もいます。それぞれの想いを込めた一冊を、プロの職人の手ほどきで完成させることで、きっと一生の思い出になるはずです。
また、これは技術継承の大切な機会でもあります。手製本という日本でも希少になった技術を、次の世代に伝えていくことこそが、私たち製本会社の使命だと考えております。
[和綴じ製本]
[和綴じ製本道具]
私たちについて
美篶堂は1983年に創業し、40年以上にわたって手製本の技術を守り続けてきました。創業者である私の父、上島松男が培った技術を受け継ぎ、書籍装丁や特装本、和装本まで幅広い製本を手掛けています。谷川俊太郎さんなど著名な作家の作品も手掛けさせていただき、全国からご注文をいただいております。現在は長野県伊那市の製本所と東京の営業所の二拠点で事業を展開しています。

[美篶堂伊那製本所のメンバーです]
また、製本や本づくりの文化の普及にも力を注いでいます。【一般社団法人 本づくり協会】の運営を弊社が中心となり、担っております。「本づくり学校」では一年かけて製本の基礎を学んでもらい、秋には製本合宿でとして伊那市美篶までお越しいただきます。
[本づくり学校で作る本の数々]
これまでの取り組み
私たちはこれまでも地域とのつながりを大切にしてきました。毎週木・金曜日には製本所で製品販売を行っています。また、一年に何度か土曜日をオープンし、製本ワークショップや製本の相談をお受けして参りました。また、手製本の魅力を伝える書籍の出版や、各地でのワークショップ開催を通じて、多くの方に製本の楽しさを知っていただいています。
今回の小学校での授業も、そうした地域貢献の一環として取り組んでいるものです。
[過去のワークショップの様子]
プロジェクトの社会的価値
正直に申し上げると、製本業界は大変厳しい状況にあります。物価や人件費の上昇、仕事量の減少で経営も厳しく、本来なら子どもたちのためにすべての経費を負担したいところですが、それができない現状があります。
しかし、だからこそ皆さまのお力をお借りして、子どもたちの『世界で一冊だけの本を作りたい』という想いを実現したいのです。この取り組みは、手製本という日本の伝統技術を未来につなぐ大切な第一歩になると信じています。
[子どもたちの製本作業風景]
リターンについて
支援していただいた皆さまには、子どもたちがつくる和綴じ帳と同じサイズの和綴じノートや、美篶堂オリジナルのステーショナリー、活動報告書をお送りいたします。また、製本所の見学や和綴じ体験ワークショップへのご招待なども検討しています。

[完成した和綴じ帳]
スケジュール
プロジェクトは2025年12月から2026年の1月末までの実施予定です。3月に子どもたちが製本所を訪れ、一人ひとりの和綴じ帳を完成させます。その後、活動報告とリターンの発送を順次行わせていただきます。
最後に
手製本を得意とする会社として、物価や人件費の上昇の中で、どのように展開していけば会社が存続できるか悩む日々です。しかし、和綴じという日本の伝統文化を子どもたちに伝えることで、私たち製本会社も地域に貢献できる可能性を見出しています。
子どもたちの輝く目と、【自分だけの本ができた】という喜びの声が、きっと私たちの技術を未来へ繋ぐ力になってくれるはずです。皆さまの温かいご支援を、心よりお待ちしております。







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