
【毎日更新】第12回『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』
それは、部屋の中に彼女以外の人間が誰もいないっていうことだ。
俺が彼女の存在に気づいてから二ヶ月、その部屋の中に彼女以外の人間を一度も見たことがなかったんだよ。
彼女は当時の俺と同い歳くらい、小学校高学年か、まあ年上だとしても中学一、二年ってとこだ。そんな女の子がワンルームマンションに一人で住んでいるわけもないってことは、当時の俺にも分かった。
普通、子どもは親と一緒に暮らしているもんだろ。
まあ、同じクラスに片親のやつもちらほらいたし、親とふたり暮らしみたいなことはあるかもしれないが、どっちにしろ一人で暮らしてるわけがねえ。
ということは、親が出かけているんだろうか。それこそ片親で、親が働きに出ているケースだってあるだろう。だが、六時や七時と言ったって一応は夜だ。夜に子どもを一人残して働きに出る親なんているんだろうか。
まあ、今となってはそういうケースなんて全く珍しいもんじゃないと知っているんだが、当時の「真面目くん」の俺には分からなかった。
だから、一度その違和感に気づいてしまうと、それが気になって仕方なくなってきた。ただ窓際でボンヤリしているだけの女の子だったのが、何かワケありの、可哀想な女の子に見えてきてしまったわけだ。
俺は勝手に頭の中でいろんな物語を作り上げていった。
親が働きに出ているっていうベーシックなやつから始まって、いや親は事故とかで死んじまって天涯孤独なんだとか、実は誘拐されてあそこに監禁されてんじゃねえのかとか。ほら、俺、妄想力には長けていたからさ。
とにかく俺はそういう事を考えながら、それまで以上に彼女を観察するようになっていったわけだ。
〜第13回に続く〜
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本日はここまでです。
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それでは、また明日。
児玉ロウ



