
【毎日更新】第19回『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』
「はいはい、なあに?」
「あのマンションってさ、分譲?」と向かいのビルを指さす。
「あのマンション? ええ、たぶん分譲よ。ずいぶん古いけどねえ」
涼介がニヤリと笑ったのが分かった。何考えてんのかは分かんなかったけど、まあ、とりあえず飯だ。思えば昼間っから飲んでばっかで、コンビニのおにぎり以外何も食ってねえ。
胃の中は大量のビールでパンパンなんだが、不思議なもんだよな、腹は減るんだ。いやむしろ、酔っ払えば酔っ払うほどバカ食いしたくなるっていうか、まああれだな、いわゆるマンチーってやつ。
俺はチキンソテー、涼介とボンはナポリタン、タカはいつも通りハンバーグ。まあ、なんていうか、可もなく不可もなくって感じで、感動もない代わりに失望もしない、ファミレスとそう変わりないレベルの料理だったけど、別に文句もねえ。そもそも、俺の目的としていたマカロニグラタンはなかったわけだしな。
俺たちは黙々とそれを掻き込んだ。まあ、見た目通りの味だった。いや、わざわざバスに乗って来るほどの店じゃあねえよ、実際。
「あー、食った食った」と言ってボンがでっけえゲップをする。
「ここビールねえのかな」とタカがメニューを裏返して見る。おいおい、まだ飲むのかよ。
そしたら意外にも涼介が、カシャンとジッポを閉じながら「いや、もうやめとけよ」なんて言う。
「あん? なんでだよ」思わず俺が口を挟む。
いや、実際のとこ、俺たちは飲み過ぎだよ。ライブ会場で缶ビールやらチューハイやらをガバガバ飲んでんだ。もうやめといた方がいいのは間違いない。ホント、こんな生活を続けているからγ–GTPが二◯◯とか超えちまうんだ。
「なんでって、足元フラフラじゃ格好つかねえだろ」
「なんだそれ」
俺は涼介が何言ってんのか分かんなかった。ただニヤニヤしてるだけでそれ以上説明しねえし。
ただまあ、いつも通りと言えばいつも通りだ。涼介って奴はなんていうか、こういう変な野郎なんだ。
いつも一人で悪巧みして、タチの悪いことに、無理に聞き出そうとするとへそを曲げやがる。だから俺もそれ以上は追及せずに、ボンとタカが話してる「なぜ一夜明けたビールの空き缶はあんなにも臭いのか」というどうでもいいバカ話に加わった。
〜第20回に続く〜
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本日はここまでです。
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それでは、また明日。
児玉ロウ





