ご挨拶
ベリーズって、どこ?
アート研究助成を得て渡米することになった私が最も頻繁に聞いた言葉です。私もよく知りませんでしたが、いち早くマングローブ保全を国策にした世界的な環境政策先進国だそうです。気候が温暖で人が優しく食べ物も美味しいですが、生活文化の違いで驚いたのは大便の後トイレットペーパーを流さず燃やすことと交通信号がないこと。
ベリーズに滞在しアメリカ人の妻とマングローブのアート研究中の私は、気候変動対策と音楽アートを掛け合わせる、横浜の任意団体 BLUE CARBON SOUNDを代表する60代日本人です。
30代で音楽留学したアメリカで公開当時に観た映画『不都合な真実』 に衝撃を受け、気候変動の問題を自分の生き方に重ねて考えるようになりました。5年ほど前から日本に戻り仲間とバンドも組み、沿岸域の植生の物語を音楽表現するBLUE CARBON SOUNDという同名の演奏活動でブルーカーボン(沿岸域の植生)を音とアートで伝える創作活動を行っています。二酸化炭素を貯留してくれるマングローブがテーマです。
今回のクラウドファンディングでは、現在研究調査のため滞在中の中米ベリーズで、地元小学校の子どもたちをマングローブ林に連れて行くフィールドトリップの実施費用 と、環境教育を支える地元アーティストやガイドへの謝金などをご支援いただきます。
1|未来の自然を“体験”から学ぶプロジェクト
カリブの国ベリーズのスタンクリークにあるダングリガで小学校の子どもたちを対象に、ブルーカーボンと気候変動の基礎学習(講義)、音とアートによるブルーカーボン体験(ワークショップ)を通じて段階的な学びを積み重ねてきました。
(写真は学校ワークショップでマングローブの映像アートを披露している様子)
左はJICA環境隊員、右は私(安田)です

(大学と小中学校合わせて8回の学校訪問を実施)
このクラウドファンディングは、① ZION SDAプライマリースクール生徒のGra Gra Lagoon 国立公園へのフィールドトリップ(教育) と② 気候アートのリサーチのためTwin Cays でのマングローブ調査への専門家同行費(研究)の2つの活動を支援していただくものです。
子供達が気候変動の知識を得るだけでなく、アート・ワークショップで海や自然の働きのイメージを膨らませた次のステップは、これらの学びを実際のマングローブ生態系を体験し確認することです。そこでフィールド・トリップの企画をしました。
2|Gra Gra Lagoon へ子どもを連れていく意味
Gra Gra Lagoon国立公園 は ベリーズのまちDangriga 近郊にある安全な自然学習地で、浅いラグーン、マングローブ林、野生生物の気配が身近に感じられる場所で、環境団体の活動の舞台にもなっている立地です。
子どもたちはすでにブルーカーボンと気候変動の基礎知識(JICA環境隊員による講義)音を中心としたブルーカーボン体験ワークショップ(第1回音楽)映像と造形によるブルーカーボン体験ワークショップ(第2回アート)を受けていますので、学びの最終ステップに今回の自然観察のフィールドトリップです。
学校フィールドトリップは環境保全活動に長年の実績ある地元の
環境保全団体ReefKeeper Belizeとの協働で実施します。
以下は過去のフィールドトリップの参考写真です。
(写真提供ReefKeeper Belize )
サングラスの女性がReef Keeperの代表で、マングローブ研究の補佐をしてくれます
3|自然をよく見るためのアート体験を提供
Gra Gra Lagoon へのトリップは、単に自然を見るだけでは終わりません。
小中学校訪問を2回づつ実施してきたなかで、ブルーカーボンの音とアート表現を味わってもらう時間を設けました。音とアートで気候変動?と不思議に思われるかも知れませんが西欧のアートシーンには環境問題を掘り下げたアート作品やムーブメントは結構あるようです。
4|研究面で:Twin Cays でのマングローブ調査
ベリーズは世界第二の規模の珊瑚礁が知られていますが、マングローブの豊富な小島もたくさんあります。こうした島を「キー」と呼んでいて、これらの中でもスタンクリークの沖合にあるTwin Caysはマングローブが泥炭(peat)を育てながら島を形成し続けることで知られる生態系で、重要な学術研究調査の拠点にもなっています。
私はブルーカーボンをテーマにアート・フェローシップ研究助成を得て、泥炭のアート活用、マングローブ根の成長過程研究、潮汐と地形の変化の観察、水中音を含む生態系の音の記録などを通じて、自然の変化や仕組みを観察し続けています。2025年の現在はマングローブのアート研究をしていますが、これまでは海藻でブルーカーボンを表現するサウンド・アートをしていました。
(過去の音響アート作品例はこちら。)
学校のフィールドトリップの後にはReefKeeper Belize のディレクターがブルーカーボンのアート研究調査に同行し、保全の現場にもとづいた専門的な視点をアート研究のために共有してくれます。
5|教育と研究とアートをつなぐもの
サイエンスとアートと教育の循環が地域の自然を守る基盤になり、未来をつくる子どもたちの学びにつながります。フィールドトリップに参加した子どもは、いつか“自分の土地を守る立場”に立つかもしれません。
Twin Cays の研究成果とアートの発信は
その未来のための確かな種まきになります。
6|今回ご支援頂きたい費用(合計:10万円)
<教育:Gra Gra Lagoonへの小学校フィールドトリップ交通費>
- バス代他経費:約3万円
子どもたちの移動費などの諸費用を支援いただきます。
ガイド案内や教材費用は ReefKeeper Belize と学校が負担します。
(写真は校長室でバス代を現金現金で支払っているところ)

<研究:Twin Caysへの環境ガイド派遣費用>
- ボート移動費他 約2万円
- ガイドさんの現地宿泊費+食費+安全管理費 約3万円
現地での活動費用を直接支えるために使用します。ガイドは無償で働いてくれます。
<諸費用>
雑費:リターン作成と発送作業への謝礼、文房具購入他 約2万円
合計 10万円
7|リターン解説
お礼のメール、メール添付でお送りするアート作品のデジタル画像、オンライン報告会などがあります。リターンのページでご確認ください。
特別リターンとして、マングローブアートの青写真のコピー(郵送)も提供しますので、以下に詳細を記します。
特別リターン:日光写真のコピーについて
成長したマングローブの枝や葉、そして種というか苗というか(プロパギュールと呼ばれる)細長い「次世代のマングローブ」が影絵のように白く浮かび上がります。白く影を映し出すシンプルで幻想的な感光紙を使っています。
ブルーカーボンという言葉の中核にある「ブルー」、海の青と重なるこの色は、マングローブのひみつや大切さを、見る人の心にそっと届けてくれるでしょう。
(写真はダングリガでアート展示の際に撮影したもの)
(以下の写真はダングリガ沖合にて研究リサーチ中に日光写真作成の様子)
感光紙を設置してマングローブの陰影を投射します

現像の際には錆びた古釘で定着を促進

カリブの強い陽光で乾燥させます

出来上がり!次の研究調査に移動します。

8|さいごに ― 自然を未来へつなぐために
大きな予算を必要としない、小さくても確かな第一歩を踏み出したいと思います
どうか、この学びと記録の機会をともにつくっていただければ幸いです。
Q&A
Q1. リターンはいつ届きますか?
A.・それぞれ制作時期が異なります。詳細はそれぞれのリターンの解説をご覧ください。
Q2. 青写真の海外発送はできますか?
A. 残念ですができません。日本国内のみです。
Q3. フィールドトリップが延期・中止になった場合は?
A.天候(熱帯低気圧)や学校の事情により、安全最優先で日程変更 を行います。
可能な限り振替実施 を行いますが、万一中止となる場合も返金はいたしません。中止の場合、代替として既存のワークショップなどでのアート作品・音源などの特別リターンを提供いたします。
Q4. 支援金は何に使われますか?
A.今回の支援は
- Zion 小学校の Gra Gra Lagoon へのバス代(教育)
- Twin Cays での 専門家同行滞在活動費(研究)
を中心とした経費約10万円 に充てられます。余剰金が出た場合は、今後のブルーカーボンサウンド活動費に充当します。目標額が短期で達成された場合はネクストゴールを設定し追加の支援をお願いする中で余剰金を活用します。
Q5. 子どもたちの作品や写真の取り扱いは?
A.児童の個人情報と安全を最優先し、
- 顔写真は使用しない、個人が特定されない形で作品を扱う、将来顔写真が使用される場合は学校と保護者の確認を経て発信する、というルールで運営します。
Q6. BLUE CARBON SOUND や安田の活動はどこで見られますか?
A.活動記録や音源の一部は SNS やオンラインで随時発信予定です。特にウェッブサイトなどはまだありませんので(将来の課題)今後皆様のご支援を仰いで情報周知できる準備を進めたいと思います。
最新の活動報告
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トリップの準備進んでます
2025/12/10 12:36ベリーズの学校で支払いフィールドトリップの費用を校長室で現金払いしました。頂いた領収書に学校名も日付もなく(カーボン複写の台帳には情報があるのかも知れませんが)せめて学校名くらい入れてよ、とお願いして書き込んでもらいました。全てがスローでおおらかな土地柄です。学校の出入りも警備員も居ないし呼び鈴もない。アメリカ合衆国から払い下げられた中古のスクールバスは学校の通学だけでなく市街地を走るバスも多くはスクールバス。さまざまなデザインの元スクールバスの車体に塗装を変えた程度が多く、スクールバスが公共交通機関を担っている国のようです。ちなみに電車は走っていません。そのスクールバスの国で、学校のフィールドトリップにバスをチャーターすると、やはり出てくるのはスクールバスなのだろうか?当日が楽しみです。 もっと見る
泥炭のスノーマン
2025/12/10 05:55泥炭のスノーマンこの映像何だかお分かりでしょうか?アート・プロジェクトでベリーズの子供達が作ってくれました。泥炭のスノーマンです。熱帯の国ベリーズで雪だるまを自分で作った経験はないと思いますが、豊かなイマジネーションを働かせて、雪だるまを作ってくれました。泥炭についてはJICA環境隊員さんの気候変動レクチャーを受け、ブルーカーボンの基礎を学んだ上でマングローブとデータの関係を提示しました。使用した泥炭はベリーズのキーでマングローブの下の水面下の泥炭を採取したもので、細根がまだ分解されずに残っています。子供達のイマジネーションが生み出した泥炭のスノーマン、いつの日か異常気象でベリーズに雪が降れば、本物の雪のスノーマンと出会う日が来るのでしょうか。 もっと見る







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