
いつも温かいご支援をありがとうございます。昨年度、公式撮影を担当いたしました後藤です。

舞台芸術の魅力のひとつは、演者だけで完結するものではなく、劇場の空気や客席の気配、そしてその場にいる私たち自身もまた、作品を構成する一部になっていくことだと思います。
昨年、あらためて現場で強く感じたのは、イワン・ワシーリエフ氏の持つ特別な力でした。

彼は圧倒的な技巧や身体能力で知られていますが、実際の舞台で印象的だったのは、それ以上に、登場した瞬間から共演者も観客も一気に惹き込み、いつの間にか自分の“共犯者”にしてしまうような力です。

その場の空気ごと自分のものにしてしまう、まれなエンターテイナーだと感じました。
また舞台袖では、表からは見えにくい一面にも触れました。

トウシューズを丁寧に準備し、細やかに確認する女性ダンサーたちのそばで、ワシリーエフ氏はその場で新しいシューズをざっと調整し、そのまま何事もなかったように踊ってしまったのです。
与えられた条件さえ自分の表現の一部にしてしまう。その自在さには、技術や経験だけでは言い表せない大きさと、どこか茶目っ気のある魅力がありました。

まるでお気に入りの公園で遊ぶ子どものように、舞台そのものを心から楽しんでいるようにも見え、私は、光が当たるから輝くのではなく、自ら光を放つ人がいるのだと感じました。

今年度も公式撮影として現場に関わりながら、踊りそのものだけでなく、舞台と客席のあいだに生まれる熱や気配、そして表からは推し量ることの難しい人の思いまでも含めて、大切に残していきたいと思っています。

写真は記録であると同時に、その場にいた方にとっては感動の記憶と結びつき、あとからより深い喜びを呼び起こすものでもあります。
舞台にしか生まれない特別な時間を、写真として手に取れるかたちで皆さまにお届けできましたら嬉しく思います。
夏はイベントも多く、ご多忙な時期かと存じますが、会場で皆さまとともに舞台の時間を分かち合えましたら幸いです。

会場でお目にかかれるのを楽しみにしております。
引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。
後藤奈津子
2025年Alexandrite Gala 公式撮影
2026年同社のプロジェクトでは公式撮影に加え、アートディレクター(写真・映像・印刷物)も兼務
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後藤奈津子 / プロフィール
バレエ写真家 / SONY認定プロカメラマン(SPS会員) 明治大学商学部卒。文化交流大使として米国留学。
国際写真コンペティションEPA(伊)にて日本人女性として初の2位・銅賞受賞。
その斬新で力強い圧倒的な作品は多くのファンに支持されている。
Alexandrite Galaでは公式撮影チームを率い、全てのリハーサル、本番を撮影。
一般社団法人日本文化芸術振興協会 理事(現任)
NPO法人 Side by side International理事(現任)
株式会社LaBALL 取締役(現任)



