私たちは、子どもたちの「心の安全基地」です
社会福祉法人さざなみ学園は、滋賀県彦根市で60年以上にわたり、子どもたちの回復・成長・自立を支えてきました。
1998年からは、全国にわずか54箇所、県の認可を受けた「児童心理治療施設」として、医師・心理士・生活職員がチームとなって、心に深い傷を抱えた子どもたちに心理療法・生活指導・教育支援を行っています。
私たちが目指すのは、単なる「暮らせる場所」ではありません。子どもたちが安心を取り戻し、自分らしく生きる力を育める場所。時代の変化に合わせ、今、子どもたちの未来を守るための新たな環境づくりに挑戦します。
新園舎の完成予定パース画
なぜ、今「施設改築」が必要なのか
現在の園舎は全面改築から30年以上が経過し、私たちは今、2つの大きな課題に直面しています。
1.【建物の課題】繰り返される修繕と、限界を迎えたインフラ
炊事場や浴室、居室など、日々の生活に欠かせない空間の老朽化が進んでおり、もはや日常の工夫で補える範囲を超えています。
・水道配管の「イタチごっこ」:地下や壁に埋設された鉄管の錆が進んでいます。水漏れを修繕しても、その負荷が別の弱い箇所にかかり、また新たな破裂が起きる。そんな終わりの見えない状況が続いています。
・衛生・環境面の苦慮:居室のカビに対し、専用塗料を塗り重ねてしのいできましたが、根本的な解決には至っていません。
・原始的な節電対応:省エネシステムがないため、節電アラートが出るたびに職員が手分けして一斉に電源を切り、時間差でつけ直すという極めて原始的な方法で対応しています。子どもたちの生活を守りながら、今の時代に合った省エネ性能も備えたいと考えています。
2.【心理面・環境の課題】傷ついた子どもたちを「守りきる」ために
建物の構造そのものが、子どもたちの「心の回復」の妨げになってしまうことがあります。
・「大舎制」による不調の伝播:マルトリートメントなどで心理的葛藤を抱えた子どもたちは、とても敏感です。今の「大きな集団生活(大舎制)」の構造では、一人の不安が連鎖し、逃げ場のない空間になることもあります。
家庭で傷つき、心が敏感になっている子どもたちを、物理的に、そして心理的に守りきれない。そのもどかしさを、私たちは何度も味わってきました。
※大舎制とは、一つの大きな建物に20人以上の子どもが共同で生活する形式のことで、一例として、病院や学校などがあります。・「病院みたい」という不安感:廊下の両側に部屋が並ぶ集団生活中心の建物は、個室生活に慣れた子どもたちにとって「暗い」「病院みたい」と感じられ、不安や緊張を生むこともありました。
こうした課題を解決するため、そして国の推奨する「家庭に近い小単位の生活(ユニット化)」へ移行するため、私たちは新施設への改築を決断しました。
理事長は、こう語ります。
「私たちが目指しているのは、子どもたちの“幸せを応援する”ことです。子どもたちの声に応え、安心して暮らせる空間にしてあげたい。『自分の時間を大切にできる空間』の中で育ち、自立へ向かって歩んでほしいのです。」


「本当にここで暮らせるの?」──子どもたちの声
新施設への期待を最も純粋に表してくれたのは、子どもたち自身でした。先日、新施設の上棟式が行われ、建設中の建物を見学した子どもたちは目を輝かせました。「本当にここで暮らせるの?」「新しい匂いがする」その言葉に、新しい生活への期待があふれていました。この希望を、私たちは絶対に確かな現実に変えなければならない。そう強く決意した瞬間でした。

新施設で実現する「守られた空間」
新施設では、子ども一人ひとりの安心と生活の質を大切にするため、全室個室・6人1ユニット制を導入します。これは単なる「部屋の分割」ではなく、心理治療の質を根本から変えるための進化です。
・一人で気持ちを落ち着けられる、個室のある生活
・気の合う仲間と関われる、小さな生活単位
・しんどい時に、自分を整えるためのタイムアウトルーム
これらは、子どものプライバシーと、自分で自分を整える力、そして自立を最優先に考えた選択です。
20〜30人をスタッフ全員で見る体制から、少人数のユニット制へ移行することで、職員の役割も明確になります。「このユニットのことは私たちが責任を持って見る」という体制が、子ども一人ひとりの些細な変化や、大人数の中で隠れてしまっていた小さなSOSにも、スピーディに気づくことができるようになります。
また、退園を控えた子どもたちのために「自立ユニット」を充実させます。一人暮らしを始める前に、自分のことを自分で行うチャレンジを、職員の丁寧な見守りの中で経験する。新しい建物は、そんな「失敗しても大丈夫な練習の場」としての機能も備えています。
園長は、こう話します。
「ユニットの中で、子どもたちと職員が一緒に“生活そのもの”をつくっていけることが、とても大切だと思っています。年齢や、自立に向かう段階に合わせて環境を選べることは、子どもにとっても大人にとっても大きな支えです。安心できる場所の中で、その子なりのペースで伸びていってほしいですね。」

専門職が語る、療育の現場
これまでの経験と熱意、そして職種を越えたチーム力で、子どもたちの心の回復と未来への自立を支える職員たち。その声からは、新しい環境への希望や意欲も伝わってきます。
臨床心理士・療育部長
「子どもたちにとって、外の世界や大人は危険だと感じているケースが多くあります。治療とは、本人のペースで関係を積み重ね、『意外と悪くないかも』という安心感を体験してもらうこと。新しい施設では、より落ち着いた環境が実現できるため、子どもたちが本来の力を発揮する姿を見る喜びも増えそうです。」
ケアワーカー(ユニット担当)
「入所当初、自分の感情を押し殺し、困りごとを誰にも相談できなかった子がいます。今では『寂しい』と素直に言葉にでき、困ったときには大人にヘルプを出せるようになりました。子どもたちが目標に向かって着実に成長していると感じる瞬間が、何よりのやりがいです。これから、個々のペースで過ごせる環境が増える中、私自身もその環境を活かした関わり方を工夫していきたいです。」
ケアワーカー(副主任)
「入所当初は自分の考えが固く、他人との関わりに難しさを抱えていた担当の子が、8年間の関わりの中で相手の意見に耳を傾けられる柔軟な思考を持つようになり、『ここに来てよかった』と言って卒業していきました。積み重ねが報われる瞬間でした。新体制での挑戦は、積み重ねの価値をさらに実感できると思います。」
管理栄養士
「卒業生が『学園で身についた食生活が今も続いている』と話してくれた時、支援が未来へつながったと感じました。新施設では、ユニット制のリビングを活用した鍋料理やホットプレート料理など、より家庭的な食の体験を提供し、子どもたちの心の安心だけでなく、自立に必要な生活スキルを育みます。」
理想の実現に立ちはだかる「予算」と「人」の壁
子どもたちの期待に応えたい。しかし、そこには避けては通れない厳しい現実がありました。私たちは悩んだ末、「建物の規模」ではなく「ケアの質(人)」を取るという決断をしました。
1. 苦渋の決断:建物の規模を縮小し、療育の質を守る
当初は8つのユニットを作る計画でしたが、資材高騰により試算は8億円にまで膨れ上がりました。法人の体力には限界があります。私たちは、無理に大きな建物を建てることよりも、「そこで働く職員を十分に雇用し、心理治療の質を担保すること」を最優先しました。その結果、ユニット数を6つに絞るという苦渋の決断を下したのです。
2. 「手厚いケア」には、制度の枠を超えた投資が必要
児童心理治療施設は、専門的な治療を必要とする子どもたちを支える場所です。ユニット制のポテンシャルを最大限に引き出し、子ども一人ひとりに深く寄り添うためには、今の制度以上のスタッフ配置が不可欠です。しかし、現在の国の算定基準では限界があります。私たちは今、スタッフがシフト外で1日・2日休むだけで回らなくなる日常を送っており、この精一杯な体制を脱し、職員が心に余裕を持って子どもと向き合える環境を求めています。そのためには、国の制度の枠を超えた、独自の「人」への投資が不可欠です。
2. 30年先の子どもたちへの「覚悟」
規模を縮小してもなお、建設には6億5千万円が必要です。補助金を差し引いた約2億5千万円は自己資金(銀行融資)で賄い、私たちは30年かけて返済していく道を選びました。それは、この場所が、次の世代の子どもたちにとっても「最後の砦」であり続けるための、私たちの覚悟の証です。
施設を超え、地域の「光」となる拠点へ
私たちがこれほどの負債を背負ってでも改築を決断したのは、ただ建物を新しくしたいからではありません。この場所を、彦根市や滋賀県の「地域福祉の拠点」として進化させたいという強い想いがあるからです。
地域親子のSOSに応える: 緊急時に子どもをお預かりする「ショートステイ」や一時保護機能の強化。
専門知見の還元: スクールカウンセラーへの助言や、地域の支援者へのコーディネート。
「施設の中」だけで完結するのではなく、ここで培った60年の知見を地域に開き、支えが必要な親子に手を差し伸べる。それが、新しいさざなみ学園の使命です。
リターンの一部を紹介
新園舎の「記憶」を、あなたの手元へ。
新しいさざなみ学園が建つこの場所には、長い年月、子どもたちの生活を静かに見守ってきた木々がありました。改築にあたり、やむを得ず伐採することになったその木を、ただ処分するのではなく「この場所の記憶を未来へつなぐ形」として残したい。そんな想いから生まれたのが、この木製コースター・木製携帯スタンドです。
これらの木は、嬉しい日も、苦しい日も、子どもたちの声や職員の足音を聞きながら、何十年もの間ここに立ち続けてきました。新しい園舎はその想いを引き継ぎ、これからも子どもたちの「心の安全基地」として歩み続けます。
このリターンは、過去から未来へと受け継がれる“応援の証”です。
だから、木製コースターや携帯スタンドとして、想いごと受け継ぐリターンにしました。
毎日の生活の中で、ふと目にしたとき、このプロジェクトのことを思い出してもらえたら嬉しいです。
【新園舎が建つ場所に植えられていた木々】
【オリジナル木製コースター】
【オリジナル木製携帯スタンド】
子どもたちの未来を現実にするために
この新施設は、子どもたちにとっての「心の安全基地」であり地域福祉を支える大切な拠点でもあります。
上棟式で見せてくれた、あのまっすぐな期待のまなざし。
「本当にここで暮らせるの?」という言葉を、確かな現実へと変えるために。
そして、ここで育った子どもたちが、いつか自信を持って社会へと羽ばたいていけるように。
どうか、皆さまの温かいお力添えをお願いいたします。






コメント
もっと見る