
昨年末から今年にかけて、僕の状況は一変してしまいました。
海外での大きなプロジェクトがいくつも予定されており、そこにすべての精力を注ぎ込んでいたのですが、国際情勢の悪化によって次々と中止が決まりました。
目の前が真っ暗になり、何のために描き続けてきたのか、自分はどこへ向かうべきなのか。
精神的にひどく疲弊し、正直に言って、作家として途方に暮れていました。
そんな出口のない暗闇の中にいたとき、耳に届いたのが「あのパンダを、桐生で見たい」という地元の皆さんの声でした。
いま韓国にあるそのパンダは、僕の大学(東京藝大)のすぐ隣、上野動物園の騒動をきっかけに描いたものです。
パンダの赤ちゃんの誕生に一喜一憂する世間の熱狂と、その裏にある生死の危うさ。
その白と黒のコントラストに自分の感情を重ねて描いた、シリーズで最大の作品です。
偶然にも今月、日本から最後のパンダが中国へ返還されます。
日本からパンダがいなくなるこの節目に、海外へ渡った僕の作品を日本へ呼び戻し、地元・桐生で展示すること。
それは、ひとりよがりかもしれませんが、亡き父が「一度見てみたい」と言っていた願いを叶える、僕にとっての最後のチャンスでもあります。
大きな仕事がいくつも無くなり、父も亡くなり、僕を取り巻く環境は大きく変わりました。
今回のプロジェクトは、単なる過去のクラウドファンディングの続きではありません。
僕自身が、これからも「美術家」として生きていくための、大切な指針となるものです。
美術や文化とお金の関係はとてもデリケートで、こうして支援を募ることで、僕自身の印象を悪くしてしまうかもしれません。
それでも、僕は結果を出したい。
このプロジェクトを成功させることにこだわりたいと思っています。
1月31日の終了まで、残された時間はあとわずかです。
ただ資金が集まることだけがゴールだとは思っていません。
この2週間という時間を、どうか僕と一緒に並走し、この挑戦の行く末を最後まで見届けていただけないでしょうか。
その繋がりこそが、いまの僕にとって何よりの支えになります。
高野マナブ



