「今こそ、問い直しませんか?」
やむを得ぬ事情があり、逃げるしか無かった者がいる。
押し寄せる流入者の波に、得も言われぬ不快感を覚える者がいる。
ガタつく世界の均衡を維持し、平穏を守りたい者がいる。
そんなことよりも、ただ一人を守りたい者もいる。
こんな今この時代だからこそ、届けたい物語がある。
『Witch of Yelekedis』へようこそ!
はじめまして、暘 弥涼(Hinode Isuzu)です。私は大長編ヴィジュアルノベル『Witch of Yelekedis』を製作しているインディーゲーム開発者です。
本作『Witch of Yelekedis』は、物語を【消費する】のではなく【考え、選び、背負う】体験を求めるプレイヤーのための硬派なファンタジーADV作品です。WindowsとLinuxに対応しています。
既に60時間↑ほど遊ぶことができる進捗報告DEMO版をitch.ioにて公開していますので、どのようなゲームなのかは直接体験していただけます。またはYoutubeにて公開しているプレイリストから、本編の一部をご覧いただけます。
Android向けのサンプルもリリースしていますので、「PCからダウンロードするのは面倒、でもスマホなら試してみたいかも」という方もぜひ試してみてください!
登場キャラクターの詳細についてはこちらのページからご確認いただけます。
より詳しいプロフィールや、どのような思いを込めて作られたキャラクターなのか、作中では深く語られないものの背景情報として設定してある事項などを記載してありますので、参考までにご覧になってください!
こんな人に遊んでほしい!
「綺麗で安易な言葉に違和感を抱いている方」
「テンプレート的なライトなファンタジーに飽き、本物の濃いファンタジーを求める方」
「設定資料集を読み込むのが好きな設定厨の方」

Scenes――
2026年4月時点、約500枚超のイラストをゲーム内に収録。ほぼすべて一人で制作・描き下ろししています!
|左上:地母神の怒り|右上:エールケディスの種族|
|左下:エルフの四神器|右下:災いの根源|
|左上:ラドゥイアゴスの寝顔|右上:あなたを踏みつける高貴な猫|
|左下:ラドゥイアゴスの日常|右下:ラニャーマの新たなる挑戦|
|左上:避難民の正体|右上:一騎当千の戦士二人|
|左下:災いを撒く者と対峙|右下:西の宰相の憂さ晴らし|
|左上:遠い昔、ラドゥイアゴスの警告|右上:南の王子と高官|
|左下:13年前、事件直前の一幕|右下:在りし日の南の王と王妃|
|左上:ピンチに参上ドワーフ大工軍団|右上:エキセントリックな二人組|
|左下:北の女王と農夫と猟犬たち|右下:東のエルフ遠征軍、随行の飯炊き少年|
|左上:巨大な魔物と対峙する死神|右上:巨大な魔物と対峙する死神|
|左下:東の女王と死神|右下:ケット・シーの農民と死神|
|左上:西の宰相の自宅に侵入した西の若者|右上:行き倒れた者を看護していた公国議長|
|左下:謎の黒いレイピアを睨む二人|右下:看守に賄賂を渡す西の宰相と高官|
文明の残骸に築かれた、新種族たちの群像劇
舞台は、争いを止められなかった現生人類が「地母神」の怒りを買い、粛清された後の地球。
新たに誕生したエルフ、グノーム、ドワーフ、そしてケット・シー……。
かつての高度な文明は「古代人文明」として土に埋もれ、新種族たちはその傷跡の上に、独自の文化と歴史を刻み始めました。
多少の小競り合いはあれど、大きな戦に発展することはなく平和が永く続いていた世界。しかし13年前に一変。豊かな資源と覇権を巡る激しい侵攻劇、その後に立て続けに起きた大災厄が世界を揺るがしました。
大災厄で両親を失ったグノームの少女、ラニャーマ=ゼラギア。
彼女が求めたのは、二度と大切なものを失わないための「守る強さ」。
その答えを求め、彼女は世界最強の魔道士と謳われる西のエルフの長老、ラドゥイアゴスが隠れ住む島へと乗り込みます。
「最強の賢者」の、あまりに情けない真実
しかし、そこで彼女が目にしたのは、噂や伝聞から大きく乖離した光景でした。
そこにいたのは、世界を救う英傑などではなく、酒に溺れ、自暴自棄な言葉を吐き、少しの物音に怯えて動けなくなる「伝説のなれの果て」。壊れて荒んだラドゥイアゴスは、周囲に「生かされている」だけの、自由なき生贄として古城に佇んでいました。
気だるげでやる気ゼロの師匠がラニャーマに投げかけるのは、「守るとは何か」という、もっともらしいが空虚な問い。
そして、とりあえず体裁を整えるために出される、読書課題と小論文。
理想の師弟像は脆くも崩れ去り、物語は「辛辣で容赦のない少女」が「壊れきった"最強で最弱の魔道士"」の弱音を叩き潰していく、奇妙な共同生活から動き出します。
プレイヤーに託される、答えなき選択
「師匠」としての体面を保てないほどボロボロになったラドゥイアゴスと、理想と現実のギャップに戸惑いながらも突き進むラニャーマ。
二人の交流の裏で、世界規模の災厄は静かに、しかし確実に牙を剥き始めます。
崩れた賢者を、どう立て直すのか。
突きつけられる「問い」に、あなたならどう答えるのか。
これは英雄譚ではありません。
不完全な大人たちと、まだ何者にもなれていない少女が、世界の不条理に抗う「思考の旅」なのです。
「正解」ではなく「在り方」を選ぶ
本作は、 流れてくる物語をただ眺めるのではありません。プレイヤーは常に、逃げ場のない「問い」の当事者となります。
好感度を稼いでハッピーエンドを目指すような、従来の「正解探し」の選択肢は存在しません。 あるのは、「あなたなら、どう答え、どう在るべきか」という決断だけ。
プレイヤーが選んだ答えは、各キャラクターの人格となり、ひいてはエールケディスの世界の形を変えていきます。些細な選択が、ある者を救い、ある者を奈落に落とすことさえあるでしょう。
それらは、物語を通じてプレイヤー自身の価値観と真っ向から向き合う、鏡のような体験となるはずです。

二つの層で描かれる「不和」と「決断」
【生存と排斥】――地を這う者の、泥臭い政治劇
舞台となる「エールケディス」は、かつての平和を失いつつあります。
突如勃発した災厄から逃れた「砂漠の騎馬遊牧民」の、西のエルフの地への大量流入。「西の宰相フロイダナス」は避難民に手厚い庇護を与える一方で、宰相から存在を軽視されてきた「西のエルフの貧しい若者」たちは不満を募らせ、排外主義の機運を高めていきます。
怒る若者に付け入り、西の地の取り崩しを計る外部勢力の介入とて、見過ごすわけにはいきません。
若者を愚かと断じて絶望をこじらせた宰相フロイダナスと、悲嘆に暮れる彼に発破をかけ続けなければならない妻のハリサヤズド。二人が直面するのは、出口のない「不和」のコントロールです。
暴動をいかに防ぐか、あるいは制御するのか。誰を優先し、誰を切り捨てるのか。何を発言し、何を行い、何を言わず、何をしないのか。
プレイヤーは、この一触即発の政治的緊張感の中に放り込まれます。
【浄化か、死か】――深淵から響く、残酷な運命論
この汚濁した世界を救える唯一の希望。それが「ラドゥイアゴス」です。 彼女は、ただそこに存在してるだけで世界のマナを浄化できる聖域のような存在。しかし、その浄化は彼女の体力を無慈悲に削り取っていく「呪い」でもありました。
そして、どこを切り取っても「規格外」なラドゥイアゴスは、西の地では嘲笑の対象となっており、数え切れぬほどの悪意を浴び、時には命の危機に晒されてきました。心身共にズタボロなのです。
浄化の苦痛に耐えかね、悪夢に震え、酒に溺れ、幻聴に怯える「最強で最弱の賢者」。 彼女をただの「世界の空気清浄機」として使い潰し、生贄に捧げることで世界を長らえさせるのか? それとも、一人の「個」としての尊厳を取り戻す道はあるのか。
しかしある男は、残酷な問いをラニャーマに投げかけます。贄を求める世界に救う価値はあるのか、と。

美辞麗句の裏側に、本当の「居場所」を作るために
少し前の世界には「多様性」という言葉が溢れていました(今はちょっと違いますね?)。しかし、その美辞麗句の陰で、既存の枠組みに当てはまらない人々が置き去りにされ、あるいは激しい排斥の波にさらされて傷付いている現実があります。
「どうして、こんなに息苦しいのか?」
「なぜ、決められた型に自分を押し込めなければならないのか?」
私自身、この社会が当たり前として提示する「境界線」や「二元論」に対して、拭い去れない違和感を抱き続けてきました。その違和感こそが、この物語を紡ぎ始める原動力となりました。
「癒し」ではなく「疑念」を、エンターテインメントの力を借りて
本作『Witch of Yelekedis』が提供するのは、その場しのぎの優しい癒しや共感ではありません。 私たちが「当然」として受け入れている常識や、無意識に引き直されている境界線。それらに対する「疑念」の提示です。
登場する40名以上のキャラクターたち。彼らの視点を通じて世界を眺めることは、固定観念という檻から解き放たれ、「どうして?」を突き詰めて考える旅でもあります。
本作が、ただの娯楽に留まらず、これから私たちがどう生きていくべきかを問い直す「思考の入り口」となれば、これ以上の喜びはありません。
本編は無料での提供を予定しています。物語体験そのものに価格の壁を設けたくないからです。
日本から、世界に通用する多様で普遍的な物語を届けたい。その想いで、開発を進めています。

「ファンタジーの既成概念」を打破する独自の種族設定
本作には、従来のイメージを覆す個性豊かな種族が登場します。地域ごとに全く異なる文化や身体的特徴を持ち、とても泥臭く人間臭い「東西南北のエルフ」、ワイルドで勇猛果敢な「騎馬遊牧民のグノーム」、現金な性格の「ケット・シー」、そして尊大で高貴な「有翼のお猫さま」など。これまでにない、生々しくも魅力的なファンタジーの世界が広がっています。


架空言語と用語集が織りなす圧倒的な没入感
物語には独自の架空言語や歴史、食文化などが盛り込まれており、プレイヤーはゲーム内の「用語集」を駆使して世界を紐解いていきます。徹底して作り込まれた世界観は、物語を読み解く喜びを加速させます。物語を彩るBGMの中には、架空言語で歌われる歌唱曲もいくつか含まれています。


日英対応・こだわりの「方言」表現
本作は英語にも対応。特筆すべきは、日本語・英語の両言語において「方言」表現が盛り沢山に詰め込まれている点です。言葉の響き一つひとつにまで、キャラクターの出自と命を宿しています。

皆様からのご支援は、まずはリターン品の製作費や梱包・発送費、ゲーム開発費用、制作に用いるソフトウェアや道具等のアップグレード、BGMの拡張に充てさせていただきます。
大きなご支援をいただけた場合には、Steam等のプラットフォームでの展開の検討。オリジナルサウンドトラックのCD化、設定資料集の製作といった、作品をより深く楽しんでいただけるコンテンツの充実へ活用したいと考えています。

本作の世界観をより深く、日常でも感じていただけるようなリターンをご用意しました。
感謝を込めて:ゲーム内クレジット掲載
ご支援いただいた全ての方のお名前を、感謝の意を込めてゲーム内のエンドロールに刻ませていただきます。共にこの物語を完成させた「同志」として、その名を残しませんか?
作品を彩る体験:デジタルサウンドトラック & ワンコの命名権
現在販売中のオリジナルサウンドトラック3巻(デジタル版引換券)に加え、作中に登場する「ワンコ」の命名権をご用意しました。あなたの名付けた子が、エールケディスの大地を駆け回ります。
こだわりの限定グッズ(現物リターン)
物語のキーアイテムや、愛らしいキャラクターをモチーフにした実物リターンも計画中です。
・メサキナのバレッタ風イヤリング
・パヌイのコンパクトミラー
・パヌイの肉球 "Purr-fect!" ハンコ(サンプル画像あり)
【留意事項】これらのグッズは少ロットでの完全限定生産となります。製作費に加え、梱包・配送諸経費を含めた価格設定となるため、一般的な既製品に比べるとやや割高な設定となります。作品への「応援」の意味も込めて、ご了承いただけますと幸いです。
「パヌイの肉球 "Purr-fect!" ハンコ」サンプルです。
2027年上半期(または下半期)頃の完成、正式版リリースを予定しています。

『Witch of Yelekedis』は、プレイヤーの「決断」が世界の形を決定づける物語です。
これまでにない解像度で描かれる異種族の対立、そして、既存の枠組みに抗い続けるキャラクターたちの叫び。私がこの作品に込めた「不純物だらけの真実」を、妥協することなく世界へと届けるために、皆様の力を貸してください。
誰もが「正解」を求めて彷徨う時代に、あえて「答えのない問い」を共に抱えてくれる同志を募ります。 一緒に、この深く、美しく、残酷な物語を完成させませんか?
皆様のご支援を、心よりお待ちしています。

サウンドトラックをYoutubeより視聴可能です!
最新の活動報告
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【ストーリー紹介】その「平和」は、一人のエルフを踏み潰してできている――最強で最弱の魔道士・ラドゥイアゴス
2026/04/12 16:00支援者の皆様、いつも温かい応援をありがとうございます! そして、この記事で初めて本作を知ってくださった皆様、数あるプロジェクトの中から見つけていただき心より感謝いたします。本作『Witch of Yelekedis』は、輝かしい王道の英雄譚ではありません。本作の深層に横たわるのは「世界の維持・存続」という大義名分の影で、一人の個人の尊厳が徹底的に搾取され、すり潰されていく社会構造の歪みです。その歪みの中心で、心も、体も、居場所も、すべてを奪われた存在。それが始祖の四柱の一角であり、最初に誕生した西のエルフ――「黄金のラドゥイアゴス」です。今回の記事では、自らを「最強で最弱」と自嘲するラドゥイアゴスが抱える、暗澹たる孤独と絶望に触れていきます。世界の存続を支える「インフラ」という名の檻物語の序盤、あるルートの中で東のエルフの外交特使メサキナはこのようなことを語ります。ラドゥイアゴスとは巫覡(ふげき)のような存在であると。ラドゥイアゴスは、世界に満ちる根源物質「マナ」の汚濁を浄化できる唯一の存在。ラドゥイアゴスが機能を停止すれば、マナの汚濁から魔物がひっきりなしに発生するようになり、世界は魔物に呑み込まれ、やがてあらゆる生命は死に絶えるとされています。その圧倒的な希少価値ゆえにラドゥイアゴスは「個人」であることを許されませんでした。現在のラドゥイアゴスは、古城の奥深くに据え置かれた「世界を存続させるための生体インフラ」に過ぎません。徹底的に管理され、生かされ、ただ呼吸を続けることだけを義務付けられた装置。「生かされている」だけの存在。その事実がもたらす絶望的な無力感が、かつての賢者から覇気を奪い、酒へと逃避させ、自暴自棄な言葉を吐き散らす「無気力な抜け殻」へと変えてしまったのです。剥ぎ取られた自認と居場所ラドゥイアゴスの悲劇を語る上で避けて通れないのは、その「身体」と「魂」の不一致、そして社会による暴力的なラベリングです。ラドゥイアゴスは、半陰陽という特異な身体を持って生を受けました。しかし、その魂は紛れもなく「女性」です。若かりし日のラドゥイアゴスが何より愛したのは、女性たちと共に集い、静かに糸を紡ぎ、布を織り上げる時間。その規則正しく右へ左へと滑る杼の音を背景に、談笑を楽しむ空間こそが、ラドゥイアゴスが自分らしくいられる場所だったのです。しかし、その楽しみは「社会」という怪物によって食い破られます。ラドゥイアゴス自身すらも知らなかった「身体的特徴」が発覚するや否や、浴びせられたのは心無い影口と、好奇の目、そして冷酷な排斥。居場所を奪われたラドゥイアゴスは、コミュニティの端で、たった一人で糸を紡ぐようになります。さらに過酷だったのは、外の世界がラドゥイアゴスに「王」としての役割を求めたこと。つまり「男」という役を期待されるようになったことでした。「男ならば、それを証明してみせろ」向けられた悪意は、時に逃げ場のない暴力となってラドゥイアゴスを襲いました。最強の魔道士と謳われながら、恐怖に身を竦ませ、自分の心一つ守れなかったという屈辱。魂を踏みにじられたその夜の記憶は、今もラドゥイアゴスの芯を凍らせたままです。現在、ラドゥイアゴスが独りで外を歩くことは叶いません。今のラドゥイアゴスを支配しているのは、「もう誰にも見られたくない、触れられたくない」という、喉を掻き切るような恐怖心なのです。ラニャーマが呑むべき「毒」主人公ラニャーマがラドゥイアゴスと対峙したとき、そこにいるのは伝説の賢者でもなく、最強の英雄でもありません。酒の匂いを漂わせ、小さな物音に怯え、過去の泥濘から抜け出せない「壊れきった一人のエルフ」がうずくまっているだけです。本作は、プレイヤーであるあなたに、あまりに不躾な問いを突きつけます。あなたは、この歪んだ世界の共犯者となり、ラドゥイアゴスを「便利な装置」として飼い殺し、歪な平和を享受し続けるのか?それとも、世界の破滅を天秤にかけ、ラドゥイアゴスを一人の「個」として救い出すのか?はたまた、ラドゥイアゴスの背負う地獄を肩代わりする道を模索するのか?本作に、好感度を稼げば辿り着ける「安易な正解」など存在しません。ラニャーマが発する言葉の一つひとつが、ラドゥイアゴスの心を砕く楔になることもあれば、ラドゥイアゴスを地獄の底から引き上げる指先になることもあります。時には、ラドゥイアゴスの甘えを冷徹に叩き潰す必要があるかもしれません。時には、共に地獄の底まで沈む覚悟が必要かもしれません。結末の「救い」は、どのようなカタチを取るのか――ラドゥイアゴスが再び陽の光の下で、誰に怯えることもなく糸を紡ぐ日は来るのでしょうか。あるいは、名前も知らぬ誰かのために搾り取られ、枯れ木のように朽ちていくのか……。この物語は、私の個人的な情熱から生まれた、非常に偏執的で、そして切実な叫びです。あなたが、この「最強で最弱の魔道士」の運命を見届ける目撃者となってくれることを、心より願っております。 もっと見る
【設定公開】「なんとなく」ではない。ハイファンタジーのリアリティを支える「架空言語」の法則とは?
2026/04/10 19:30支援者の皆様、いつも温かい応援をありがとうございます!そして、この記事で初めて本作を知ってくださった皆様、数あるプロジェクトの中から見つけていただき心より感謝いたします。本作は、圧倒的な作り込みのハイファンタジーでありながら、その裏側にSF的な真実が隠された、独自の重厚な世界観を持つ選択式アドベンチャーゲーム(ADV)です。ヴィジュアルノベル、ノベルゲームともいいます。本日は、PixivFanboxアーカイブより、本作の「リアリティ」を支える裏設定、「架空言語と名付けの法則」についてお届けします。「音」が持つ不思議な共通点私は言語学の専門家というわけではありませんが、創作において「納得感のある響き」を作るために、ある一つの面白い法則を大切にしています。それは、「食べ物(特に主食)」に関する言葉には、世界中の言語で「m」「p」「b」の音が頻出するという法則です。これらの音は、赤ん坊が最も初期に発声できる「唇音(しんおん)」でもあります。食事という生命維持に直結する行為は、人類にとって最も根源的な音と結びついているのです。「m」の音: 饅頭(mántou)、Momo、Manioc、Meal、まんま「p/b」の音: パン、Pita、Pizza、Baguette、Bagel、Bread、Bubur(粥)身近な「コメ」「マメ」「ムギ」にもこれらの音が含まれていますよね。本作の架空言語に宿る「音の意味」本作『Witch of Yelekedis』内に登場する架空言語も、このような「実在する言語の法則」を転用して設計しています。適当な音を並べているわけではなく、一つ一つの音に意味を込めているのです。例を挙げてみます。音(読み)意味・定義補足・例m命の維持に繋がるもの食べ物などb実体をもつもの肉体などf薄いもの膜、布などj生きていくうえで必要なもの知恵などsha白、明るい光などvi水液体例えば、作中に登場するピタパンのような食べ物は「フブジュム(fbujm)」と呼びます。 これを分解すると「f(薄い)+b(実体)+j(必要)+m(食)」となり、「薄っぺらな主食」というイメージが浮かび上がってきます。他にも、ピタパンを水でぐちゃぐちゃに解きほぐして作る麦酒は「アラ・マニャン(ala manjan)」、西のエルフが食べるマズいお粥(ポリッジ)は「カモジュ粥(kamoj wahom)」、バターは「ボルシャム(bolsham)」、ヨルドムがよく使うサワークリームないしスメタナは「シャヴィグズマ(Shavigzuma)」など、すべての単語に意味の裏付けを持たせています。ゲーム内の「ガチレシピ」の場合は「ドライイースト→ビール酵母」「牛乳→山羊ミルク」になります。名前は「運命」を語る。キャラクター名に秘められた意味本作において、キャラクターの名前は単なる記号ではありません。「音に紐付けられた意味」を考慮して名付けており、その人物の性格や言動、歩むべき運命を暗示しています。特に象徴的なのは「ガゼルゼンス」という名です。その意味は「暗闇を追いやり変化をもたらすが一方で無思慮である剣戟」。彼の作中での振る舞いは、まさにこの名前が示す通りなのです。主要キャラクターの名の意味をいくつかご紹介しましょう。キャラクター名名前の持つ意味ガゼルゼンス暗闇を追いやり変化をもたらすが一方で無思慮である剣戟ギズルゼンス物質世界に新たな変化を運び続ける、気高く、しかし愚直な者ラニャーマ衝動のまま無鉄砲に突き進み変わり続ける猛獣ジズヴァル守るため、決して折れぬ鋼鉄の牙ラドゥイアゴス至緻な思考を暗闇の中で自由に展開する者ルゼルアンド慈愛を以て育て上げ、送り出し、地に還す者ヘザトワンド移ろいに流されず、警戒と共に潜む者ゲルトダラス身を削り荒野を駆け、影から変革を起こす者フロイダナス蛮行を退ける蔽いの如き守護者ルーザク優雅にして確固たる、揺らがぬ樹「どうしてその音でその意味になるのか?」を語りだすと、さらに長大な解説になってしまいますが(笑)、本作の徹底したこだわりを感じていただければ幸いです。最後に架空言語に「実際にありそうな響き(リアリティ)」を与えるためには、現実の世界にある法則を見出したうえで、それを独自に再構築する必要があります。単語ひとつ、名前ひとつにも、本作の世界観を凝縮して詰め込みました。 プレイ中、もし新しい単語に出会ったら「これはどんな意味の音で構成されているんだろう?」と想像を膨らませていただけると嬉しいです!引き続き、応援よろしくお願いいたします! もっと見る
【設定公開】タロットと四大元素から紐解く、始のエルフたちの「ウラ・オモテ」
2026/04/07 17:30支援者の皆様、いつも温かい応援をありがとうございます! そして、この記事で初めて本作を知ってくださった皆様、数あるプロジェクトの中から見つけていただき心より感謝いたします。本作は、圧倒的な作り込みのハイファンタジーでありながら、その裏側にSF的な真実が隠された、独自の重厚な世界観を持つ選択式アドベンチャーゲーム(ADV)です。ヴィジュアルノベル、ノベルゲームともいいます。本日は、PixivFanboxアーカイブより、本作『Witch of Yelekedis』の重厚な世界観を形作る、「始のエルフ」と「エルフの四神器」の深掘り設定をお届けします。物語の根幹に関わる、こだわりの設定をぜひお楽しみください。地母神の遺産?「エルフの四神器」簡潔にまとめると、この通りです:神器元素象徴(タロット)保有者(始のエルフ)守護者(チャリスの眷属)聖槍火ワンド(杖)ガゼルゼンス(該当なし)聖杯水カップ(聖杯)ラドゥイアゴス宵闇の竜カミラ聖剣風ソード(剣)イグリザンド紅翼の巨鳥スパーナ聖盆地ペンタクル(金貨)ヤムリシェンド萌芽の竜リルフ「エールケディス」シリーズに登場する重要なアイテムには「エルフの四神器(またはチャリスの神器)」というものがあります。聖杯、聖盆、聖剣、聖槍の四種類です。「エルフの四神器」とは、エールケディスの地母神、竜の姿をとる女神チャリスがかつて保有していたが遺棄したものであるとされています。理由は不明であるものの、神器は「ゲルタグランド洞窟」の奥地に安置されていました。この四神器は火水風地の四大元素と紐づけられています。配置は以下の通りです。この配置はタロットカード、もといアイルランドの伝説等に着想を得て作られています。タロットカードに置き換えると、このようになるでしょう。これら四神器は、通称「始のエルフ」と呼ばれている四名が保有、隠匿しています。聖槍はガゼルゼンスが、聖杯はラドゥイアゴスが、聖剣はイグリザンドが、聖盆はヤムリシェンドが保有しています。また、保有している神器の属性は、それぞれの表の性格を象徴しています。氏名保有神器対応属性表の性格・傾向ガゼルゼンス聖槍火エネルギッシュ、豪快。天下人的気質、猪突猛進。ラドゥイアゴス聖杯水感情豊か。本来は穏やかだが、現在は情緒不安定。イグリザンド聖剣風クレバー、冷静。状況を見定める確かな目。ヤムリシェンド聖盆地不動、些細なことで動じない。峻厳な守護者。しかし、始のエルフが四神器を保有しているといえど、彼らが直接的に管理をしているわけではありません。ガゼルゼンスを除く三名は、通称「チャリスの眷属:宵闇の竜カミラ、萌芽の竜リルフ、劫火の竜ベムド、紅翼の巨鳥スパーナ」と呼ばれる高位存在と盟約を結び、彼らにこの神器の守護もしくは封印を依頼しています。・ラドゥイアゴスは「宵闇の竜カミラ」に聖杯の監視を依頼しています。・イグリザンドは「紅翼の巨鳥スパーナ」に聖剣の管理を委託しています。・ヤムリシェンドは「萌芽の竜リルフ」に安住の寝床を提供する代わりに、彼の大きな体の下に聖盆を隠すよう頼んでいます。なおチャリスの眷属の一柱である「劫火の竜ベムド」はエルフら新生命に興味を抱いておらず、彼らの前に姿を現すことがありません。そのためチャリスの眷属と盟約を結べていないガゼルゼンスは、彼自身の手で聖槍を護っていました。光の都ライタフィルズにそびえる白亜の城その一室にて、無防備な状態で安置されていた聖槍。この聖槍が「ライタフィルズ城陥落」という大事件を招くこととなります……。「始のエルフ」の裏性格について始のエルフの表の性格は、神器にて象徴されている一方。彼らの裏の性格、要するに短所については彼らのニックネームに紐づけられています。二つ名裏の属性裏の性格・短所(本質)喝采のガゼルゼンス火(焼き尽くす炎)短慮、人気取り優先、禍根の元凶、責任転嫁による延焼黄金のラドゥイアゴス地(重たい塊)腰が重い、不活発、不行動、トラブルを呼ぶ輝き夕凪のイグリザンド水(動かぬ水)心象はベタ凪。他者に振り回されない(関心が薄い)吹雪のヤムリシェンド風(命奪う風)最も高い決断力、処刑も厭わぬ冷徹さnote:始のエルフたちの中で最も威張り散らしているのはガゼルゼンス。けれども始のエルフの中で最も弱い立場に居るのもガゼルゼンスであったりする。それは大昔、ガゼルゼンスがラドゥイアゴスのことを理不尽にいびり倒していたからです。それゆえガゼルゼンスは常にヤムリシェンドから睨まれているし、イグリザンドもどこか冷たい態度を取り続けています。ラドゥイアゴスも積極的にガゼルゼンスと交流を図ろうとはしません。とはいえラドゥイアゴスは全てを水に流し、既にガゼルゼンスを許した。しかしガゼルゼンスに対するルゼルアンドとフロイダナスの恨みの念は今もなお健在……。最後に「表の顔」と「裏の顔」。属性が反転するかのように描かれる彼らの多面性は、Witch of Yelekedisの物語をより深く、血の通ったものにしています。この因縁が作中でどのように爆発するのか、あるいは静かに沈殿していくのか。彼らの行く末を見守っていただければ幸いです。引き続き、温かいご支援と応援をよろしくお願いいたします! もっと見る














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