What's 丹後ちりめん? Vol.3 | 祈りとともに織られる文化丹後でも、あまり知られていない織物事業者の祭礼があります。それが、「丹後織物禊の儀」です。この祭礼は、丹後の織物業に関わる人々が、織物と養蚕の神様へ感謝をし、織物業のさらなる繁栄を祈願するために行われている神事です。今回、丹後リビングラボの取り組みの一環として、「森を織る」のツアー参加者とともに、特別に参列させていただきました。(Photo by インテツ)当日は、まず京都府京丹後市網野町にある網野神社にて、織物業に関わる関係者が一堂に会し、祝詞が奏上されます。その後に行われるのが、「管みくじ」です。機織りに実際に使用される“管(くだ)”を用いたおみくじを引き、赤い管を引いた機屋が、その年の「福機(ふくばた)」となります。福機に選ばれた機屋は、一年を象徴する存在として一反の生地を織り上げ、4月13日に行われる「蠶織神社祈願祭(こおりじんじゃきがんさい)」にて奉納します。今年は、(有)丸栄織物工場の井上 肇 氏が選ばれました。さらに、その奉納された丹後ちりめんの反物は、福分けとして、限定約100体の「ちりめんお御籤」となり、網野神社にて授与されます。昨年、福機に選ばれた柴田織物 の柴田 祐史 氏が奉納した反物から生まれた「ちりめんお御籤」も、今年の4月13日以降に、福分けとして手に取ることができます。祈りの中で織られた生地が、こうして人々の手へと渡っていく。そこには、産地の文化が循環していく仕組みが息づいています。そして、この神事のもう一つの象徴が、海での禊(みそぎ)です。3月の夜、八丁浜。有志の織り手たちは極寒の日本海へと入り、身体と心を清めます。強い風が吹きつける中、「ヨイショー!ヨイショー!」大きな掛け声とともに、参加者は身体を動かし、呼吸と意識を整えてから海へと向かいます。「祓いたまえ、清めたまえ」祈りの言葉を唱えながら、ゆっくりと海へと入り、全身を浸す。その所作ひとつひとつには、織物と養蚕の神々への感謝と、産地の繁栄を願う祈りが込められています。丹後のものづくりは、自然と切り離されたものではなく、その中で生きてきた人々の営みそのものです。湿度、水、気候。そうした環境の中で、人の手による繊細な工程が積み重ねられてきました。その根底にあるのは、自然への敬意と、続けていくための祈りです。より多くの方に、丹後ちりめんの物語やその背景を知っていただくことで、この土地に根ざした自然への敬意や祈りの文化が、これからも静かに、そして確かに受け継がれていくことを願っています。「丹後織物禊の儀」の詳細を知りたい方は、こちらの動画もぜひご覧ください▶ https://youtu.be/n8wVewADYsw▶「丹後ちりめん」についてのアーカイブはこちら・What's 丹後ちりめん? Vol.1・What's 丹後ちりめん? Vol.2|そのルーツを辿る




