
少し、私自身のことを話させてください。
52歳の秋、私は原因不明のうつ病に倒れました。
若い頃、ヒマラヤ7,000m峰に2度登った登山家でした。穂高の岩壁をソロで登り、極限の状況でも冷静でいられる精神を持っていると、自分では思っていました。
鍛えた精神も、崩れるときは一気に崩れる。
それを身をもって知りました。
2年間。長い時間をかけて、少しずつ立ち直りながら、私は気づいたことがあります。
弱さを知っているから、弱さを受け止めてくれるものの価値がわかる。
その回復の過程で、東洋哲学・西洋哲学を学び始めました。月日は流れ、そんなある日——イタリア・ドロミテの渓谷の奥に生まれた「顔のない木彫り家族像」と出会いました。
初めて見たとき、正直「変わったものだな」と思いました。
でも手に取った瞬間、何かが伝わってきました。
木の温かさ。職人の手の跡。そして——顔がないのに、誰かの顔が見えてくる不思議な感覚。
あの頃の、弱いままの私にも寄り添ってくれる。そう感じました。
このドールを作ったマッテオさんはこう言います。
「表情を決めないことで、持つ人の心がその日の物語を完成させる」
これは私がうつ病を経て辿り着いた「弱さを受け入れることの強さ」と、深いところで重なっています。
強くあらねばと生きてきた人に。毎日誰かのために動いて、自分のための時間がどこかに消えてしまっている人に。言葉にできない気持ちを、ただ受け取ってくれる何かが欲しい人に。
このドールを届けたくて、このプロジェクトを始めました。
まだ支援者は少ないです。
それでも、この「空想家族」を必要としている人が、日本のどこかにいると信じています。
もし心に引っかかるものを感じていただけたなら、プロジェクトページをもう一度だけ見ていただけますか。
そして、もしよければ——あなたの周りの「疲れているかもしれない誰か」に、このページをシェアしていただけると嬉しいです。
それだけで、このプロジェクトは前に進みます。
市松group 野村浩
プロジェクトページhttps://camp-fire.jp/projects/936049/view



