
なぜ、バーキースは国産ウイスキー専門店なのか
1996年、新大阪の地でバーキースをオープンした頃の当店は、世界中のお酒を扱う「少しこだわりのある普通のバー」でした。

スコッチ、バーボン、ラム、ジン──
良いと思ったものを幅広く揃え、お客様と一緒にお酒を楽しむ。そんなスタイルから始まった店です。
転機が訪れたのは2011年頃でした。
日本各地で、小さな蒸溜所が少しずつ動き始めた時代。まだ“ジャパニーズウイスキーブーム”と呼ばれる前、無名に近い蒸溜所や、新たな挑戦を始めた造り手たちがいました。
その頃から私は、少しずつ国産ウイスキーを集め始めました。
理由は難しいものではありません。
「僕が日本人だから」
ただそれだけです。
この国の風土、この国の水、この国の気候。
そして日本人特有の繊細な感性から生まれる味わいに、強く惹かれました。
海外のウイスキーには長い歴史があります。もちろん素晴らしい文化です。ですが、日本の造り手たちは、その伝統を学びながらも、日本人にしか表現できない美意識で独自のウイスキー文化を築こうとしていました。
四季の変化を活かした熟成。
食文化に寄り添う繊細な香味。
派手さより“余韻”を大切にする感覚。
そうした一本一本に、私は深く心を動かされました。
だからこそ私は、
「ただ仕入れて売るだけの店」にはなりたくありませんでした。
日本のウイスキー文化そのものを応援したい。
まだ知られていない蒸溜所や、真剣にものづくりを続ける生産者の存在を、一人でも多くの方に伝えたい。
そんな思いが、バーキースを“ジャパニーズウイスキー専門店”という形へ導いてくれました。
もちろん、国産だけに絞ることは簡単ではありませんでした。
「国産だけじゃ厳しいでしょ」
「スコッチを減らすなら行かないよ」
そんな声をいただいた事もあります。
それでも、
「キースだから応援したい」
「ここで初めてジャパニーズウイスキーの面白さを知った」
そう言ってくださるお客様に支えられて、今日まで続けてくることが出来ました。
そして今、私はウイスキーだけではなく、日本ワインの世界にも同じ可能性を感じています。
小さなワイナリー。
限られた環境の中で懸命にぶどうを育てる農家さん。
日本の風土を活かしたワイン造り。
そこには大量生産では生まれない、人の想いと物語があります。
だからこそバーキースでは、クラウドファンディングへの参加や、“ぶどうの木オーナー”の取り組みを通じて、生産者を応援するコミュニティづくりにも関わらせていただいています。
ただ消費するだけではなく、
「知る」「応援する」「つながる」
そんな循環が広がれば、日本のお酒文化はもっと面白く、豊かになっていくと思うのです。
ウイスキーもワインも、単なる“お酒”ではありません。
その土地の空気、人、文化、時間が詰まった「作品」だと私は思っています。
そして僕にとって、一生かけて向き合いたいと思えた酒が、ジャパニーズウイスキーでした。
これからもバーキースは、日本の造り手と飲み手をつなぐ架け橋のような存在でありたいと思っています。
今日の一杯が、
誰かにとって忘れられない一杯になりますように。



