友人夫婦から初めてバナナの話を聞いたとき、正直、私はそこまでピンときていませんでした。
そもそも、私はそこまでバナナが好きな方ではなくて、タイでよく見かける小ぶりのバナナも、1本食べれば十分、というくらいでした。
それに、タイではバナナって、庭先や畑の隅で自然に育っていることも多いんです。
特別なものというより、どこにでもある身近なもの、という感覚でした。
だから最初は、「本当にバナナで、この村の暮らしが変わるのかな」と、半信半疑でした。
そんな中で、ナコンラチャシーマー県のソーンサーンという地域を訪れる機会がありました。
そこで、少しずつ考えが変わっていきました。
まず驚いたのは、その景色です。
見渡す限り、バナナ農園が広がっていました。
もちろんトウモロコシ畑もありましたが、
そこではバナナが、ちゃんと“産業”として根づいていました。
実際に見た、バナナが産業として根づく地域
ソーンサーンで見たのは、ただバナナが育っている風景だけではありませんでした。
そこには、農家さんたちがまとまって栽培し、品質をそろえ、出荷までつなげる仕組みが、すでに出来上がっていました。
ただ作るだけではなく、「ちゃんと売れる農業」が、そこにはありました。
私が訪れたときには、ちょうど新しく家を建て始めていた農家さんが2軒ありました。
農業で、暮らしが前に進んでいる。
その現実を、私は初めて目の前で見た気がしました。
私はそのとき、「このモデルを、そのままこの村に持ってこられたらいい」と思いました。
しかも、私たちの地域でバナナが育つかどうかは、すでに友人夫婦が自分たちの土地2ライで試験的に栽培を始めていて、今5か月目まで順調に育っています。
私たちの村でも、すでに一歩が始まっています
そして、この地域は高地にあり、洪水などの大きな自然災害もほとんどありません。
タイの中でも、比較的安定して作物を育てやすい環境です。
だからこそ、「やってみたい」ではなく、「ちゃんと形にできるかもしれない」と思えました。。
そして、もうひとつ印象に残っていることがあります。
実際に、このプロジェクトで育てようとしているバナナ(ホムトンバナナ(タイの高級香りバナナ / グロスミッシェル系)を食べたことです。
正直、日本で食べていたバナナよりも、ずっとおいしいと感じました。
しっかり甘みがあって、食べ応えもあって、思わず、もう1本食べたいと思ったほどでした。
たぶん、人生で初めてだったと思います。
バナナって、こんなにおいしかったんだ、とちゃんと感じたのは。
そのとき、ただの作物だったものが、少しずつ「この村の未来の可能性」に見えてきました。
バナナの魅力は、実が売れることだけではありません。
花も、葉も、茎も、いろいろな形で活用できます。
品質が少し落ちたものでも、加工してお菓子などにすることもできます。
無駄が少なく、可能性の幅がとても広い作物だと感じました。
しかも、きちんとした育て方を学べば、特別な才能がなくても、誰でも挑戦できる農業だと思っています。
私は、タイに来るまで、バナナがどう育つのかをほとんど知りませんでした。
初めて知った、バナナの育つ姿
花のつき方も、実のなり方も、初めて見たときは本当に驚きました。
日本では、バナナはとても身近な果物だけど、その育ち方や背景を知る人は、意外と少ない気がします。
だからこそ、このプロジェクトを通して、バナナの魅力そのものも、もっと知ってもらえたらと思っています。
年に一度の収穫にすべてをかけるのではなく、少しずつ育てて、少しずつ実りを重ねていける。
苦しいだけの農業ではなく、育てることに喜びがあって、ちゃんと暮らしにつながっていく農業。
私は、この村にも、そんな新しい選択肢を作りたいと思っています。
※この話は続きます(#4へ)
- 次回予告 -
このプロジェクトで、これから具体的に何を作っていくのか。
バナナ農園だけでは終わらない、その先の構想について書こうと思います。



