下高井戸で愛された蕎麦屋「寿々木家」の記憶を受け継ぎまちに開かれたテナントビルへ

90年近く下高井戸商店街で地域に愛され続けた蕎麦屋「寿々木家」のレガシーを継承しつつ、新しいテナントビルに生まれ変わらせたい。共用部を彩るイラストレーションと、耐震改修でこれからも長く愛される建物に。

現在の支援総額

140,000

7%

目標金額は2,000,000円

支援者数

11

募集終了まで残り

47

下高井戸で愛された蕎麦屋「寿々木家」の記憶を受け継ぎまちに開かれたテナントビルへ

現在の支援総額

140,000

7%達成

あと 47

目標金額2,000,000

支援者数11

90年近く下高井戸商店街で地域に愛され続けた蕎麦屋「寿々木家」のレガシーを継承しつつ、新しいテナントビルに生まれ変わらせたい。共用部を彩るイラストレーションと、耐震改修でこれからも長く愛される建物に。

寿々木家さんとの出会い

はじめまして。寿々木家ビルの改修設計を担当しています山野井建築事務所の山野井と申します。

寿々木家さんと出会いは、昨年7月に耐震診断、耐震補強工事に特化した会社が主催するイベントで弊社の取り組みを講演させていただき、参加されている方の中に寿々木家ビルのご家族様がいました。
講演後にお蕎麦屋さんを畳んだ話しや、旧耐震の寿々木家ビルを耐震改修してテナントビルに改修したい、という話しを伺いました。
建物の耐震診断のために劣化調査をまだ実施していない様子でしたので、ご依頼を受けて、講演会の数日後には調査に伺い、寿々木家の皆さんとはじめてお会いしました。

自然と人がお父さん、お母さんのまわりに集まる

調査に伺うと、お店を畳んで数ヶ月が経っていましたが、建物の中はお蕎麦屋さんだったころの客席や厨房、調理道具やお皿の数々、テーブルの上には薬味やメニュー表がそのままの形で残っていました。

残置物が残っていると調査ができなかったため、数ヶ月にわたり残置物を撤去してもらってはコンクリートの劣化の調査を進めました。残置物の中にはまだまだ使える新品未使用のお皿やどんぶり、調理器具が沢山残っており、お金を払って片付業者に依頼するのはもったいない状況でした。

寿々木家のシャッターを開けてもらい、お父さん、お母さん、ご家族様と一緒に、地域の方に自由にお持ち帰りいただけるフリーのガレージセールをビルの店先で行うことにしました。

寿々木家は急にお店を畳んだこともあり、久しぶりに開いたシャッターに、常連さんからは、
「どうして畳んだの?」
「心配していましたよ。」
「これからどうするの?」


という声があちこちで聞こえ、皆さん、お店を畳んだ経緯やこれからの寿々木家ビルの話しを真剣に聞いています。

常連さんも寿々木家のご家族もお互い、「ちゃんと挨拶ができてよかった。」と言っているそのやりとりが、今でも私の心に残っています。
気がつけば、寿々木家ビルの前は人だかりになっていました。

「どんなビルになって欲しい?」
「どんなお店があるといい?」


とお母さんの質問に対し、寿々木家ビルの未来像を皆さん自由に書いていました。
街行く人の思いを寄せる姿に、改めて、地域の方々に本当に愛されていたお蕎麦屋さんだったんだなと感じることができました。

空っぽのビルに、水のような、お蕎麦のような長い生き物「JUJU」を宿す

お父さんとお母さんは、最初の頃の打合せから、1階はお粥専門店や和食が入って欲しい、自分たち高齢者でも気軽に利用できる場所が欲しい、下高井戸に会議室やホールが少ないから、上階には、多目的に使える場所があったらいいな、といった具体的なイメージを持っていました。

1階のテナントを1テナントの大きな区画にするか、あるいは、敷地内に細い通路を作って2坪程度の小さなテナントを何店舗か作るかを検討した時には、真夏に、ご高齢にも関わらず、参考となりそうな都内の建物を一緒に見て回り、下高井戸ではこんなお店が入りそうとか、こういうお店だと使ってくれそうといったイメージを持ちながら、寿々木家ビルの再生計画を進めていきました。

それでも新築の商業ビルではないですし、元々3,4階は住宅だった場所をお店に改修しようとしています。わざわざ3,4階のお店に行きたいという理由がなければ誰もいかないでしょう。EVもなければ、道路から直接見ることができない3、4階のお店は気がついてもらえません。

「寿々木家の店内やシャッターに下高井戸の祭りや、音楽祭のポスターをペタペタ貼っていた。」

「街の掲示板のような賑やかな廊下や階段室にしたい」

「新しくなる建物の名前はJUJUはどう?寿々木家の寿々からとって!」

打合せの中でのお父さん、お母さんとの会話を思い出しました。

空っぽになったスケルトンビルに、水のような、蕎麦のような、長い一本の道を通すというアイデアがチームの中に湧いてきました。

歩いていたら、映画祭のレッドカーペットのような特別な床に歓迎され、建物にふらっと入ってみる。
招かれるように屋上まで上がったり、下りたりするなかで、気になったお店に入ってみる。商店街のような雰囲気が店先から屋上までつながっていくビルにできないだろうか。
それは、空っぽになるビルに、水のような、お蕎麦のような長い生き物が新しい生命体「JUJU」として宿るイメージが湧いた瞬間でした。

JUJU(寿々)が目指すもの

下高井戸のみならず、行きつけの定食屋や居酒屋、カフェなどの飲食店やパン屋、ケーキ屋、本屋、レコード屋など物販店を思い出してみると、店先のガラスや壁に貼られたポスター、掲示物が賑やかで、店内の客席やトイレの中まで掲示物で賑やかな印象があります。

寿々木家ビルの再生では、イラストレーターの田渕正敏さんとグラフィックデザイナーの松田洋和さんによる「へきち」による壁の模様や床のペイントが共用部を楽しく演出してくれます。
ビルの店先から屋上まで延びている一つの長いイラストレーションでもあり、これから入店するテナントのための下絵にもなっています。

新しく入店したテナントは、このマス目に沿ってお店のポスターやメニュー表などの掲示物をペタペタ貼ることができます。
フロアごとにテナントの個性が強くでると良いですし、下高井戸商店街のポスターが沢山貼られた街の掲示板に生まれ変わることも期待しています。

現在進行系中の京王線の連続立体交差事業により、下高井戸駅の駅舎が新しく整備されると、駅のホームから、あるいは、電車の車窓から屋上のイラストレーションがよく見えるようになるだろうと予想しています。
下高井戸駅に降りたことがなかった人もこのイラストレーションをきっかけに下高井戸に降りて街歩きをしてもらえるといいなと思います。


JUJU(寿々)の名前には、永く継づく、という意味や、循環、という意味も込められています。

築54年のお蕎麦屋さんのビルを再生し、「これからも地域の方々が立ち寄りやすく、愛され続ける場をつくりたい」

お父さん、お母さんからのバトンは下高井戸を盛り上げてくれる方々に渡されようとしています。

寿々木家ビルが人と街を継なぐだけなく、次の世代へと引き継がれるビルになるように。

その願いが、JUJUの原点でもあり、目指すところでもあります。


山野井靖建築事務所 山野井靖


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