本と舍の屋根の修繕費用を、クラウドファンディングでご支援いただきたいと思っています。
本と舍は入場料も利用料も不要な、無料のシェア文庫です。日常の維持管理は皆さんからいただく募金で賄っていますが、屋根の修繕のような大きな費用は、それだけでは賄いきれません。建物を守るためのこの工事に、どうかお力を貸してください。
詳しくは、以下をお読みいただけますと幸いです。
はじめまして、こんにちは。あるいはまたお会いできて嬉しい、こんにちは。
島根県温泉津にて、シェア文庫「本と舍(ほんとあらか)」を営む、西田優花です。
令和8年2月 本と舍にて(撮影:戸倉幹雄)
このページを訪ねてくださったみなさまに、まず心からお礼を申し上げます。
令和7年6月。本と舍は、無事にひらきました。あの日のことを、今でも鮮明に覚えています。
静かな縁側に、初めての来訪者が腰を下ろして本を開いた瞬間のこと。遠く東京から旅をしてきた若い人が、棚の本を一冊手に取って「これ、宿に持ち帰っていいですか」と聞いてくれたこと。
縁側に腰掛け本を片手に語らうふたり(撮影:戸倉幹雄)そして、近所に暮らす一人暮らしのおばあちゃんが、ある日そっと教えてくれた言葉のこと。
「ここにあかりがついて、人が来てくれるのが、すごく嬉しいんよ」
長くこの町に暮らしてきたおばあちゃんの目には、少しずつ明かりが消えていく景色が映り続けてきたはずです。
夜になれば灯りのともらない家が増え、かつてにぎわいのあった場所が静かに暗くなっていく——それは日常の中でじわじわと積み重なってきた、さみしさのようなものだったのかもしれません。
だから本と舍の窓から漏れる光が、その方にとって特別な意味を持つようになったと聞きました。
朝、外に出たときにあかりがついていれば、今日も一日が始まった、という合図。
夕方、自宅へ戻るときに誰かの気配を感じれば、ひとりではないという安心感。
本と舍が「本を借りる場所」である以前に、誰かの日常の灯りになっていたのだと知ったとき、この場所をつくってよかったと、心の底から思いました。
台帳をめくると、温泉津の住民の方、大田市・出雲市・浜田市から足を運んでくださった方、そして日本全国から温泉津へやってきた旅人の方々のお名前が並んでいます。
全国から来た色んな方が楽しんで下っています
本と人がめぐりあう家をつくりたい、という最初の願いは、着実に、温泉津の日常の一部になりはじめています。
それが何より嬉しく、そして、今回また皆さんにお声がけするための勇気になっています。
本と舍の建物は、明治時代に建てられたものです。
北前船の寄港地として賑わったこの時代、温泉津には廻船問屋や商家が軒を連ね、港町として大きな繁栄を誇っていました。重要伝統的建造物群保存地区の対象物件として、歴史の風雪を受け止めながら、人々の暮らしを見守り続けてきた建物です。
柱の傷に、壁の染みに、板張りの床の軋みに。ここに住んできた人たちの暮らしの気配が、静かに滲み出ているような建物です。
昨年の改修では、そうした情緒の部分をできる限り残しながら、本と舍として蘇らせることができました。しかし、ひとつ、手が届かなかった箇所がありました。
屋根、です。
よく見ると棟の部分が波打っています(撮影:戸倉幹雄)
雨漏りは、開業したころから、じわじわと始まっていました。
最初は「染みができているな」という程度のことでした。しかし月日が経つにつれ、雨のたびに気になる箇所が増え、今ではもう、補修が必要な段階にきています。
雨漏りは、家にとって最も深刻な老朽化現象のひとつです。
マグカップでなんとかカバーできぬかと試みた様子
最初はほんの小さな染み。しかし水は、知らないうちに壁の内部へ、梁へ、柱へと浸透していきます。木材が水を含み続けると腐朽菌が繁殖し、構造材そのものが内側から朽ちていく。
それは外からは見えない、静かな崩壊です。
時間をおいて様子を見に来たら別のところが雨漏りしていた時の衝撃たるや…
さらに、湿気はシロアリを呼び込みます。シロアリは木造建築にとって致命的な存在で、一度棲みつかれると柱や土台を短期間で食い荒らし、建物全体の耐震性を著しく低下させます。古い建物ほど、その影響は甚大です。
放置すれば、補修の費用は今の何倍にも膨らむ。最悪の場合、建物の存続そのものが危ぶまれる。雨漏りとはそういうものです。
「形あるもの、いずれ滅びる」——これは私の祖父が口癖のように言っていた言葉です。
それは真実だと思います。でも、皆さんのお力を借りて生まれたこの場所を、なるだけ長く、なるだけ多くの人の「めぐりあいの場所」として守り続けたい。
そのために、今動けるうちに動かなければと思っています。
本と舍は、無料で誰でも利用できる施設です。
温泉津在住の選書家や棚主さまの本が並ぶ(撮影:戸倉幹雄)
入場料も、利用料も、ありません。本をこの場で読み、借りるだけなら、お金はかかりません。
それは意図的な選択でした。人口1000人に満たないこの温泉津という町で、誰もが気兼ねなく立ち寄れる場所であること。
住民の方が日常のなかでふらっと寄れること。
旅人がこの町に少し長く留まるきっかけになること。
そういう「開かれた場」であることに、この施設の意味があると思っているからです。
一方で、場所がある限り、維持管理の費用は出ていきます。電気代、水道代、清掃、細かな修繕。
本と舍はこれを、皆さんからいただく日々の募金によって賄っています。
来てくださった方々が、帰り際に小箱へそっと入れてくださるお気持ちが、この場所の日常を支えてくれています。
しかし今回のような、屋根の修繕という大きな費用は、話が別です。収益事業のない本と舍が自前で捻出するには、募金だけではどうしても限界があります。かといって、利用料を設ければ、この場所が「開かれた場」でなくなってしまう。
だから、クラウドファンディングという形でお願いすることにしました。
皆さんが自由に使えるこの場所を、これからも皆さんのものとして続けていくために。
テーブルのところにまで雨漏りが生じ、おいていた本が濡れ破損してしまった
本と舍は重要伝統的建造物群保存地区の対象物件であるため、修繕に関わる費用の8割については文化財保存に関連する補助金を活用することができます。残る2割の自己負担分に加え、リターンの仕入れやチラシ制作、プラットフォームの手数料を合わせた金額を、今回のクラウドファンディングで調達させていただきたいと考えています。
今回のクラウドファンディングの目標金額は2,000,000円です。
資金の使い道は以下の通りです。
屋根修繕費(補助金対象外の自己負担分)
リターン準備費用
チラシデザイン・印刷費用
諸経費
プラットフォーム利用手数料(17%+税)
工事は雨季には着工できないため、梅雨明け後に着工し、8月から約1ヵ月半をかけて修繕を行う予定です。
前回のクラウドファンディングでは、239名の方々からご支援をいただきました。目標の200万円を大きく超え、325万円ものご支援をいただいたこと、今でも信じられない気持ちがあります。
あのとき、皆さんが届けてくださった言葉や想いが、本と舍というこの場所に確かに宿っています。
今回は「建てる」ではなく「守る」ためのお願いです。 華やかな船出ではなく、地道で、でも欠かせない、建物の命をつなぐための一歩です。
本と舍に足を運んでくださった方も、まだ訪れたことのない方も。温泉津という場所に少しでも関心を持ってくださっている方であれば、ぜひともこのページをご覧いただけたら嬉しいです。
本は、人は、すべてはめぐりめぐる。そしてめぐりあう。
この場所が、これからも誰かの「めぐりあいの場所」でありつづけられるよう。 皆さまの温かいご支援を、どうかよろしくお願い申し上げます。
梅雨明け後(7月下旬〜8月上旬):着工
8月〜9月中旬:屋根修繕工事(約1ヵ月半)
工事完了次第:本と舍 通常営業再開
温泉津の初夏は、静かです。
タオルを肩にかけた人々が、石州瓦の埋め込まれた道をゆっくりと歩いていく。
下駄の音が、古い家並みにやわらかく響く。
長い湯治の歴史が今もなお、この町の日常の風景として生きています。
そんな町の一角に、本と舍はあります。 縁側から見える、変わらない屋根並み。
その屋根の下に、本がある。本がめぐる。人がめぐりあう。
そんな光景を、もうしばらく続けさせてください。
西田優花














コメント
もっと見る