はじめに、熊本県の地震で被災されたすべての皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。一日も早く、安心して眠れる夜が戻りますように。島根から祈っています。
こうした中で報告を綴ることにためらいもありますが、ご支援くださった皆さまへの務めとして書かせていただきます。
ネクストゴールを達成しました。200名近くの方が、此度お力をお貸しくださいました。心より感謝申し上げます。
自分が生まれるよりもずっと昔から、この地で暮らし、思いをつなぎ続けてこられた方々がおられ、今私はそこに住まわせていただいています。移住して4年、今もなおこの地の歴史や文化を新たに知り、学びを更新している日々です。
温泉地の民俗をたどると、長期滞在する湯治客(よそもの)は、その土地に新たな風を吹き込む存在だったとも言われます。そして住み着いてしまったよそものは、そこに惚れ、溶け込むことを目指したのだろうと思います。
皆様から頂戴した応援の気持ちをしっかり背負い、最後まで屋根の修繕、そしてこの場所の維持存続に向けて努めて参りたいと思います。
本当にありがとうございました。
ネクストゴール222万円に挑戦します
たくさんのあたたかいご支援をいただき、目標金額200万円を達成することができました。
屋根の修繕に、確かな道筋がつきました。
ご支援くださった皆さま、想いを寄せてくださったすべての皆さまに、心より御礼申し上げます。
そして、残りの期間、ネクストゴールとして222万円に挑戦いたします。
じつは開設から今日までのあいだに、本と舍の蔵書は当初よりずいぶん増えました。
ネクストゴールでお預かりするご支援は、屋根の下の「本の居場所」を整えるために使わせていただきます。
・ブックスタンド・エンドの追加製作(大田市・篠原メタル工房さんにお願いする予定です)
・少し暗い奥の間を照らすスタンドライトの設置
・建物と敷地を日々保つための維持管理、次の傷みに備える修繕積立
屋根が建物の灯りを守り、その下で、本を照らす小さな灯りをともす。
そんな循環を、皆さまと一緒につくれたらと思っています。
終了まで残りわずかですが、最後までどうぞよろしくお願いいたします。

本と舍の屋根の修繕費用を、クラウドファンディングでご支援いただきたいと思っています。
本と舍は入場料も利用料も不要な、無料のシェア文庫です。日常の維持管理は皆さんからいただく募金で賄っていますが、屋根の修繕のような大きな費用は、それだけでは賄いきれません。建物を守るためのこの工事に、どうかお力を貸してください。
詳しくは、以下をお読みいただけますと幸いです。
はじめまして、こんにちは。あるいはまたお会いできて嬉しい、こんにちは。
島根県温泉津にて、シェア文庫「本と舍(ほんとあらか)」を営む、西田優花です。
令和8年2月 本と舍にて(撮影:戸倉幹雄)
このページを訪ねてくださったみなさまに、まず心からお礼を申し上げます。
令和7年6月。本と舍は、無事にひらきました。あの日のことを、今でも鮮明に覚えています。
静かな縁側に、初めての来訪者が腰を下ろして本を開いた瞬間のこと。遠く東京から旅をしてきた若い人が、棚の本を一冊手に取って「これ、宿に持ち帰っていいですか」と聞いてくれたこと。
縁側に腰掛け本を片手に語らうふたり(撮影:戸倉幹雄)そして、近所に暮らす一人暮らしのおばあちゃんが、ある日そっと教えてくれた言葉のこと。
「ここにあかりがついて、人が来てくれるのが、すごく嬉しいんよ」
長くこの町に暮らしてきたおばあちゃんの目には、少しずつ明かりが消えていく景色が映り続けてきたはずです。
夜になれば灯りのともらない家が増え、かつてにぎわいのあった場所が静かに暗くなっていく——それは日常の中でじわじわと積み重なってきた、さみしさのようなものだったのかもしれません。
だから本と舍の窓から漏れる光が、その方にとって特別な意味を持つようになったと聞きました。
朝、外に出たときにあかりがついていれば、今日も一日が始まった、という合図。
夕方、自宅へ戻るときに誰かの気配を感じれば、ひとりではないという安心感。
本と舍が「本を借りる場所」である以前に、誰かの日常の灯りになっていたのだと知ったとき、この場所をつくってよかったと、心の底から思いました。
台帳をめくると、温泉津の住民の方、大田市・出雲市・浜田市から足を運んでくださった方、そして日本全国から温泉津へやってきた旅人の方々のお名前が並んでいます。
全国から来た色んな方が楽しんで下っています
本と人がめぐりあう家をつくりたい、という最初の願いは、着実に、温泉津の日常の一部になりはじめています。
それが何より嬉しく、そして、今回また皆さんにお声がけするための勇気になっています。
本と舍の建物は、明治時代に建てられたものです。
北前船の寄港地として賑わったこの時代、温泉津には廻船問屋や商家が軒を連ね、港町として大きな繁栄を誇っていました。重要伝統的建造物群保存地区の対象物件として、歴史の風雪を受け止めながら、人々の暮らしを見守り続けてきた建物です。
柱の傷に、壁の染みに、板張りの床の軋みに。ここに住んできた人たちの暮らしの気配が、静かに滲み出ているような建物です。
昨年の改修では、そうした情緒の部分をできる限り残しながら、本と舍として蘇らせることができました。しかし、ひとつ、手が届かなかった箇所がありました。
屋根、です。
よく見ると棟の部分が波打っています(撮影:戸倉幹雄)
雨漏りは、開業したころから、じわじわと始まっていました。
最初は「染みができているな」という程度のことでした。しかし月日が経つにつれ、雨のたびに気になる箇所が増え、今ではもう、補修が必要な段階にきています。
雨漏りは、家にとって最も深刻な老朽化現象のひとつです。
マグカップでなんとかカバーできぬかと試みた様子
最初はほんの小さな染み。しかし水は、知らないうちに壁の内部へ、梁へ、柱へと浸透していきます。木材が水を含み続けると腐朽菌が繁殖し、構造材そのものが内側から朽ちていく。
それは外からは見えない、静かな崩壊です。
時間をおいて様子を見に来たら別のところが雨漏りしていた時の衝撃たるや…
さらに、湿気はシロアリを呼び込みます。シロアリは木造建築にとって致命的な存在で、一度棲みつかれると柱や土台を短期間で食い荒らし、建物全体の耐震性を著しく低下させます。古い建物ほど、その影響は甚大です。
放置すれば、補修の費用は今の何倍にも膨らむ。最悪の場合、建物の存続そのものが危ぶまれる。雨漏りとはそういうものです。
「形あるもの、いずれ滅びる」——これは私の祖父が口癖のように言っていた言葉です。
それは真実だと思います。でも、皆さんのお力を借りて生まれたこの場所を、なるだけ長く、なるだけ多くの人の「めぐりあいの場所」として守り続けたい。
そのために、今動けるうちに動かなければと思っています。
本と舍は、無料で誰でも利用できる施設です。
温泉津在住の選書家や棚主さまの本が並ぶ(撮影:戸倉幹雄)
入場料も、利用料も、ありません。本をこの場で読み、借りるだけなら、お金はかかりません。
それは意図的な選択でした。人口1000人に満たないこの温泉津という町で、誰もが気兼ねなく立ち寄れる場所であること。
住民の方が日常のなかでふらっと寄れること。
旅人がこの町に少し長く留まるきっかけになること。
そういう「開かれた場」であることに、この施設の意味があると思っているからです。
一方で、場所がある限り、維持管理の費用は出ていきます。電気代、水道代、清掃、細かな修繕。
本と舍はこれを、皆さんからいただく日々の募金によって賄っています。
来てくださった方々が、帰り際に小箱へそっと入れてくださるお気持ちが、この場所の日常を支えてくれています。
しかし今回のような、屋根の修繕という大きな費用は、話が別です。収益事業のない本と舍が自前で捻出するには、募金だけではどうしても限界があります。かといって、利用料を設ければ、この場所が「開かれた場」でなくなってしまう。
だから、クラウドファンディングという形でお願いすることにしました。
皆さんが自由に使えるこの場所を、これからも皆さんのものとして続けていくために。
テーブルのところにまで雨漏りが生じ、おいていた本が濡れ破損してしまった
本と舍は重要伝統的建造物群保存地区の対象物件であるため、修繕に関わる費用の8割については文化財保存に関連する補助金を活用することができます。残る2割の自己負担分に加え、リターンの仕入れやチラシ制作、プラットフォームの手数料を合わせた金額を、今回のクラウドファンディングで調達させていただきたいと考えています。
今回のクラウドファンディングの目標金額は2,000,000円です。
資金の使い道は以下の通りです。
屋根修繕費(補助金対象外の自己負担分)
リターン準備費用
チラシデザイン・印刷費用
諸経費
プラットフォーム利用手数料(17%+税)
工事は雨季には着工できないため、梅雨明け後に着工し、8月から約1ヵ月半をかけて修繕を行う予定です。
前回のクラウドファンディングでは、239名の方々からご支援をいただきました。目標の200万円を大きく超え、325万円ものご支援をいただいたこと、今でも信じられない気持ちがあります。
あのとき、皆さんが届けてくださった言葉や想いが、本と舍というこの場所に確かに宿っています。
今回は「建てる」ではなく「守る」ためのお願いです。 華やかな船出ではなく、地道で、でも欠かせない、建物の命をつなぐための一歩です。
本と舍に足を運んでくださった方も、まだ訪れたことのない方も。温泉津という場所に少しでも関心を持ってくださっている方であれば、ぜひともこのページをご覧いただけたら嬉しいです。
本は、人は、すべてはめぐりめぐる。そしてめぐりあう。
この場所が、これからも誰かの「めぐりあいの場所」でありつづけられるよう。 皆さまの温かいご支援を、どうかよろしくお願い申し上げます。
梅雨明け後(7月下旬〜8月上旬):着工
8月〜9月中旬:屋根修繕工事(約1ヵ月半)
工事完了次第:本と舍 通常営業再開
温泉津の初夏は、静かです。
タオルを肩にかけた人々が、石州瓦の埋め込まれた道をゆっくりと歩いていく。
下駄の音が、古い家並みにやわらかく響く。
長い湯治の歴史が今もなお、この町の日常の風景として生きています。
そんな町の一角に、本と舍はあります。 縁側から見える、変わらない屋根並み。
その屋根の下に、本がある。本がめぐる。人がめぐりあう。
そんな光景を、もうしばらく続けさせてください。
西田優花
最新の活動報告
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クラウドファンディングが終了しました。心より御礼申し上げます
2026/07/31 00:30本と舍 西田優花です。2026年7月30日(木)23時59分をもって、「明治の町家の灯りを守りたい――温泉津シェア文庫『本と舍』屋根修繕プロジェクト」の募集を終了いたしました。当初の目標200万円、そしてネクストゴール222万円をどちらも上回るご支援をいただき、無事に走り切ることができました。ご支援くださった皆さま、SNSで広めてくださった皆さま、お気に入り登録で見守ってくださった皆さま、そして応援の言葉を寄せてくださった皆さま。本当に、本当にありがとうございました。この2ヶ月のこと6月1日の朝10時、公開ボタンを押したときは、どれだけの方に届くだろうかと不安でいっぱいでした。その不安は、初日のうちに溶けていきました。台帳をめくるように支援者の欄を眺めながら、知っている名前を見つけて驚いたり、知らない名前の向こうにいる誰かを想像したり。「まだ行ったことがないけれど」と前置きして支援してくださる方がいたこと。「また行きます」と書き添えてくださる方がいたこと。ひとつひとつの言葉を、何度も読み返しました。途中では、雨漏りが9カ所に増えていることをお伝えしたり、屋根を託す中島工務店さんのお話や、いただいたお手紙のこと、皆さまからのコメントのご紹介など、折々に報告を重ねてきました。書きながら、この場所がどれほど多くの人の手と気持ちで成り立っているかを、改めて確かめる時間になりました。いただいたお手紙は自デスク前にいつも貼って時折眺めますそして募集の最終盤には、屋根の工事が始まりました。瓦を下ろし、土を下ろし、新しい木の板が打たれていく。皆さまのご支援が、目に見えるかたちになっていく日々でした。これから屋根の修繕工事は、8月から約1ヵ月半をかけて進めていきます。防水シートを敷き、桟を打ち、瓦を葺き直す工程へと進んでいきます。工事の様子は、引き続き活動報告でお伝えしていきます。リターンについては、準備が整い次第、順次発送の手配を進めてまいります。お手元に届くまで少しお時間をいただくものもございますが、ひとつひとつ丁寧にお届けいたしますので、どうぞお待ちいただけますと幸いです。ネクストゴール分のご支援は、篠原メタル工房さんによるブックスタンド・エンドの追加製作に充てさせていただきます。増えた本たちの居場所を、しっかり整えていきます。篠原メタル工房製のブックスタンドとブックエンドたち最後にこのクラウドファンディングを通して感じたのは、本と舍がもう「私の場所」ではなくなっていた、ということでした。町の方の日常の灯りであり、旅人が腰を下ろす縁側であり、遠くから見守ってくださる方の心の片隅にある場所。たくさんの「と」で結ばれた、皆さんの場所です。私はこの場所を、「文化コモンズ」——文化的な共有地だと考えています。誰かの本が誰かの手に渡っていく、共有された蔵書。その本を収める、明治から受け継がれてきた共有の器としての町家。そしてその建物に染み込んだ、この町で暮らしてきた人たちの記憶。三つの層が重なって、所有ではなく共有として成り立っている場所。だからこそ、無料であることに意味があるのだと思っています。これから先、資本主義的な合理性だけでは立ち行かない世の中が来るのではないか、と私は感じています。ましてやこのような田舎であれば、なおのことです。人口が減り、市場としての規模が小さくなっていく町では、「採算が合うか」という問いだけで測れば、遺せるものはどんどん少なくなっていきます。けれど、そのときにこそ際立つものがあるはずです。効率や採算とは別のところに置かれた「余白に生きる思想」。誰のものでもないから誰でも入れる場所、何かを買わなくても居ていい時間。そういう余白が、人の支えになる日が来るのではないかと思うのです。小さな温泉街に文化コモンズがあることで、生まれるものがあります。町の人が気兼ねなく顔を合わせる機会。旅人が滞在をひと時間伸ばして、地元の人と言葉を交わす偶然。そして何より、「こういう暮らしの選び方もある」と、若い人や次に来る誰かが知る入口になること。数字には表れにくいものばかりです。けれど、この町の輪郭を保つのは、たぶんそういうものたちだと思っています。その屋根を、これから直します。直したあとも、守り続けます。工事が終わったら、どうぞ見に来てください。新しい屋根の下で、また本と人がめぐりあう景色を、皆さまとご一緒できることを楽しみにしています。改めて、心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました。西田優花 もっと見る
本日23時59分まで。ネクストゴール達成の御礼と、いま思うこと
2026/07/30 09:22本と舍 西田優花です。熊本県で観測された最大震度7の大きな地震。今も続いています。亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災されたすべての皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。今この瞬間も救助活動が続き、避難生活を余儀なくされている方が大勢いらっしゃいます。強い揺れはしばらく続くおそれがあるとも報じられています。どうかご無事で。一日も早く、安心して眠れる夜が戻りますように。島根の小さな町から、祈っています。古い建物を直すことに向き合ってきたこの2ヶ月だからこそ、住まいを失うことの重さを、人ごととは思えません。こんなときに、と思いながらも正直に申し上げると、このような状況の中でクラウドファンディングの報告を綴ることに、ためらいがあります。それでも、190名を超える皆さまからお預かりしたご支援に対して、きちんと報告をお届けすることもまた、私の果たすべき務めだと考え、筆を執ることにしました。どうかご理解いただけたら幸いです。ネクストゴール、達成しました昨日、ネクストゴールの2,220,000円を達成しました。現在、支援総額は2,234,500円、達成率111%。支援者は199名となりました。最初の目標200万円を超え、さらにその先のゴールまで。正直、ここまで来られるとは思っていませんでした。ご支援くださった方、SNSで広めてくださった方、あたたかい言葉を寄せてくださった方。すべての皆さまのお力です。本当に、本当にありがとうございます。ネクストゴールのご支援は、篠原メタル工房さんによるブックスタンド・エンドの追加製作に充てさせていただきます。屋根が建物を守り、その下で、増えた本たちの居場所が整っていく。皆さまのご支援が、この場所に幾重にも積み重なっていきます。本日23時59分、募集終了です2ヶ月にわたったこの挑戦も、いよいよ今日が最終日。本日23時59分をもって、募集は終了となります。屋根は、土を下ろし終えました工事の進捗もお伝えさせてください。昨日の時点で、土葺きだった土をすべて下ろし終え、新しく木の板が打たれました。外から見ると、赤茶けた瓦屋根の一角に、真新しい白木の面がぱっと現れていて、なんだか不思議な光景です。ここから防水シートを敷き、桟(さん)を打ち、いよいよ瓦が葺かれていきます。突然現れる真新しい木材そして——屋根の上には、それはもう、たくさんの土が載っていたわけです。その土を下ろしていくと、当然ながら室内には土がぽろぽろと落ちてきます。今、建物の中は埃と土まみれ。養生のビニールを何重にもかけた室内に光が差し込んで、埃が舞っているのが見えるほどです。梁などを現しにしているので余計に落ちてくるなかなか普段は見られない光景なので、ぜひ皆さまにも見ていただきたくて、内部の写真も撮らせていただきました。明治の町家が、その身体の内側を見せてくれているような。工務店さんがしてくれださるとはいえ、掃除のことを思うと少し気が遠くなりますが、それも含めて記録に残しておきたい景色です。屋根の修繕工事は、すでに始まっています。瓦を一枚ずつ下ろしながら、この建物が何度も直されながら守られてきたことを、日々実感しています。その営みに、今度は皆さまと一緒に連なれること。それがこのクラウドファンディングの、何よりの成果だと感じています。最後の1日まで、感謝の気持ちとともに走り抜きます。そして改めて——被災地の一日も早い復旧を、心から祈りながら。西田優花 もっと見る
屋根修繕、始まりました。瓦を一枚ずつ、下ろしています
2026/07/29 08:31本と舍 西田優花です。クラウドファンディングは今朝の時点で、支援総額2,168,500円。ネクストゴール222万円も達成率108%と、目標を超えるご支援をいただいています。支援者は190名になりました。募集終了まで、残り1日です。ここまで支えてくださった皆さまに、心から御礼申し上げます。そして——昨日、いよいよ屋根の修繕工事がスタートしました。足場を組み、周囲の養生をして、まずは今の瓦を下ろすところから。職人さんたちが屋根に上がり、一枚ずつ、丁寧に瓦を外していきます。土葺きの屋根、ということこの建物の屋根は、今では珍しい「土葺き(つちぶき)」です。瓦の下に土を敷いて葺く、昔ながらの工法。そのため、瓦を下ろしたあとは、その下の土を下ろす作業へと進んでいきます。下ろした瓦を間近で見ると、これまでの歳月が刻まれていました。左のもこもこはウレタン、その右隣は漆喰瓦と瓦が漆喰で固められ、つなぎ合わされていたり、ウレタンフォームで固着された跡があったり。おそらく、これまでも何度も雨漏りが起きて、そのたびに誰かが手を尽くして直してきたのだと思います。この屋根は、ずっと守られながら、ここまで来たのですね。一枚一枚が、個性的ですそして、瓦そのものをじっくり見てみると——少しいびつだったり、歪んでいたり。釉薬の色にもそれぞれ違いがあって、なんとも個性的です。重ねても完璧に噛み合わないのは手作りだからかつて温泉津では、瓦をつくる窯業者さんが数多くあり、一大産業だったそうです。石州瓦(せきしゅうがわら)は、三州瓦・淡路瓦と並ぶ日本三大瓦のひとつ。出雲の来待石(きまちいし)を釉薬にした、赤みを帯びた独特の色は「来待色(きまちいろ)」と呼ばれています。この地方の家々の多くが、この来待色の屋根をしています。旅先から戻ってくるとき、車窓にこの色の屋根並みが見えてくると、「ああ、島根に帰ってきたんだなぁ」と、毎回しみじみしてしまうほど。私にとっては、帰る場所の色です。その色の屋根を、いま、直しています。皆さんのご支援が、かたちになっていきます8月から約1ヵ月半をかけて、修繕を進めていきます。工事の様子は、これからも折々にご報告させていただきますね。このプロジェクトを支えてくださった皆さんお一人おひとりのおかげで、今日この日を迎えることができました。改めて、心から御礼申し上げます。西田優花 もっと見る













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