2018/11/13 18:52

イスパニカの本橋です。


第1章の動画公開から、間もなく2ヶ月。おかげさまで、「Good」ボタンやチャンネル登録をしてくださる方もいて、とてもうれしく思っています。

第1章の動画はこちら→https://youtu.be/DHqOZwZIvdE


この動画シリーズは、『シャドウイングで学ぶスペイン語短文会話500』という書籍をもとにしています。この書籍の著者である阿由葉恵利子先生からメッセージをいただきました。


スペイン語のトップ通訳者として、現在ではスペイン語圏の各国の大使館の方とお話するときに必ずお名前の挙がる阿由葉先生ですが、そんな先生も大学生のときには会話で苦労されていたというエピソード。この教材の活用の仕方についてもお書きいただいています。ぜひ最後までお読みください。


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頭の中でスペイン語を作文してからでないと話せない!

私が初めてスペイン語圏の国(メキシコ)に行ったのは大学4年生の時でした。既に3年間スペイン語を勉強していたのですが、最初はホームステイ先の家族やクラスメートのスペイン語がなかなか、というか、ほぼ分かりませんでした。何度か繰り返してもらって理解しても、いざ自分から話そうとすると今度はスペイン語がなかなか出てきません。頭の中で一度スペイン語の文を作って、やっと話し出そうとすると、時すでに遅し、話題が変わってしまっている、ということばかりでした。でも、とにかく何度も何度も、会話を繰り返しているうちに、頭の中で作文しなくても言いたいことが口から出るようになっていました。


○頭と口の間に壁がある?

現在担当しているスペイン語の授業でも、文法を一通り学習して動詞の活用もきちんと覚えている学生が自分の思いをスペイン語で伝えるのに苦労しているのをよく見かけます。外国語を一通り勉強しても、自分の言いたいことが口から出てこないもどかしさは多くの方が体験しているのではないでしょうか。学習して頭の中に蓄積された知識と、それが生命を持って口をついて出てくるまでの間には、見えない壁があるかのようです。


○スペイン語の知識に生命を

その壁を突破する一助になればと思い執筆したのが「シャドウイングで学ぶスペイン語短文会話500」です。繰り返し声を出して練習することは、頭の中に蓄積されている知識を「活かす」ことにつながります。習得した知識に活力を与え、使える道具としても活用しましょう。またシャドウイングは、聞く力を養うとともに、ネイティブの発音やイントネーションを身につけるのに役立ちます。


○練習は、声を出して、状況をイメージして

練習をする時、できるだけ普段話すときと同じ音量の声を出してください。スポーツの練習ではよく素振りを行いますが、素振りは実際と同じ大きな動作で、力をこめて行います。スペイン語でも素振りと同じように、力をこめてはっきりと大きな声に出す練習は効果的です。また、是非情景をイメージして自分の感情を込めて声を出してみてください。そうすることで伝えたい概念とスペイン語が直結してきます。


○会話を楽しむ

スペイン語圏の人々は概ね話すことが好きだと言われています。様々な話題についておしゃべりが続き、笑いに満ちた会話になることがしばしばです。機知に富んだ切り返しや秀逸な冗談に感服することも少なくありません。会話で相手の話が自分の気持ちを明るくしてくれます。自分の話で相手の気持ちを明るくすることもできるかもしれません。スペイン語というツールを活用して是非会話を楽しんでください。


(2018年11月13日公開)