東日本大震災を経験し、熊本に引っ越してきて3年。再び震災に見舞われてしまいました。前回は恐怖でしかなかったのですが、今回の熊本地震では、たくさんの学びがありました。
東日本大震災後、夫を東京に残して、息子(当時5歳と0歳)との3人暮らしが始まりました。その夫とも去年離婚して、完全に母子家庭になりました。熊本地震前から体調を崩していて、そこへの突然の地震。揺れは怖くても、熟睡する子供2人(現在8歳と3歳)を抱えて逃げる体力がありませんでした。地震の恐怖よりも「私一人で二人の子供を守れるのか」というプレッシャーのほうが大きく、一人でいるのが怖くて仕方ありませんでした。
本震の翌日には、三角エコビレッジサイハテに避難しました。サイハテの住人と、避難してきた人たちとで、共同生活が始まりました。赤ちゃんから、上は63歳。お母さんたちで持ち回りで食事を作り、子供と大人でワイワイご飯を食べました。夜は大広間でみんなで寝むりました。昼間は大人は忙しく、こども達は自分たちで工夫して遊びをみつけていました。
こども達はたくましく、いろんな遊びをしていましたが、中でも楽しそうで目をひいたのが「お店やさん」遊び。エコビレッッジ特産の柑橘のB品を利用して、生絞りの「ジュース屋さん」が始まり、そのうち柑橘をジュース屋さんに卸すお店が出来たり、運び屋さん、赤ちゃんあずかり屋さん、絵本よみきかせ屋さん、お花屋さん、草屋さん。。。他の子も次々に真似をして、いろんなお店が出来ました。たいへんリーズナブルだったので、たくさん利用させて頂きました。自分たちで働いたお金を手にして、子供達は目をキラキラさせていました。しかもなかなか責任感のあるしっかりしたお店やさんばかりでした。
大人が何かヒントを与えたわけではなく、こども達自身がみつけた『遊び』には、大人達の想像を超えたクリエイティブさと小さな社会がありました。退屈な避難生活だからこそ、想像力が発揮された面もあったでしょうし、いろんな素材がまわりに存在していた事もアイディアに繋がったのでしょう。
普段の忙しい生活の中ではなかなか時間をかけられないこどもへのサポートも、例えばお料理だとかお菓子作りや物作りなども、避難生活という特殊な時間の中でなら、余裕を持ってしてあげる事も出来ました。特に相手が自分のこどもじゃないと、より丁寧に接する事も出来ました。
この避難生活での子供たちの成長がすごかった事。学校生活では学べない、「自分の興味」を出発点にした本当の学び。これを是非、継続的に経験させてあげたいと思いました。本来の学びの場を作ってあげられたら、それは将来に明るい希望を作る事になるだろうと、そういう思いが、天才合宿のヒントになっています。