2018/12/30 18:48

みなさまはじめまして。
『こども六法』の食堂のおばちゃんこと、弘文堂編集部の外山と申します。

このたび、みなさまからのご支援のおかげで『こども六法』を刊行できる運びとなりましたことに心より御礼申し上げます。


著者の山崎さんから『こども六法』の手作り原本を見せていただいたのは2年前のこと。
短い立ち話をしたその場で「ぜひ出版したい!」と直感したのです。

けれど、そこからの道のりは平坦ではありませんでした。
この本は多くの読者に届かなければ意味がない、けれど、私一人の力では確実に成功させる自信がない……そんなジレンマに陥ってしまった情けない私に、ある日、救いの手がさしのべられました。
山崎さんと小川さんが今回のクラウドファンディングを計画してくださったのです。

幣社は120年の歴史を誇る法律書と人文書の老舗出版社です。

にもかかわらず、このたびの企画において、みなさまからの出資に頼らせていただくことを、なにとぞお許しください。

その代わり、必ずみなさまにご納得いただける内容と品質と価格で本書をご提供することをお約束いたします

そして、『こども六法』を一人でも多くの読者に届けるというかたちで、みなさまのご厚意に報いることが私の責務です。


いじめや虐待のニュースの多さは、私たちの社会がこころの余裕や寛容さを失ってしまっている証拠といえるでしょう。
子どもたちが他人の命や権利を軽んじてしまうのは、それだけ自分自身の命や権利が軽くなってしまっていることの裏返しに他なりません。
そんな社会にしてしまった大人の一人としての反省を込めて、私になにができるのか、考えずにはいられないのです。


私の願いは『こども六法』が子どもたちの心に小さなタネを撒いてくれることです。
どこから飛んできたタネなのか、大人になった頃には覚えていなくてもいい。
でも、そのタネはきっといつかどこかで、誰かの心に寄り添うために花を咲かせます。
ひとは誰でも生きたいように生きる権利がある、そのことを知るだけでも、子どもたちはきっと、今よりずっと生きやすくなるでしょう。
そして、自分の人生を尊重できるようになれば、同じように他人を尊重するようになってくれることでしょう。

私たち大人にできることは、この小さなタネを、子どもたちの手の届く場所に、できるだけたくさん撒いてあげること、そして、いつでも話を聴いてあげられる存在でいることだと思っています。


情けない大人である自分自身への反省を忘れないためにも。

今回、このようなすばらしい本を世に送り出す仕事に参加させてくださった山崎さん、企画を実行してくださる小川さん、デザインを担当してくださる砂田さん、そしてクラウドファンディングに共鳴してくださったみなさまに心より御礼申し上げ、ご挨拶に代えさせていただきます。


これからもなにとぞ温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。

弘文堂編集部 外山千尋

写真は本文の精査に苦闘する山崎(左)と小川(右)