窓辺に差し込む光が少しずつオレンジ色を帯び、キーボードを打つ手を止めてふと外へ視線をやると、いつの間にか空は深い群青へと沈んでいました。 その美しいグラデーションをぼんやりと眺めながら、私の胸の中には今、少しばかりの焦りと、静かな祈りが交差しています。現在公開中のスピンオフ。メロンソーダに落ちたさくらんぼで、涙が出るほど笑い転げるなぎと栞の無防備な日常。 琥珀色の西日のなかでシュワシュワと弾けるその黄金色の時間をテキストに起こしながら、私の心はどこかひどく締め付けられていました。 彼女たちの他愛のない会話が透き通っていればいるほど。その笑顔が、眩しいほどに鮮やかであればあるほど。物語の紡ぎ手である私には、彼女たちがやがて辿り着く「結末」が、鋭利な刃物のように痛く迫ってくるからです。クラウドファンディングの終了が、すぐそこまで近づいてきました。砂時計の最後の砂が落ちていくのをただ見つめているような、そんなもどかしい気持ちで今、画面に向かっています。正直に言ってしまえば、「あぁ、このままではいけない」という焦燥感が、胸の奥でチクリと音を立てています。 もし、このまま時間が尽きてしまったら。あの『真の結末』を、多くの方々の心に届けることができなくなってしまうのかもしれない。そう思うと、絶望にも似たどうしようもない寂しさが込み上げてくるのです。「なぜ、彼女たちにそんな痛みを伴う運命を用意したのか」と問われるかもしれません。 けれど、誤解を恐れずに言えば、それは絶対的な「救い」を描くためなのです。私がどうしても皆様にお見せしたいのは、激しい痛みの果てにある、息を呑むほどに美しいラストシーンです。すべてを喪失したかのように思える深い夜の果て。冷たい鉄の匂いがする、終着駅のホーム。 その暗闇のなかで、なぎの小さな手の中にだけ、確かな光があります。あの琥珀色の夕暮れの中で「僕」が渡した、あのチープな赤いプラスチックの指輪です。「あなたを許さない。…………」それに続く言葉は、決して呪いなどではありません。泥だらけになって、すり減って、それでもなお暗闇の底を這いずり回った彼女たちがようやく見つけ出した、嘘偽りのない純粋な「愛」であり、究極の「救い」の形なのです。プラスチックの指輪が、どんな高価な宝石よりも気高く、美しく輝く瞬間。二人の痛みが昇華され、静かな夜明けの光がホームを包み込む情景は、まるでひとつの絵画のように私の頭の中で鮮明に息づいています。 正直に言います。このラストに行きついたとき、僕は書きながら泣きました。僕自身が、激しい痛みと苦しみの先に見つけた「物語による救い」がそこにあったからです。それがあって初めて、「なぎのえき」は完成します。この美しくも切ない結末が、誰の目にも触れずに、静かに引き出しの奥へしまわれてしまうのは、あまりにも哀しい。 激しく切ない結末の奥底にある静かな夜明けが、日々を戦い、傷つきながら現代を生きる人たちにとっての、「真の避難所(オアシス)」になり得ると強く信じているからこそ、どうか、どうか見届けてほしいのです。残された時間は、あとわずか。 琥珀色の日常から、暗闇のトンネルを抜け、そして迎える眩しい夜明けまで。彼女たちが辿り着くその駅の景色を、一緒に見つめていただけませんか。 どうか、この小さな祈りがあなたに届きますように。




