甚大な被害をもたらしたベネズエラの連続地震の発生から2ヵ月が経ちました。被災エリアにはまだ瓦礫の山が残り、復興はまだまだこれからという状況。仕事を失って生計手段を絶たれ、テントで先の見えない避難生活を送っている被災者が今も大勢います。今現地で必要とされているのは、一朝一夕には見通しの立たない彼らの生活再建を支えていくための、中長期を見据えた支援です。ピースウィンズでは、様々なアプローチで被災者に長く寄り添うための取り組みを進めています。避難者の流入で人口が倍に、支援の「空白地帯」被災地域で衛生用品の配付を実施しました特に地震の被害が大きかった、首都近郊のラグアイラ州。もともと貧困世帯が多いある地域には、多くの被災者が避難していましたが、十分な支援が届いていませんでした。私たちはこのエリアの数百世帯に対して、複数回にわたって石鹸や洗剤、歯ブラシ、タオル、生理用品などの衛生キットの配付を実施しています。なぜ十分な支援が入っていないのか。ベネズエラで支援活動に携わるピースウィンズスタッフの北川は、倒壊を免れた家屋が多かったことにより、被害が見えにくいことが原因だと話します。「建物が無事なので支援の対象にならなかった一方、より被害の大きい地域に家族がいる住民も多く、親戚や友人・同僚など、多くの人の避難を受け入れました。地域の人口は、地震の前の倍になるくらいに増えています」ベネズエラで支援にあたるスタッフの北川しかし、倒壊に至らなくとも地域や各家庭には地震の被害が残っているうえ、地震で仕事を失い生活が困難になった住民は少なくありません。急激に増加した人口を支える余力はないのが現状です。「多くの人が仕事を失い、経済的に苦しい状況におかれています。がれき撤去などの日雇いの仕事が入ることもありますが、数千人規模の大きなコミュニティでも10~20人程度しか募集はありません」(北川)衛生キット配布後のアンケートでは、キットが提供されなかった場合、自力での購入について「困難だった」「購入できなかった」「非常に難しかった」と回答した割合が97.5%でした。これらの地域における人道支援としての緊急性・必要性が非常に高いことが、この数値からも読み取れます。こうした事情を抱える地域以外でも、支援の充実度には差がみられるといいます。比較的整備されている避難所もある一方、自発的に運営されている非正規のシェルターでは、シャワーやトイレなどの生活に必要不可欠な設備すら整っていないところが目立ちます。私たちはこうした、困難が見えにくい地域や場所を中心に支援を届けています。自然に生まれた「動物支援拠点」この地震で傷ついたのは、人間だけではありません。ピースウィンズでは、地震の被害を受けた動物たち、そして彼らを救おうと奮闘する現地の人びとをペット物資の支援でサポートしています。ベネズエラの人びとはとても動物好き。地域住民みんなでかわいがってお世話をしている犬や猫などがいることも多く、動物たちは人びとの生活に入り込んだ当たり前の存在として愛されています。壊滅的な被害を受けたエリアに位置するマクドナルドの店舗。周辺の建物で唯一大きな被害を免れたため、自然と支援拠点となったこの場所で、動物たちの支援活動も行われていました。ペット物資の配布、ケガをした動物たちの手当てなどが行われているほか、犬や猫、うさぎなど飼い主を失った動物たちのシェルターとしての役割も果たしています。ケガをした犬を手当てする獣医ボランティア活動に当たっているのは、現地の獣医ボランティアや一般のボランティアの方々です。活動を主導する団体や組織がいるわけではなく、動物たちを心配した人たちが集まり、動物支援の拠点が出来上がっていったのだといいます。「動物たちも地震に衝撃を受けています。レスキュー後怯えているワンちゃんもいました」と話すのは、ここで活動するボランティアの方です。「レスキューした犬や猫を手当てして、日々飼い主や里親を探しています。今日は30日ぶりに飼い主に再会できた猫がいました」ペット物資の受け取りに訪れた人の列は外まで続く自身の生活再建もままならない人も多いだろう状況にもかかわらず、動物たちのためにペット物資の配布に並ぶ人の列は建物の外まで続いていました。私たちが提供したペットフードやペットの衛生用品、シリンジなどもすぐに活用されたといい、ニーズの大きさが伺えます。私たちは引き続き、動物たち、そして動物を愛する人たちのための動物支援にも取り組んでいきます。被災地を長く支えるための支援を物資配布の様子発災から2ヵ月が経った今も、現地は厳しい状況が続き、多くの人が非常時の生活を強いられているのが現状です。ピースウィンズは今回ご紹介した活動のほか、炊き出し支援や心理社会的支援など多様な支援の検討を並行して進め、被災地を支えるために私たちに最大限できることを模索しています。2016年から始まった極度の政情不安や経済危機に見舞われた危機的な国の状況で生き抜いてきたベネズエラの人びとは、現地で支援にあたるスタッフの北川から見てもとても「タフ」。国全体が食料も満足に得られない苦しい日々を乗り越えた経験から、「こうして手を差し伸べてくれる人がいるだけで、少し救われる」と、辛い状況でも前向きな言葉が聞かれるといいます。壊滅的な被害のなかで先の見えない復興に立ち上がるベネズエラの人びとに、「今の私たちには、支えてくれる人がいる」と少しでも感じてもらえるように。私たちは現地の人たちと一緒に、現地に寄り添った支援を続けていきます。みなさまの温かい応援を、どうぞよろしくお願いいたします。




