
本が届いた日、思い出したのは"アジト"のことでした。
ついに、本が届きました。
このマガジンでは、コネも実績もないところから企画書を書き直し、出版社に断られ、すっぽかされ、それでも前に進んできた道のりを、そのまま書いてきました。最後は「全体の流れを壊さずに20ページ削ってほしい」という宿題と格闘し、原稿は何度も、いや何十回も確認しました。
だからこそ、届いた瞬間はもっと感極まるものだと思っていました。
でも、正直に書きます。パッと見たときに湧いてきたのは、嬉しさよりも「ああ、なんか届いたな」という、ちょっと一言で終わってしまうような感情でした。
あんなに苦労したのに、不思議なものです。
でも、あとから考えると、理由はなんとなくわかります。
本をつくることがゴールではないからだと思います。この本を日本中に広めて、社会にとって本当にいいことをしていく。そのために、これからやらなければならないことが山のようにあります。その決意が先にあったから、きっとあんなふうに静かな心の動きだったのだと思います。

届いた本。第一印象は、意外にも淡々としたものでした。
ページをめくって思い出したこと
改めて本を手に取り、パラパラとめくってみると、じわじわと気持ちが追いついてきました。
もちろん、まず浮かぶのは、今回協力してくださった方々への感謝です。取材に応じてくださった事業者の皆さん、学校の先生方、対談してくださった平井先生、推薦文を寄せてくださった中山芳一先生、編集の大熊さん、そして一緒に原稿をつくってくれた皆さん。本当にありがとうございました。
ただ、それと同じくらい思い出したのは、本の中身よりも、ここまでの日々のことでした。

アジトの一枚。壁の「IBARAKI」と「明日に生きる旅」を眺めながら、毎日を過ごしていました。
コロナ禍の真っ只中に会社を引き継ぎ、本当に小さなオフィスで、数人で毎日相談しながら、つくりながら、走ってきました。いつしか周りの方々や、お付き合いのある会社の皆さんから「アジト」と呼ばれるようになっていました。確かに、そんな感じの場所だったなと思います。
引越しの時の最後の写真です
通称"アジト"。机を寄せ合い、笑い声の絶えない場所でした。
今は少しだけ広い場所に移らせていただき、仲間と楽しく仕事をさせてもらっています。
本を開いたら、あのアジトの空気がふっと蘇ってきた。「ここまでやってきたんだな」と、少しだけ昔を思い出してしまいました。
教育旅行は、地味です
今、観光の主役はインバウンドです。ニュースになるのも、数字が伸びるのも、そちらです。
私たちがやっている教育旅行は、本当に地味です。バズることはありません。
それでも私は、毎日この仕事に価値があると思って過ごしています。
家族旅行ではできないこと。友達同士の遊びではできないこと。それが、学校の教育旅行ならできる。同年代、あるいは少し上や下の仲間と一緒に、本気の大人に出会い、同じ体験をして、言葉にして、分かち合う。
その熱い中身を、この本に詰め込みました。
「魅力度47位」の茨城でもできる。だから、どこでもできる
この本で紹介しているのは、魅力度ランキング47位周辺が定位置の茨城で生まれたモデルです。
有名な観光地があるわけでも、温泉が売りなわけでもありません。価値の源泉は、そこにいる人たちの本気の熱です。本気の知識、本気の行動、本気の志。子どもたちはそれに触れて変わっていきます。
だからこそ、このモデルは全国どこでも真似できます。私は、一人でも多くの方にこの中身を知ってほしいと思って、この本を書きました。
売れる本ではない。でも、いいことが書いてある
正直に言えば、書店で平積みされて飛ぶように売れる本ではありません。本屋さんを調べれば調べるほど、このジャンルの難しさを思い知らされました。
それでも、ここに書いてあることは、本当にいいことだと私は信じています。
ぜひ手に取って、読んでいただけたら嬉しいです。そして、読んだ方の中に「一緒に何かやってみたい」と思ってくださる方がいたら、それ以上の幸せはありません。
ここから、また始まる
アジトから始まって、今に至るまで。ここまで来られたのは、本当にたくさんの方に支えていただいたおかげです。心から感謝しています。
そして、ここからが本番です。この本を一人でも多くの方に届けるために、私自身、もっと努力を続けていきます。
これからも、たくさんの方をガンガン巻き込んでいきます!
皆さん、これからもどうぞよろしくお願いします!
<書籍情報>
『子どもと地域を伸ばす学びの旅「シゴトリップ」
〜なぜ、名門校は「魅力度最下位常連」の茨城を旅先に選ぶのか?』
尾崎精彦
著夢パブリッシング
2026年10月5日 (月)
発売単行本200ページ/1,980円(税込)



