鹿角市にりんごが持ち込まれた時期は古く、 明治時代と云われています。
鹿角市はもちろんのこと、 生産量日本一の青森県においてもこのような高樹齢のりんごの木は ほとんど残っておりません。
その理由として、病気や天災による倒木や、 目まぐるしい新品種の登場、 作業効率化と収量増大のための矮化栽培の推進が挙げられます。
矮化栽培とは、大きくならない樹木を栽培する方法です。面積当たりに多くの本数を栽植でき、また収穫まで最短で2年と効 率が非常に良いのですが、木の寿命が20年程度と短いのです。
こちらの農園では、 丸葉栽培という木が大きく成長し寿命も長い栽培方法で、 大事に大事に育てられてきました。
百年ふじは、 木の健康状態を優先するため一本当たりの収量は少ないです。
また、数多くあるふじの品種の中でも最も古いうちの一つで、 大玉はほとんど採れませんし、 今はやりの綺麗な着色にはなりません。それでも、りんご本来の「酸味」「甘み」「果汁感」 の奥深い味わいは、どんな新品種もかないません。
りんご最高峰のふじ。ぜひご賞味ください。
●奥羽山脈の膝元、寒冷な「盆地」
秋田県鹿角市の気候は、北海道と同じ亜寒帯。
本州でありながら北海道のように冷涼な気候で、 冬には連日マイナス10℃の極寒が続きます。
降雪も多く、山が蓄えたたっぷりの水が、 おいいしい作物を育てるのです。
●平野と盆地って違うの?
盆地の特徴として、昼夜の寒暖差が挙げられます。
日中は燦々と太陽が照り、 夜には冷気が溜まり急激に気温が下がります。
その寒暖差により、日中に栄養を吸収し光合成して蓄えた養分が、 夜には寒さに耐えるための糖分として濃縮されます。
それを繰り返すことで、 収穫期には小さくてもおいしいおいしいりんごができあがります。
近年では、着色剤や成長促進剤を使い早い時期にりんごを収穫できるよう にする地域もあるそうです。しかし当果樹園では、見た目だけのための農薬を使用しないことで、りんごは自然本来のスピードでじっくりとゆっくりと成長します。そのために、収穫期に雪が降り、 防寒着を何重にも着なければいけないほど寒くなる年も多々あります。
しかし、時間をかけて甘みを蓄え続けたりんごは、酸味との絶妙なバランスとなり奥深い味わいに変わります。
肥料は有機肥料を主に使用しております。 栄養満点で雑草もたくさん生えてきますが、 有機肥料であるため微生物やみみずが多く、 そのためふかふかの土壌を作ってくれます。
樹木に栄養がいきわたるように定期的に刈り込みますが、 除草剤を使用しないため、 刈り込んだ雑草も樹木の栄養となってくれる環境循環が良好な土壌 になっています。
当果樹園は様々な動物が訪れます。
キツネ、たぬき、あなぐま、ふくろう、はくびしん、 ツキノワグマ。。。
100年以上続く園地は、 自然に受け入れられている証拠だと思います。
いつまでも自然に嫌われないような園地運営を心掛けていきます。
一度は全てのりんごの木を伐採するとの話が挙がった果樹園。
後継ぎがいない果樹園の多くがこのような形で姿を消していきます 。
鹿角のりんごの味に衝撃を受けて10年。
地域の財産ともいえる高樹齢を引き継ぐべく、一大決心をし、 手を挙げました。
「田舎は田舎らしく」この言葉に誇りを持って、 次の世代が自分と同じく手を挙げてくれるような土壌を育んでいき たいと思います。
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