
こんにちは。後藤奈津子です。こちらの皆様にはアレキのカメラマンの人、という印象が強いかと思いますが、実はみなとシティバレエ団という小さなバレエ団の副代表なども務めております。


先日の活動記事で、福田昂平さんが私のことを「橋をかけてくれた」と紹介してくださいました。身に余る言葉で、とても嬉しく読ませていただきました。
今日は、その橋のはじまりにある、ひとつの光景についてお話しさせてください。


2019年5月、私はフィリピンのマニラにあるバレエ団、バレエマニラを訪ねました。
みなとシティバレエ団を立ち上げたばかりのころ、素晴らしいバレエ団を運営している女性がいると紹介を受け、ゼネラルマネージャーのシルビアさんを訪問したのです。滞在中、彼女とある演奏会に出向いたときのことです。なんと彼女は道端で物乞いをするために声をかけてきた子どもたちに笑顔を向け、小さなメモを渡し、他の子どもたちにも自分からにこにこと声をかけていきました。
「この曜日に、ここにおいで。全部用意してあるから、習えるよ」
路上で暮らす子どもたちに向けられたその表情は、本当にあたたかいものでした。

そして、そうして声をかけられた子どもたちが成長し、実際に舞台に立ったり、舞台関係の仕事についている。その姿を、私は実際に見ることができました。
芸術は、社会のネットワークからこぼれ落ちそうになっている子どもをたちを、もう一度社会につないでくれるきっかけになる。その最初の一歩は、たった一言の「ここにおいで」なのだと知りました。
私もバレエ団活動を通して、このように社会に貢献できるようになりたい、という思いを与えられたのがマニラの街角でした。
それから、みなとシティバレエ団では、2019年にベトナムの小中学校での無償公演、2020年に
カンボジアの孤児院でのバレエワークショップ、そして国内の児童養護施設への訪問公演、無料のレッスン、発表会参加機会提供、と小さな活動を続けてきました。




また5年ほど前から、私個人としては東南アジアを中心に、海外で医療・人道支援を行うNPO法人 Side by Side International の理事も
務めてさせていただいております。


こちらでは救急車や医療機器を届ける活動をさせていただき、現場に関わるほど、命が守られたその先に、心が動く時間も必要だと感じています。


そして今回、イワン・ワシリーエフによる『クリスマス・キャロル』日本初演に、児童養
護施設で暮らす子どもたちをご招待させていただきます。皆さまのご支援のおかげで、すでに多くの子どもたちの招待が決まりました。
世界最高峰の舞台を、「はじめてのバレエ」として、本物の劇場で。 それは、私があの日マニラで見た「おいで」を、私たちなりのかたちで届けることでもあります。
この冬の一夜が、子どもたちの中で小さな種になり、いつか思いがけない花を咲かせるかもしれません。もちろん、どんな未来になるかは子どもたち自身が決めることです。私たちにできるのは、扉を開けて「おいで」と声をかけることだけなのかもしれません。
クリスマスの贈り物というと、リボンのついた箱を思い浮かべるかもしれません。けれど、記憶や経験、誰かと一緒に過ごした時間は、その箱には入りきらない、本当の意味での贈り物になるのだと思います。





このテーマは、私が原作・脚本、制作指揮を務める『クリスマスのおくりもの』(12月18日・銀座ブロッサムホール)にも込めています。もしよろしければ、こちらものぞいてみてください。 → 『クリスマスのおくりもの』特設サイト
その一言を、ご支援くださる皆さまと一緒に届けられることを、心からありがたく思っています。残りの期間も、どうぞ応援いただけましたら幸いです。

プロフィール欄
後藤奈津子(Natsko Goto)
写真作家。 SPS会員(SONY認定プロカメラマン)| 株式会社LaBALL創設者、Alexandrite World株式会社 ボードメンバー、みなとシティバレエ団 副代表、NPO法人 Side by Side International 理事。



