▼はじめにご挨拶

はじめまして。新温泉町新商品プロジェクトの上馬です。
このページでは、新温泉町三尾地区のお母さんたちで結成される『御火浦村おこしグループ』をご紹介します。メンバーは10名ほどで、地元の海産物を使った商品を生産から販売まで行い、まちのPRのために頑張っています。


▼新温泉町三尾地区について

三尾地区は「但馬御火浦(たじまみほのうら)」とよばれ、山陰海岸国立公園の中心に位置する小さな集落です。目の前には日本海が広がり、昔から豊かな漁場と海産物に恵まれてきました。
特に春先には天然ワカメ獲りで浜は賑わっていましたが、生活環境の急変と漁業後継者の減少によりその面影はなくなりました。そこで山陰海岸が世界ジオパークに認定されたのを機に、「せっかくの資源をこのままにしておくのはもったいない。豊かな海の幸を利用した村おこしをしよう!」と、村の女性たちが中心となって「御火浦村おこしグループ」を結成しました。
まちのシンボル「三尾大島」

現在も漁業を生業としている方がおられ、のどかで古きよき漁村の風景が残っています。

▼これまでの活動

これまでに同グループでは、1番美味しい時期に獲った天然ワカメを冷凍保存をした「天然冷凍生わかめ」やワカメを使った地場ならではの加工品を開発・製造してきました。天然ワカメを甘辛く炒り上げた「わかめっ娘」や、栄養たっぷりの茎部分を炊き上げたコリコリ食感が楽しめる「くきちゃん」はご飯のお供や酒のつまみに相性抜群!天然アラメを約3年かけてアク抜きをして、じっくり炊き上げた「あらめっ娘」も普段あまり目にしない一品です。ワカメをとるところから自分たちでしています。
(写真左から)わかめっ娘、あらめっ娘、くきちゃん
昭和20年代までは三尾地区の物資輸送は海路が主だったため、海が荒れる冬は交通の便も悪くなり、いわゆる「陸の孤島」状態でした。その際にこの地区では冬の保存食として、各家庭で「樽寿司(なれずし)」を作って食べる文化が代々受け継がれてきました。しかし、近年の人口減少に伴い、昔から続くこの食文化を知る人たちも減り伝統が途絶えそうになりました。そこで、同グループはこの伝統食の技術を残すために、若者でも食べやすいようにアレンジした商品の開発をスタートしました。

「いかの樽寿司(なれずし)」は、海岸で干したスルメイカを米と麹で40日間程度漬け込みます。食べやすいように塩気を抑えて、独特の味わいを出すために米と麹のバランスを絶妙に調整されています。10分程度弱火で炙れば口当たりの良い柔らかさと味わいでご飯やお酒が進みます。
開発当初は試作品として600食ほどを作っていましたが、評判が良く、本格的に販売を開始した時には2倍以上の量を手作りで作るようになっていました。最近では、集落の若い人が家庭で作り始めるなど、伝統の味が引き継がれているうれしい報告もありました。

旧御火浦保育所を改築して、作業所として利用しています。


▼スルメイカの不漁

伝統を受け継いでいけると思った矢先、海の中でも時代の変化が起こっていました。
近年、スルメイカの漁獲量は全国的に落ち込んできており、兵庫県内でもここ20年で激減。但馬水産事務所によると、2016年の豊岡市、香美町、新温泉町における漁獲量は前年からほぼ半分の量に減っており、昨年(2017)は過去最低の漁獲量を記録しました。
要因の1つに、スルメイカの群れが日本近海から離れて全国的に漁場がなくなってきたことがあると言われています。また、漁師の高齢化が進み、後継者不足も影響しているとみられています。
国内スルメイカ生産量推移(参考資料:全漁連イカ類需給動向)


▼お母さんたちの新たな挑戦

そんな状況の中でも、やはり地元の食材にこだわりたいお母さんたち。そこで目をつけたのが「ホタルイカ」です。ホタルイカというと富山湾をイメージする人が多いと思いますが、実は新温泉町の浜坂港は全国で水揚げ量NO.1を誇っており、地元では愛着がある海の幸なのです。これまでの経験や技術を活かして、ホタルイカを麹漬けにしたものを販売しました。これで起死回生かと思われましたが…なかなか売り上げも伸びず行き詰まってしまいます。味は自信あるものに仕上がったのですが、商品となるとビジュアルも重要で、ホタルイカを麹漬けにすると、形が崩れやすくあまり見た目が良くないという課題も出てきました。

そこで、お母さんたちの新たな挑戦が始まりました。それが今回取り組んでいる、ホタルイカの麹漬けを使ったソースの開発です。「私たちの住むまちにはこんな美味しくて体に良い伝統食がある」ということを、広い世代に知ってもらえるよう、麹・オリーブオイル・ニンニク・玉ねぎを使用したペペロンチーノソースにしたいと考えています。

『伝統を残すためには変化も大事』

新温泉町の特産品と三尾の伝統食を融合させたソースは、酒の肴だけではなく、子どもたちにも美味しく食べて欲しいという思いも詰まっており、若い世代にも手軽に味わっていただくことができるよう開発中で、今後はトマトソースやカレーのルーにする構想もあります。
ホタルイカ麹を使ったペペロンチーノパスタ(イメージ)


▼資金の使い道

加工設備の導入費用、商品のパッケージ等に使わせていただきます。


▼最後に

「私たちが受け継いできた伝統の技術を、全国の人にも知ってもらって未来の食文化の発展にも役立てたいです。ぜひいっぺん食べてくんなれな。」と笑顔で話すお母さんたち。
『御火浦村おこしグループ』では今日も、伝統食の味を味わってもらいたいと新商品の開発に取り組んでいます。食で村を、そして日本を元気にしたいというお母さんたちの挑戦に、ぜひご支援よろしくお願いします!

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