◆ はじめに
NPO法人尾道空き家再生プロジェクトの代表の豊田雅子です。
写真撮影 吉田亮人さん
坂と路地が魅力の尾道の町並みをその人が近いコミュニティとともになんとか次世代に繋げていきたい!と、2007年から活動しています。
活動を始めるきっかけになった尾道駅裏の三軒家町の坂の上に建つ通称ガウディハウスは、双子の男児が2歳になったばかりの頃に、なんとか壊されないために個人的に買い取ったものです。
やんちゃな彼らをを両脇に抱えながら、尾道の路地や坂に増え続ける空き家の再生を10年以上続けてきました。
今回は、そんな尾道の空き家の再生のきっかけになっていながらも、まだ完成されていない通称ガウディハウスの完成までのラストスパートに1人でも多くの人々に助けていただきたく、クラウドファンディングに応募させてもらいました。
◆ 背景とこれまでの活動
古くから港町として栄え、多くの文人や芸術家に愛され、今もなお旅人の絶えない瀬戸内の小さな町「尾道」のイメージは、古いお寺や連なるレトロな家並み、海を見下ろす眺望、石畳、路地・・・など、都会では見られなくなってきた誰もが懐かしさを覚えるような、いわば日本の原風景的なものではないでしょうか?
坂の町・尾道の独特の景観は映画やCMをはじめとする様々なメディアで全国、全世界に紹介され、尾道の代名詞のように伝えられていますが、一方では、車中心の社会への変化や核家族化、少子高齢化による中心市街地の空洞化といった現代の社会問題を多く抱えているエリアでもあります。
特に深刻なのは、車の入らない斜面地や路地裏などの住宅密集地に増え続ける空き家問題。もともとお寺しかなかった山手と呼ばれる尾道三山の陽当たりのよい高台に、当時の豪商達がこぞって「茶園」と呼ばれる別荘住宅を建て始めたのが始まりで、その後もハイカラな洋館付き住宅や旅館建築、社宅、長屋など様々な時代の建物が斜面地にへばりつくように密集して建ち並び、まるで「建物の博物館」のようなエリアになっています。それに加え、アップダウンの多い立地に工夫して建てた不定形の建築の面白さと海を見下ろす眺めの良さが、山手の建物をより一層興味深いものにしています。
しかしながら、そんな魅力満載の坂の町には、300を超える空き家が存在するという調査結果が出ています。南側以外の斜面や平地の路地裏、商店街の空き店舗なども合わせると駅から2キロという徒歩圏内に500軒近い空き家がある状態で、その多くは長年の放置により廃屋化してきており、立て替えや新築不可能なロケーションにおいて、現存する空き家をいかに上手く活用し、後世に伝えていくかが最重要課題でした。
我々尾道空き家再生プロジェクトはボランティアベースでも出来ることから何でも、がむしゃらにコツコツとこの8年間活動してきました。通称ガウディハウスに始まり、子連れままの井戸端サロン・北村洋品店、ものづくりの拠点・三軒家アパートメント、0円で空き家をもらって東京脱出を成し遂げた漫画家さんのつるハウス、坂暮らし体験ハウス・坂の家、空き地再生あちきこうえん、路地を楽しむゲストハウスあなごのねどこ、元泌尿器科のシェアハウスうろろじ、坂を楽しむ茶園建築のみはらし亭…空き家バンクでの里親探しやセルフビルドのお手伝い等を含めると100軒近い空き家の再生に携わってきました。
一番最初に再生完了した子連れママの井戸端サロン「北村洋品店」と双子
再生された「三軒家アパートメント」でのマンガ道場の双子
再生された「つるハウス」の縁側に佇む双子
手作り公園「あちきこうえん」で遊ぶ双子
再生された路地を楽しむゲストハウス「あなごのねどこ」のコタツでくつろぐ双子
前回クラウドファンディングで支援してもらった空きP史上最大級の大型空き家、尾道の茶園文化のシンボルとも言える坂の上の絶景の別荘建築「みはらし亭」
我々の活動は、尾道の先人が残してくれた貴重な町の資源であり、日本中で社会問題にまでなっている遊休空き家に少しずつ手を加え、みんなでシェアできる空間をなるべく多くの人に関わってもらうようにして、プロセスを共有しながらコツコツ作り出しています。
お偉いさんがエアコンの効いた会議室で大きな金額を動かすようなまちづくりとは違い、若い人が実際に手を動かし、汗を流し、リアリティを感じることが出来る本来のまちづくりを目指して今まで無我夢中にやっています。
尾道では空き家を使って自分たちの生活を豊かにする町の機能をひとつひとつ新しく作り出していっています
そんな生きたまちづくりをしている尾道の新たな場づくりをぜひぜひ応援してください。
温かいお気持ちとご協力、よろしくお願いします!!!
◆ 通称ガウディハウスのこれまで
通称ガウディハウスは昭和8年に和泉家の別邸として一人の大工さんが3年もかけて坂の上に建てた唯一無二の貴重な建物です。
その後25年ほど空き家になっていました。
ボランティアのみんなで残された荷物を片付け、
子どもも連れて大掃除。夏の暑い時期に1ヶ月半で5キロ痩せました!
建築士さんに相談し、数寄屋大工のダンナに少しずつなおしてもらいました。左官職人さんも復元に向けての準備、別の建築士さんも模型を作成してくださいました。
使える部屋は空き家再生の拠点として色々なイベントを行い、尾道の空き家のことを知ってもらったり、空き家や古い建物に興味のある人たちの交流の輪を広げていきました。
季節折々の空き家再生チャリティイベントの様子
空き家再生現地でチャリティ蚤の市の様子
尾道空き家談議の様子
2007年、山本基さんの塩の「迷宮」公開。塩を海に返すワークショップの風景。
2017年「記憶と記録」渡邉 義孝フィールドノート展。
工事風景
ワークショップ風景
◆ 通称ガウディハスのこれから
昨年から構造と屋根、ライフラインを職人さんにしっかり修復してもらい、現在は、細かい作り込みや塗装、左官作業をすすめていっています。また、同時進行で尾道へ移住してきてくれた作家さんに、パーマネントの作品のインストールとオリジナルの茶器やコーヒーカップ、コースター、スリッパなどの制作もしてもらっています。
ご支援いただいた資金は、工事費とインテリアに使わせていただきます。
春には完成し、お披露目ができるよう進めていますが、職人さんを中心に、とことん納得いくように、細かいところまでこだわって、じっくりと再生していきます。
完成後は、みんなで使える貸しスペースとして活用していく予定です。
<今後の予定>
3月中:工事完了(予定)
4月中:活用に向けての準備
5月中:オープンハウス
7月〜:活用開始
◆ リターンについて
お返しの作業を極力シンプルにするために、リターンはシンプルに1種類のみにさせていただいております。
すでに実施しているプロジェクトですので、All in方式で目標額に達成しなくても、必ず遂行し、リターンも随時発送させていただきます。
ガウディハウスの再生を最初から共に歩んでくれているAIR Onomichiの小野 環さん制作のピクチャーブックになります。建築士の渡邉義孝さんやカメラマンの西川真理子さんにもご協力いただき、通称ガウディハウスの歴史や残されたものたちのアーカイブに至るまで、オールカラーで見ごたえのある1冊です。
◆ 最後に
10年越しのプロジェクトのラストスパートで す。
尾道における空き家再生のシンボル的存在でもある通称ガウディハウスの最後の花道を一緒に飾ってくれる方を大募集します〜〜〜
ご協力、よろしくお願いします!
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