はじめまして。建築家住宅手帖プロジェクトチームです。
わたしたちは「建築と不動産のあいだ」を追究する、全員が建築設計出身者で構成された不動産会社、創造系不動産のメンバーを中心としたチームです。
これまで建築不動産コンサルティングを通じて、クライアントと建築家のビジョン達成のサポートをしてきました。
この度、わたしたちが企画している『建築家住宅手帖』をより多くの皆様に知っていただき、同じ想いを持つ方と一緒にこのプロジェクトを創っていきたく、クラウドファンディングを行わせていただいております。
どうぞよろしくお願いします。
今回ご支援いただきたい『建築家住宅手帖』は2020年5月公開予定の、建築家が設計した住宅のみを専門に扱う不動産ポータルサイトです。
建築家住宅に住まうことの「豊かさ」と「価値」を知るための、窓口となることを目指します。
旧来、一般の方にはハードルが高いと思われている建築家の住宅作品ですが、現在ではライフスタイルの多様化もあり、一点ものである建築家住宅も身近なものになってきています。このメディアでは、取材記事や建築家によるクリティークを通して、建築家の名作を特集するとともに、「行ける(イベントの開催)」「借りれる(賃貸情報の掲載)」「住める(売買情報の掲載)」の情報発信を行うことで、建築家の住宅に触れられる機会を増やします。
また二次流通の市場を整えることで、「建築家の設計する建築を建てることの意味」を高めることを目指しています。
創造系不動産のマネージャーで、今回のプロジェクトの発起人の佐竹と申します。わたしは大学、大学院と建築学科で学び、卒業後はアトリエ設計事務所や注文住宅の設計会社などで設計を仕事としてきました。
建築設計の奥深さゆえか、社会に出て以降、あっという間に時間が過ぎ去っていきました。
周りが建築家として独立し始め、焦りもでてきた頃、特別設計が得意というわけではなかったわたしは、何か自分の武器になるものを模索するうち、偶然にも現在所属している創造系不動産と出会い、入社することになります。
それまで建築業界が全てだったわたしにとって、不動産業への転身は非常に大きな決断でした。
不動産が自分の武器になるのではという予感もありましたし、建築以外の領域を学ぶことで、建築業界に還元できることがあるのではと考えたのです。
(その時は、不動産を学んでから設計事務所で独立するつもりでした。笑)
いざ働き始めてみると、建築と不動産の間には大きな壁があり、不動産業界の常識を知っていく中で、大小含めさまざまな違和感に遭遇してきました。
中でも、今回のプロジェクトで解決したい違和感・問題意識は大きく2つです。
「建築業界以外の人は、建築家(とその作品)についてほとんど知らない」
「不動産業界では、建築家の設計した住宅が全然評価されていない」
この2つの違和感を、不動産業界にいる今の私になら変える事ができるかもしれない。
そんな想いで、「建築家住宅手帖」を立ち上げることを心に決めました。
1つ目の違和感を感じたのは大学時代のことです。
地元の友人たちや建築学科出身でない友人たちに、建築家の話をしても全く通じないという体験が、度々ありました。
もし仮に知っているとしても安藤忠雄さんや隈研吾さんなど超著名な方に限られており、建築学科に通っている学生にとって常識ともいえる建築家の存在が、広く一般に知られていないことに気付きました。
大人になり、設計事務所で勤めだしてからも、同じような違和感を感じることになります。
あるとき、高校時代の友人が家づくりを検討していました。
彼は真剣に悩み「良いものを建てたい」と考えていたのですが、建築家に依頼するという選択肢が、彼には全く浮かんでいなかったのです。
この友人だけが特殊なわけではなく、建築を学んでいない人の多くが、「建築家が創った空間を意識的に体験したことがない」のだと思います。
もっと気軽に建築家の創った空間を知る、体験する機会を創る事はできないでしょうか。
売買物件の価格を決めている不動産業界の「査定」では、立地や面積、構造などに関する定量的かつ画一的な指標に関して、近隣事例との比較により建物や土地の価格を決めています。
そこには、定性的な「建築のよさ/空間のよさ」を反映する指標が全く存在していないのです。
つまりは、建築家と一緒にこだわりを持って作った住宅も、メーカーが作った建売住宅も、定量的な指標に差がなければ同じ価格になるという事を意味しています。むしろ、建築家住宅は特殊であるとみなされ、場合によって価格が下げられてしまうほどです。
わたしはこの事実に愕然としました。
こういった事態が起こる理由は、不動産の価値に「流通性」が大きく影響しており、いかに多くの人が欲しいと思うかどうかという観点で、価値が決まっているという事があります。
こだわりを持って、その家族に合うように創られた居心地の良い空間をしっかりと価値を付け、次の住まい手に繋いでいく方法はないのでしょうか。
最初の自己紹介でも書かせて頂いた通り、建築業界に自分ができる事を考えていた時に始めた活動があります。
建築に関することをラップで歌う「建築ラップ」という活動です。
何を馬鹿な事を言っているんだとお思いの方も多いかと思いますが、わたしは至ってまじめにこの活動を行っています。
まずは見て頂く方が早いので、こちらを見て頂ければ幸いです。
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見て頂くと分かる通り、建築家の名前だけを言うという曲です。
わたしはこの活動を通して「まずは建築家という存在を知ってもらうこと」を目指しています。
現状、建築は一般の方にとっては、小難しく取っ付きづらい分野になってしまっており、なかなか建築家のトークイベントなどもハードルが高いのが現状です。それならば、音楽というフォーマットに載せて伝える事で、もっと多くの人に興味を持ってもらう事ができるのではないかと思っています。
(同じように建築をテーマにした曲を、今、youtubeで3曲公開しています)
今回のプロジェクトも、根底にあるのは同じ思いです。
『建築家住宅手帖』では、建築家が建てた住宅を取材して、その住み心地の良さや住まい手の想いなどを丁寧に記事にすること、建築家住宅を実際に見て頂けるイベントを開催することを通して、知っていただく・感じていただく機会を増やしていきたいと思っています。
建築家住宅は、設計者が自分の名前を開示し、それぞれの家族の生活に対して詳細なヒアリングのもと設計された、いわばフルオーダーメイドの住宅です。これはある意味「生産者の見える有機野菜」のようなものだと考えています。
つまりそこには設計者が見えない量産された住宅とは違う、特別な安心感があります。
この、「誰かのためだけ」に建てられた家を、また「別の誰か」の住まいとして住み継ぐことは、どうすれば出来るのでしょう。
それはきっと、建築家だけでも不動産屋だけでも実現出来ないことなのではないでしょうか。
わたしたちは建築家の方々とも連携しながらメディアやイベントの運営を行い、建築家住宅に住まうことの「豊かさ」と「価値」を知るための窓口を作って、「別の誰か」にとって、その建築の価値が届くようにしたいと考えています。
残念ながら、現在のところ日本において建築のデザイン性や文化的重要性は資産としての価値を持ちづらい状況にあります。
この結果として良質な建築が引き継がれずに取壊されてしまったり、安価なデザインフィーで優秀な設計者が働いていたり、建築という文化が世間から誤解を受けたりしています。
これらを解決するために重要なのが、より多くの人に建築を知ってもらい、空間を体験する機会を創ること、そして建築のデザインに市場価値をつけることなのではないでしょうか。
建築家の方をはじめ、建築を愛するすべての人の支援をいただきながら、わたしたちはこのプロジェクトを強い使命を持って取り組んでいきたいと想っています。
『建築家住宅手帖』をわたしたちと一緒に創ってください。
是非ご支援のほどよろしくお願いします。
※なお、本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
※お願い:建築家建築の売買情報、賃貸情報をご存じでしたら是非お寄せください。
最新の活動報告
もっと見るなぜ、建築家住宅手帖が必要なのか | 高橋寿太郎
2020/04/14 10:46みなさんは建築家の素晴らしいデザインの住宅が、取り壊されてしまったり、ほぼ土地値だけで売買されてしまったりする状況、そしてその後に、どこにでもある住宅が立ち並んでゆく状況に疑問を感じたことはないでしょうか。わたしたちが取り組んでいる「建築家住宅手帖」は建築家住宅の流通市場と、メディア運営、イベントの企画を行うWEBサイトです。このプロジェクトによって建築家住宅の二次流通市場を形成、建築家住宅の認知が向上し、建築家住宅が後世により良い形で引き継がれたり、建築家に設計を依頼することの価値を高めたりすることができるのではないか、とわたしたちは考えています。実は「建築家住宅大国」の日本あまり知られていない事実なのですが、日本の建築界というのはアメリカやヨーロッパやほかのアジア諸国とはかなり違った形で発展してきているんです。実は日本は他の国々よりもずっと「建築家」の数が多い、「建築家が身近な国」なんです。そして、一部の富裕層だけが建築家に建築を依頼する、という国が多い中、一般の人でも建築家に住宅の設計を依頼できるという状況は、世界的にみてもかなり珍しいんです。幸福なことに、日本の建築家住宅の数はほかの国に比べても大変多いんです。これまで不動産市場では、建築家住宅はうまく価値づけされてきませんでしたしかし一方で、これまで日本の不動産流通の世界では、そうした建築家の設計した住宅を、次の所有者に売ったり、相続したり、活用したりするときに「不動産価値を作る」ということが全然うまくいってこなかったんです。これによって建築家の住宅が後世にバトンタッチされづらい、という状況がありました。この問題の根幹は不動産業界の常識・商習慣にあるんじゃないかなと思っています。例えば大手の不動産ポータルサイトに載っている場合もそうなんですが、不動産の査定では、駅からの距離、広さ、築年数が同じであれば、どんな住宅であったとしてもだいたい同じ金額になってしまいます。とにかく十把一絡げの画一的な基準で価値づけを行ってきてしまったんです。市場作りからはじめますわたしたちは知っています。デザインには人の生活を豊かにする、確かな力があることを。しかし、デザインの価値をきちんと評価でき、人から人へと渡っていく社会を作るためには、その市場そのものから作っていかなければなりません。建築設計をしていたわたしが、不動産業界に身を投じてから13年になります。転職した当初から抱いていた「建築家のデザインはなぜ不動産市場で評価されないのか」という疑問に、いよいよ本腰をいれて挑戦しようと決意しました。建築家住宅を「つなぐ」建築家がきちんと手間暇かけてデザインをし、施工会社が丹精込めて作った住宅ばかりを集めた不動産サイトが、それを求める人たちの窓口になる。そして新しく作るだけではない、二次流通の市場ができれば、建築を設計する、ということ自体にも少し違いを生むことができるとわたしたちは考えています。今の建築家住宅の置かれている状況は、所有者の様々な事情、相続などによってあっさり壊されてしまっているのが現実です。しかしこれが次の所有者に引き継ぐことができれば、建築家は2,30年ではなく、本気で長年残る建物を作るためにはどうしたらよいのか、ということに取り組むことができます。また次の所有者に「この建物は建築家の○○さんが設計した家だ」と伝えられることは、所有者間で建築家の作家性が伝えられていくことにもつながります。これまでも弟子によって増改築がなされるという事例はないこともないのですが、ごくまれな、大変幸福な事例に限られてきました。このプロジェクトによって、こうした時代に合わせてのバージョンアップや修繕がなされ、きちんとした価値が次の世代へ引き継がれていく、またこうした仕事が生まれることが当たり前になるような状況を作っていけたらと考えています。「建築家住宅手帖」をメディアにする意味建築家住宅の不動産としての市場作りを目的としたサイトなので、形としては売主と買主もマッチングという形をとることになります。しかしわたしたちは「建築家住宅手帖」と銘打ち、不動産メディアとしての役割も持たせることにしました。既存の不動産物件情報だけではなく、どんな経歴を持った、なんという建築家が、どういう背景で設計して、どういう評価を受けたのかとか、今活躍している建築家による、この建築家住宅の批評・評価をメディアとして機能させるようにしたいと思っています。現在の不動産の査定は一般に、何枚かの写真、特定の指標に基づいて手間をかけないことを重視して行われています。しかしわたしたちはあえてメディアとして、きちんと取材して、この建築の持つ意味とか、背景とか、想いとか、そういったものを伝えることを選びました。これを長い時間かけて、コツコツと積み上げることでいつか、建築の価値をきちんと評価できるだけでなく、伝えていける不動産市場ができるとわたしたちは信じています。未来の日本の住宅文化をよりよいものにしたい前述のように日本では毎年、世界的にみても非常に多くの建築家住宅が生まれています。10年後20年後、このプロジェクトが成功して、たくさんの建築家住宅が残るようになったとき、世界中からうらやましがられるような、そんな日本の住宅文化を作っていけたらと思っています。そのためには優秀な建築家の皆さんが手間暇かけて、良い住宅をたくさん作ってゆくこと、そして次の所有者にわたるときにきちんと価値を持って売買されてゆくこと、そしてモノだけではなく、当時の想いや意味を理解して受け継いでゆくこと、維持管理してゆくために次の世代の建築家がきちんとメンテナンスするような仕組みができていること、これらが整えば建築の未来はきっと明るいはずです。是非、日本の住宅文化の未来を一緒に作りましょう。 もっと見る
ご説明探訪vol.1 株式会社アークブレイン代表取締役 田村誠邦 様
2020/03/27 14:50発起人の佐竹です。先日、弊社代表の高橋と一緒に、建築と不動産のあいだ業界の第一人者とも言える、株式会社アークブレインの社長で、住宅遺産トラストの理事も務めておられる田村誠邦さんにお会いして、今回の「建築家住宅手帖」についてお話をしてきました。住宅遺産トラストは、名作住宅を継承することを一つ一つ丁寧に進めておられる建築家住宅を不動産的にも扱うパイオニアで、今まで継承をさせてきた名作住宅のラインナップは、大学の授業で習うようなものばかり。住宅遺産トラストHP → http://hhtrust.jp/ その継承の仕方をお聞きしていると、非常に細やかな配慮や、高度な専門性がそこかしこにあり、改めて今回の「建築家住宅手帖」を広めていくことの意義と難しさを改めて認識しました。私たちも、住宅遺産トラストを見習い、丁寧にひとつひとつの住宅に向き合っていきたい。そして「市場」を作る事で建築業界に貢献したい。さらに想いを強くする機会になりました。引き続き、いろんな方を訪ね、皆様のご意見を頂く事で、「建築家住宅手帖」というサイトをより長く愛されるものに育てていきたいと思います。 もっと見る
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