▼はじめに

東京都内の民間確認検査機関に在籍しています。
現在確認申請・審査のソフトを開発し、申請は公開運用し、審査は社内運用しています。
しかし、一定の社内運用の後、改良をくわえ、申請の設計者にも審査ソフトを公開し、
申請者の無料運用の後、評判等を調査の後、有償頒布したいと考えています。
又開発には時間を要する為、資金も併せて確保したい。

▼このプロジェクトで実現したいこと

現在、各検査機関において確認審査は、各社ごとに異なった社内基準で運用している。弊社では、その審査基準および審査内容を電子化し公開するアプリケーションの開発について公募いたします。これにより審査の透明化が促進され、申請者の利便性、審査期間の短縮が可能になります。将来的には有償頒布したいと考えています。

▼プロジェクトをやろうと思った理由

日本では建築基準法により、全ての建築物・工作物・擁壁を新築するには建築計画を設計書に纏めて「確認申請書」を作成し、行政か指定確認検査機関に提出し、基準法上の適合性審査を受け、確認済証を取得した後でなければ、建築工事に着手出来ない制度となっています。

本年4月から一定規模の非住宅建築物は省エネ判定機関の判定審査を受け合格しなければ、建築確認済証は下せない制度になります。この建築確認をめぐる法整備は時代の社会的要請上やむ得ないのですが、各物件担当が組織的に相互確認しなければならない項目資料は日々増え続けています。本来ならばチェック項目が増える分だけ審査時間も増やすべきなのですが、民間の顧客確保競争上、実際には増やせないのが実態です。即ち審査ミスを出しやすい状況が増加するのです。特に建築確認は職種上も複数の専門家が共同作業で審査を進めるので意匠・設備の各分担範囲を相手に期待して、見落とす可能性も生じます。当初は意匠・構造・設備の三人四脚競争でしたが、これからは意匠・構造・設備だけでなく構造適判・省エネ適判の専門家およびデータベース技術者がコラボレーション(共同作業)して同一物件の法適合性を審査した上でなければ確認済証は出せない事になります。建築確認審査担当者は2千頁の基準法やその倍以上の地方条例を熟知し個別建築物の設計内容を理解し、審査をし安全性を確認する事が建前上求められており、これを人の経験や刊行資料だけで判断しており、見逃しミスのリスクは増える一方です。しかも組織的なカバーとしてもダブル・トリプルチェック程度ではしょせん個々人の経験に頼らざるを得ないのが現状です。又紙の申請・審査では審査中の経験をデーターとして再利用する事が極めて困難です。このためミスを減少し、回避するには今日のIT技術を駆使した審査ソフトを開発し、審査プロセスのデーターを蓄積し、どの様な審査プロセスが最適解なのかを把握出来る様にするのが望ましい。そこで弊社では過去数年間研究を続け、今回申請・審査のプロトタイプソトを開発し、今後検査ソフトを開発予定です。特に審査ミスは申請側の設計ミスにも同様の責任が伴うと思われるので継続的に改良を加え、公表し販売する目的があります。

 

▼これまでの活動

確認申請・審査・検査の電子化については、国が申請手続き規定を明確にしましたので、建築確認申請に関する特定行政庁と各確認検査機関で構成される日本行政会議(JCBA)と建築情報センター(ICBA)で申請様式を電子化しておりますが、機関ごとの事情が異なり一本化して利用できる状況ではありません。 この為また、IoT環境の変化もあり、先行数社が独自開発に踏み切り、顧客の確保に努めているのが実態です。 しかしながら確認審査については具体的な手続きも標準的なモデル審査フローも示されていず、各主事や機関に委ねられており、こと審査方法についてはブラックボックスとなっています。この為各機関も特定行政庁も審査基準については公表せず、独自に経験的に実施しているのが実態である。

国際的には米国・欧州・アジアの先進国・都市が確認申請の電子化を条例化し、紙を無くしつつ移行しているのが現実ですが、審査方法については確立されておらず、BIM設計のモデルを使い避難規定の一部を性能的に審査している程度である。BIM設計書の国際情報交換を検討しているbuilding SMART Japan(以下bSJ)でも法規ワーキングを立ち上げたばかりで法文の電子化を如何に促進するのかが国際的課題であるのが現状です。

 この為法文の電子データー化は時間を要するので別途勧め、とりあえず紙で実施しているチェックリスト方式をそのまま電子化する事としています。したがって当面の間審査はこれまでの様に主事の頭脳に任せることとします。 この方が多少時間はかかるものの、主事の経験をそのまま活かせますので、初期導入には最善の方法だと考えています。

 それでは審査の電子化で主事の抵抗を乗り越えて得られるのはCo2削減と審査時間の削減だけなのでしょうか。急ぐ理由は確かにCo2削減の標記国際条約規定ですが、長期的にはもっと本質的課題があります。それは67年も建築基準法運用をしているのに標準的審査フローが確立できないのかを解明する事です。

 もし、意匠・構造・設備・省エネ専門家が課題を共有できれば建物用途・規模・構造毎に標準的な審査フローが確立され、より安定的審査が可能となり、基準法運用が新たな水準へと進化できると考えられます。

 当面の課題としては仕様規定と性能規定が併用されている、防火・避難規定について仕様と性能両規定で原則審査し、ミスの多い部分の明確化とミス減少を目指す事としたい。また成長著しいメモリー容量や情報伝達手段の発達やAIの動向を踏まえた審査方法の改良・改善を進めてまいりたいと考えます。 

▼資金の使い道

建築基準法の運用の柱となる建築確認申請の中で2で述べたように重要性と共に理解の困難さが伴う実体規定である事を述べました。それは日々変化する自然・社会・経済・文化の受け皿としての人間活動の容器の安全・衛生規定なのでやむを得ない面がありますが一方で現在の複雑多様化した基準法を全ての主事・設計者が瞬時に理解し、判断するには限界がある事も述べてきました。更にこうした普遍的な複雑多様化に拍車を駈けているのが、明治以降中央集権的な法文作成の表現が米国のような単純明快な表現でなく、何頁にもわたり、段階的に詳細化していく、複複文表現が多用され、一層理解を困難にしている側面もあります。しかし出来た法律をそう簡単には分かり易くできませんので、運用で改善していくのが現実的手段だと思います。又、規定する方法として用途・意匠などの仕様規定(一般的)と構造・避難・防火・日影・天空率・省エネ等の性能規定があり、防火避難のように一部混在した部分もあり、一定時間で判断する為にもコンピュターソフトを利用せざるを得ないのが実態です。

 しかし現在、審査は規定の仕様内容を条文規定毎に、二次元表示の設計図書と対比しながら各主事が判断しているので、見て確認した個所をレ点でチェック後を残して、疑問点があれば質疑書で設計者・主事間の理解調整を個別具体的に進めており、表現の差をどのようなプロセスで理解合意に達したかの個々の判断は両者の頭脳の中であり、これを蓄積し再利用することは出来ません。

 これが紙審査の限界であり、関係者間でミスを繰り返す要因でもあります。では、チェックリストによる同様な条文毎の確認審査を電子化した場合はどうでしょうか。その効果は以下のようになると考えられます。

①紙審査ではどこまで・どのような手段で相互理解したのか質疑書以外明確な記録がなく関係者で共有することが困難ですが、電子審査では全てのチェック記録が残り、共有できるので審査記録がデーターとして蓄積でき、再利用可能にする。
②紙審査では、敷地集団規定の都市計画情報や特定行政毎の地区計画等を調査するのに行政庁毎の計画図をネットや発行地図で探さねばならず時間が要しているが電子化ではワンクリックで探せるので迅速審査になる。
③法文の探索や条例規定文の探索にも複数の法令図書をページめくりしながら時間がかかるが、数クリックで探索できるので迅速化を可能にする。
④建築・延べ等面積計算チェックを、内蔵電卓で早くできるようにする。
⑤既に経験したチェックリストや審査上の要点もワンクリックで参照できるようにする。

この様に審査の速度・正確性向上と審査経過の保存が可能となり電子化のメリットがある。しかしながら基準法の電子化に馴染むのは設計別の判断がぶれない項目に限定せざるを得ないため、主事間で意見解釈の違いが出るいわゆるグレーゾーンについてはこれまで同様、合議に寄らざるを得ない。これが課題です。

 それでも定例的判断が可能な部分の電子化でもその短縮した分余裕をもってグレー部分の判断を慎重に出来るメリットは出ると思われます。この様に増加するチェック項目数に必要な審査時間をコンピュータソフトで短縮するためのソフト開発に資金を使います。

 

▼リターンについて

現在社内的には電子申請ソフトはASPとして顧客利用を無料提供している。その理由は関連団体である消防・行政が紙しか受け付けず、結果として事前申請しか電子化できないからである。又、審査ソフトは申請ソフトと連動で社内運用しているのみである。しかし、同じ審査ソフトを公開販売する事で申請者・審査者がより適格な法運用を行う事になり、両社の溝を埋める事が可能となろう。この為一定期間の社内運用の後、申請者にも無料使用して頂き、使い易さなどを向上の上、販売する事としたい。

 販売方法としては、ASPのダウンロード利用を想定している。初期登録後の運用中のバージョンアップなど今後の内容変更については未定である。 

リターンについては、優先的な割引利用権、無償の利用権などを考えています。

▼最後に

Crowdfundingは政治・経済・防災・芸術・文化等、様々な社会サービスを改善・新規制作にかかりたいと計画している未認知のプロジェクトに対して街の事業に関心のある方をネットで募集して、まだ社会に認られていない事業にご支援いただき、新規事業の誕生を支援する特定事業の為の資金募集の手段であると理解しています。

 しかし、この制度自身が生まれてまだ3年弱と新しい為、どこまで理解者に巡り合えるかは未知数であり、賭けでもあるとの理解です。又クラウドファンディング会社も特徴があり、一定の関心分野があるやに聞いています

 建築という非常に専門性の高い分野のソフト開発なので資金提供者も限定されると考えて、B to B,B to C 等建築や不動産関係者を中心に企画書を公開して評価を得たいと思います。

 一方で顧客には多様な状況に応じた還元の仕組みをファンディング会社と協力し検討したい。又ともに発展できるWinWin の関係を築きその魅力もPRしてもらいたい。

事業関係者への重点的情報提供の仕組みも考えて、早期発見に繋げたい。 

まずは行動からスタートです。2017年を希望・復活の年にしよう。

 

  • 2017/05/10 17:42

    確認審査ソフトの必要性について先進的機関複数と協議中; 確認審査は建築主事の建築基準法に基ずく申請建物の法適合性を審査するものですが、審査プロセスは各主事毎に、また機関ごとに経験により、確立された必要法文チェックリストに より、実施されているのが実態です。その為建物ごとにこれといった共通の...

  • 2017/05/10 17:37

    確認審査ソフトの必要性について先進的機関複数と協議中; 確認審査は建築主事の建築基準法に基ずく申請建物の法適合性を審査するものですが、審査プロセスは各主事毎に、また機関ごとに経験により、確立された必要法文チェックリストに より、実施されているのが実態です。その為建物ごとにこれといった共通の...

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