● ヘーゼルナッツの国産化が100年後の長野の農業を変える
はじめまして、㈱フル里農産加工の岡田と申します。私は前職の輸入商社マン時代、イタリア出張のときに、ある運命的な出会いをきっかけに30年近く努めた会社をリタイヤ、一念発起して2014年に起業しました。
私が今、ライフワークとして取り組んでいることはヘーゼルナッツの栽培です。100年後、長野がりんごに替わる特産品として、新しい農業の形として6次産業化をスタンダードにする、それがヘーゼルナッツ栽培です。
・ヘーゼルナッツってご存知でしょうか?
地中海沿岸地方原産で、主にチョコレートなどのお菓子によく使われているんです。日本人にはまだまだ馴染みのうすいナッツですが、実は『アーモンド・カシューナッツと並ぶ世界3大ナッツ』のひとつなんです。
日本人にはマカデミアナッツの方が知名度ありますが、生産量はヘーゼルナッツの方が多いのです。
トリノの名産品で、ヘーゼルナッツを使った代表的なお菓子のひとつで、その昔カカオが高級品でなかなか手に入らず、その代用品として重宝されたヘーゼルナッツとチョコレートが奏でる絶妙なハーモニーがたまらないチョコレート菓子、それが歴史ある銘菓『ジャンデュイオット』です。私も大好きな、大好きなお菓子です。
左がボートをひっくり返したような形が特徴のオリジナル、右は弊社で作っている『はしばみちよこれいと』。
・しかし実は、ヘーゼルナッツは現在100%輸入に頼っています。
日本に輸入されるヘーゼルナッツのうち95%はトルコ産、残り5%がイタリア産等です。
日本の洋菓子屋さんは、ほとんどと言っていいほどヘーゼルナッツやヘーゼルナッツのペーストを使って焼き菓子や生ケーキ、チョコレートなどの製品を作っているのですが、材料は100%輸入品です。
しかもそのほとんどはトルコ産のヘーゼルナッツなのですが、年々ナッツの価格は高騰化の一途をたどっており洋菓子屋さん泣かせの材料となっております。これを国産化できないだろうかという思いがわいてきました。
しかも、残り5%のイタリア産ヘーゼルナッツが世界の一流パティシェ達のスタンダードなんです。
・ヘーゼルナッツを国産化すればみんながハッピーになるんではないか?
これがイタリア・ピエモンテ産のヘーゼルナッツの実なんです。
その中でも世界一美味しいヘーゼルナッツといわれるピエモンテ地方ランゲのトンダ・ジェンティーレ種です。
収穫中のピエモンテ・ランゲ地区の農家さんのヘーゼルナッツ畑
・なぜ、長野でヘーゼルナッツを育てるんでしょう?
私が今輸入している苗木は、世界で一番美味しいと言われているイタリア・ピエモンテ産『トンダ・ジェンティーレ・デッレ・ランゲ』種です。
しかし、設立当初は資金もなく日本で入手できる5品種100本を試験栽培しました。
我が子の成長を祈る思いで育て始め、3年目の秋から少しずつ収穫できるようになってきました。殻つきで3kgのヘーゼルナッツを手にしたときは感動しました。
収穫したヘーゼルナッツはひとつひとつ殻をハンマーで割り、ローストしたあとに真空包装をしました。
やはり、鮮度バツグンのものをここで加工することが一番いいことだと思います。
この長野で、無農薬・無消毒・無潅水のヘーゼルナッツが育つことがわかったので、どうせなら世界一美味しいと言われる『トンダ・ジェンティーレ・デッレ・ランゲ』種を輸入してみたいと思うようになったのです。
殻を割り、ローストし甘皮を取った状態のヘーゼルナッツの実
そしてこの度、ヘーゼルナッツの栽培をより本格化していき、長野の新たな特産品としていくため、今回のプロジェクトを立ち上げました。なぜ私がヘーゼルナッツにこれほど惹かれたのか、なぜ今、この長野にヘーゼルナッツが必要なのか、その経緯をお伝えしたいと思います。
ヘーゼルナッツは長野の地に合うっ!!
私は前職の輸入商社に勤務していた時に、農家さんがアイスを作ったり、ジャムを作ったりする農産物加工のサポートをする6次産業化プランナーとして全国の農業の取り組みに携わってきました。
りんごの生産地といえば青森、長野を想像されるでしょう。しかし、近年の地球温暖化も相まって北海道でも質のよいりんごが収穫できるようになってきているのだそうです。その流れは2011年の東日本大震災に端を発し、畑を失った沢山の東北のりんご農家さんが、北海道へ移住され、高い技術力と長年の経験から高品質のりんごを栽培されているようです。
北海道の広大な耕作面積と農業規模を鑑みると、近い将来、長野のりんごの収穫量が抜かされる可能性は大いに在り得ることでしょう。その現状を聞いた時に「今後長野県でりんごやブドウに替わる、気候に合った作物を模索していかないといけないのでは」という思いにかられました。
そこで、前に見たあのトリノの風景を思い出し、これからの長野の農業を担うりんごの後継者として、ヘーゼルナッツに白羽の矢を立てたのです。
私がヘーゼルナッツに長野の未来を感じたのは、今から10年ほど前、輸入商社マン時代に、今日本でも話題に上っている自店でカカオ豆からチョコレートを作り出すビーントゥバーのチョコレート製造研修のためイタリア・トリノへ出張時、雪におおわれた景色の中に、村中町中、野にも山にも見渡す限りの広大なヘーゼルナッツ畑を見ました。
その時、長野のりんごみたいじゃないかと、鳥肌が立つような感覚が全身を包み込んだのです。
奇しくも長野、トリノは共に冬期五輪開催地。
トリノを州都とするピエモンテ州は360°山に囲まれたロケーションでいつも見慣れた長野の風景とよく似ているんです。トリノの南東部約70kmの山間の地ランゲ地区はその特産地です。
「ひょっとして長野でもヘーゼルナッツ育つのではないか?」と思ったのが一番真っ先のきっかけでした。
イタリア・トリノ近郊 ピエモンテ地方で長野でのりんごのように植えられているヘーゼルナッツ達
帰国後もヘーゼルナッツへの熱は冷めることはなく、長野で育ててみたいと思いは募りましたが、私は農業の経験が全くなかったので迷っていた時期、地元古里地区帰って近所の農家さんたちと飲む場の中で、「りんごはいずれ北海道にNo.1の座は持っていかれると思う。次の作物としてヘーゼルナッツはどうだろうか?」と訊ねたのですが、「なんだ、ヘーゼルナッツって?」「マカダミアナッツなら知ってるけど、あったけえとこのもんだろ?」など否定的な意見ばかりで、手を上げて下さったのはわずか2人。
しかし、それでも諦めきれず、なら自分でやってみるしかないと思い、ヘーゼルナッツの試験栽培に着手することを決めました。当時から抱えていた持病のこともあり、会社をリタイヤし、リハビリも兼ねての挑戦でした。
まず、国内で入手できる5品種を計100本植えてみました。
・消費者に足を運んでもらうために作った直営店『つくりたて生アイスの店』
ヘーゼルナッツ栽培に本腰を入れるためには、リタイヤ後も安定した収入を得てヘーゼルナッツのために投資していく必要性を感じたため、前職で得た食品加工の技術を活かし、近隣の生産者さんたちが作る果物、野菜を加工し、ジェラートやジャムを製造販売する農産加工施設を始めることにしました。すぐに事業計画を立て、融資と退職金を使い2014年7月31日『つくりたて生アイスの店ふるフル』をオープンさせました。
開店5年目になる『つくりたて生アイスの店ふるフル』と左手奥がヘーゼルナッツ畑
弊社の畑や店舗がある長野市古里地区は特段観光資源を持っている地域ではありません。だからこそ、消費者のみなさんに足を運んでもらえる場所が必要だと思いました。
『ふるフル』はアイスのネット販売や地方発送、お取り寄せも行わず、店舗でしか食べることの出来ない、ただの一度も冷凍しない『つくりたて生アイス』を製造販売しています。通常、アイスには賞味期限はありませんが、当店では作りおきはせず、消費期限一日限りのフレッシュなアイスだけを提供しています。
他にも地元の素材だけで作る、減圧低温濃縮製法での生ジャムや、ピエモンテ産ヘーゼルナッツ100%で作るオリジナルのヘーゼルナッツ菓子の製造販売も行っています。おかげさまで各メディアにも取り上げていただくようになり、開店から5年目を迎え、長野市を中心にお客様にだんだん認知されてきている実感があります。
つくりたて生アイスの店ふるフルの住所 長野市上駒沢920 TEL: 026(251)3334
ふるフルのフェイスブック https://www.facebook.com/namaice/
ふるフル自慢のつくりたて生アイスとヘーゼルナッツ菓子たち
・高齢者や新規就農希望者にも育てやすいヘーゼルナッツ栽培が農業の現状を打破する
定植後、3年目の夏を迎えたヘーゼルナッツの木たち。もちろん無農薬・無消毒・肥料なし・水やりなし
私がヘーゼルナッツを長野で育てようと思った理由のひとつに「育てやすさ」があります。日本の農業の現状を見ると、生産者の高齢化による離農とそれによる耕作放棄地は増加の一途をたどり、逆に農業を生業とする若者は減少しています。
ヘーゼルナッツは、そんな農業の現状を打破できる作物だと思っています。まず、他の農作物と比べ病気や害虫に強く、耐寒性があります。そして、農薬・消毒・水撒きが基本的に不要なので、コスト削減と身体的な負担を軽減化する農業も実現できるでしょう。
しかも、収穫は落ちた実を拾えばいいので、台風などの天候に左右されずに収穫できるし、高所作業もない。果樹栽培では考えられないストレスフリーの作物ではないでしょうか。
ヘーゼルナッツが高齢者や新規就農希望者でも育てやすく、手間がかからない作物だということが少しご理解頂けたのではないでしょうか。
最近では、県内外から弊社の畑や農産加工施設の見学者が増え、国内でのヘーゼルナッツ栽培の機運が高まっていることを肌で感じております。
長野が先行して栽培に取り組んでいけばきっと大きな価値を生み出し、ブランド化をなせるはずです。
・最高品質と呼ばれるイタリア・ピエモンテ産ヘーゼルナッツの苗をお届けします。
整然と5m間隔で植えられたピエモンテ州ランゲ地区のヘーゼルナッツ畑の苗木
2017年9月、私はヘーゼルナッツの本場、ピエモンテの生産者さんを訪ねました。7軒の農家さんにお邪魔し、収穫の様子を見学させて頂いたり、栽培における疑問点を聞きに行予定でした。残念ながら、その年は猛暑で収穫が早まり、現場に立ち会うことはできませんでした。しかし、大きな出会いがあったのです。どの農家さんも口を揃えてお勧めしてくれた、5代続くヘーゼルナッツ専門の苗木屋さんの存在でした。
5代続くヘーゼルナッツ専門の苗木屋さんでマルコさん。彼の24歳になる息子も家業をもう手伝っています。
「きっと最高の苗木を手に入れられる。」と期待に胸を膨らませ、苗木屋さんに直接交渉をして、「日本にこの世界一美味しいといわれるヘーゼルナッツの苗木を輸入したい」とお願いし、帰国後イタリア大使館、植物防疫局、そしてイタリア州政府にもご協力をお願いし、とうとう2018年春、念願かなってイタリア・ピエモンテ産『トンダ・ジェンティーレ・デッレ・ランゲ』種の苗木を日本に初めて輸入することに成功しました。
今回は、世界一美味しいと言われる、この最高品質の苗木をみなさんにお届けします。
東京ドーム10個分以上の広さを有するマルコさん自慢のトンダ・ジェンティーレ・デッレ・ランゲの苗床
・応援メッセージをいただきました。
・夢ケーキプロジェクトを世界に広げていらっしゃる、長野を代表するお菓子屋さんの一人清水シェフがヘーゼルナッツ畑を見に来てくれました。
支援金の使いみち
世界で一番美味しいと評判のイタリア・ピエモンテ産ヘーゼルナッツ『トンダ・ジェンティーレ・デッレ・ランゲ』種2年生苗木の購入費用とそれにかかる輸出入検査、通関、運送費等の諸費用に使用させていただきます。
加えて、収穫したヘーゼルナッツを高品質でペーストにする磨砕機を新規購入する予定です。
磨砕機を導入することで、素材に与える摩擦熱を最小限に抑え、滑らかで高品質なペーストを提供する事が可能になります。
目標金額が集まりましたら、以上の費用に充当していきたいと考えておりますのでご支援宜しくお願い申し上げます。
・連絡先
株式会社フル里農産加工 農産加工所 つくりたて生アイスの店ふるフル
代表取締役 岡田浩史
長野市上駒沢920 TEL:026(251)3334 FAX:026(217)6500
フェイスブック https://www.facebook.com/namaice/