▼お礼とお知らせ
クラウドファンドに参加くださった沢山の支援者の皆様、本当にありがとうございました。4時間で目標額に達して正直驚いております。先日まで来館者の少ない展示室で落ち込んでおりました。
ご支援と同時に皆様からの励ましの言葉と、ワタリウム美術館との思い出には涙が出るほど感激、感謝です。さて何人かの方々から、リターンの大半が終了しているので、追加リターンをとのリクエストが多数あり、ここでリターン第2弾を感謝を込めて9月5日に発表。ワタリウム美術館の大黒柱と言えるヨーゼフ・ボイス、ナムジュン・パイク、詩人のアレン・ギンズバーグなどの作品が登場。ご堪能ください。
▼はじめに・ご挨拶
はじめまして、ワタリウム美術館の和多利浩一です。
日頃より、ワタリウム美術館をご愛顧いただき、ありがとうございます。
姉の恵津子と共に、東京、原宿と青山の間の外苑前というエリアにあるワタリウム美術館(ワタリウム美術館HP)を運営しています。名前の通り、私たちがオーナーであり、展覧会を作っているキュレーターでもある、ちょっとめずらしい美術館です。
▼ワタリウム美術館とは
私たちの母である故・和多利志津子と共に日本では数少ないプライベートの現代美術館・ワタリウム美術館を開館したのは1990年。以来30年間、102回の展覧会でアンディ・ウォーホルやキース・ヘリング、ナムジュン・パイク、ヨーゼフ・ボイスといった現代アートの旗手たちや若い日本のアーティスト達を紹介してきました。
「外苑前のシマシマのビル」でお馴染みのワタリウム美術館の建物は、スイスを代表する建築家、マリオ・ボッタの手によるものです。神殿のようでありながら、温かな家のような居心地の良いみんなの美術館をつくることが目標でした。ボッタが最初に考えたことは「街に豊かさを与える都市の新しい顔となるために、まず正面に大きなファサードをおく」ということでした。
「一体あなたたちは、何がしたいのか」と何度も問いかけるボッタとの対話を通し、また日本の厳しい法律や工務店の説得といった戦いを経て、設計が進んでいきました。プロジェクトは1985年にスタートし、合計13回のボッタの来日を経て、1990年にワタリウム美術館は完成しました。長年交流のあったアーティスト、ナムジュン・パイクは、「アーティストにとって自由な空間になった」と言ってくれました。
▼これまでの活動
ワタリウム美術館では、今を生きる国内外の現代アーティストを中心に、建築家や思想家など幅広いジャンルの文化を独自の視点で研究し展覧会として発表してきました。展示を深くご理解いただくための関連イベントも数多く開催、さらにシリーズ講演会「庭園倶楽部」、「鈴木大拙を体験する」や、ワークショップ子どもたちのためのワークショップ「アート・一日小学校」なども行ってきました。
いまではよく使われる「キュレーター」という言葉も、私たちが招聘した伝説のキュレーター、ハラルドゼーマンやヤン・フートの来日から日本に普及していきました。
ワタリウム美術館の活動の特徴としてもうひとつお伝えしたいのは、街に飛び出す展覧会の開催です。
国内外48名のアーティストが参加し、原宿・青山エリアの屋外に作品を展示した「水の波紋’95」展に加え、「サイバー東京ラリー」(参加者は携帯片手にクイズに答え、街に隠された作品を見つけていく)、「アートで街をやさい畑にするプロジェクト」(ワタリウム美術館から外苑前駅までの歩道の小さな土のスペースに野菜を植えた)などがありました。
アートは現代を生きるすべての人の日常に、身体に、風景に語り掛け、素晴らしい未来のヒントを与えてくれるものだという考えからこれらを実施しました。
「『展覧会とは何か』ということがいつも私を襲ってくる課題です。美術館という空間の中に、何を表現したらいいのだろうか。作品を展示しながら、アーティストという人間の概念を表現するだけでいいのでしょうか。二十一世紀への何を夢見たらいいのでしょう」
和多利志津子(『アイラブアート・現代美術の旗手12人』日本放送出版協会刊より)
▼新型コロナウイルスの影響と美術館
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2020年3月より来館者数は例年の半分以下に減少。小規模なワタリウム美術館は東京都の休業要請対象には入りませんでした。予約制という形で開館を続けましたが、実際は開館休業状態で、週末は閉館しました。開催予定だったイベントは延期(のちに中止)となりました。
対面しない新しいタイプのワークショップの開催やZINE(アーティストブック)の発売など、8月まで開催した展覧会ではアーティスト青木陵子+伊藤存が工夫をこらしてくれました。またオンラインで過去のイベントの映像を配信する「映像アーカイブ」をスタートするなど、なんとか運営を続けてきました。
しかし、再び東京都の感染者数は増加し、収束の道は見えず、状況は長期化しています。
日本の美術館の多くが国や自治体からの公費により運営されている一方、ワタリウム美術館はノー・スポンサーの個人経営のためチケット収入が主な財源であり、来館者数の減少は、美術館の今後を左右する危機的な状況を招いています。
展覧会をつくるには、国内外からのアーティストの招致・滞在費、作品輸送費などに膨大な費用がかかります。展覧会の設営では、美術館スタッフの人件費、また維持費にも多くの費用が必要なのです。
▼皆様からいたいただく支援の使い道
新型コロナ感染拡大はワタリウム美術館の大幅な収益悪化につながり、今後の持続運営が難しい事態を引き起こしています。
皆様のご支援は美術館の運営に本当に必要な下記の運営経費として活用させていただきます。
1)今後の展覧会「生きている東京展」(2020/9/5-2021/1/30)「水の波紋2021展」(2021/2/6-5/31)の制作費(作品輸送費、展示作業日、印刷物作成費、作品保険料など)
2)美術館の運営費(受付人件費、会場運営人件費、光熱水費、通信費など)
3)ワタリウム映像アーカイブのための映像デジタル化・編集費・配信費用。ワタリウム美術館映像アーカイブ
▼関係者コメント
ミュゼアムをミュゼアムとして生かすことに生涯を賭けた人がいる。腰のひけたはずの人が、絶大なファンになってしまうマジックのようなミュゼアムがある ―磯崎新(建築家)
これほど独特の美術館が、あんな大胆な実験をし続けて、こんなに愛されてきたなんて、東京文化の奇跡というべきだ。 ―松岡正剛(編集工学研究所所長)
▼リターンについて
多くの方に支援いただきたいという願いから、ひとつの金額につき、2種類のコースを設けました。
〈応援コース〉は、美術館の応援を主にご参加いただくもので、お礼のメッセージと応援者としてお名前の掲載、そして美術館のチケット(2021年末まで有効)がリターンとなります。
〈アート提供コース〉は、ワタリウム美術館のチケット(2021年末まで有効)に加え、アート商品、そして貴重なアート作品を提供させていただくものです。他では手に入らないものをセレクトしました。
▼最後に
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
2020年3月、ドイツのメルケル首相は、「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ。特に今は」と語り、芸術支援を最優先事項としました。このような混乱の中、アーティストの自由な言葉や行動、そして作品が、私たちの視点を変え、勇気を与え、自分も何かをやってみようという気持ちをくれるのです。
例として、フランスの現代アーティストJRの言葉を挙げましょう。
ーーアートは世界を変えられるのか? 一年ではたぶん無理だろう。でも、アートで人生を変えられるか? 今年僕が見てきた限り、答えはイエスだよ。
ーープロジェクトに参加すること、それこそがアートだ。
コメント
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