プロジェクトを始めようと思ったきっかけ

 私は、福井県越前市で料亭「おりょうり京町萬谷」を営んでおります。萬谷は、昭和25年頃、越前市にて私の曽祖父母が終戦頃に始めた旅館が前身です。その後、私の父が1991年に現在の「おりょうり京町萬谷」を旅館の隣に開業しました。萬谷は福井県の食材を使った地産地消の和懐石料理をご提供し、料理だけでなく店内のしつらえや食器などに福井県の伝統工芸を取り入れ食と文化を楽しんで頂けるお店です。私も日々厨房に入り、料理人としてお客様にお料理をご提供しております。

 しかし、近年、時代の変化によって「食」に対する価値観の多様化し、お客様のニーズも少しずつ変化していることを感じるようになりました。そこで、我々もの懐石料理に変化を求めるようになりました。これまでつちかってきた絶対的な和の技術を軸に、フレンチなどの技法や盛り付けを取り入れるようになりました。

  この経験を通して、和食やフレンチ、中華といった食文化の垣根を越えて、新しい料理を追求することは非常にやりがいのあることだと感じるようになりました。そして、和食の可能性をさらに広げることができると考えるようになりました。また伝統工芸にしても生活にまつわるものが県内に多く点在しており、食を通す事で魅力をより伝える事が出来ると考え、今年、料亭オーベルジュとして宿泊施設を新たにリニューアルしました。そして、萬谷の料理を食べる事を目的に、県外からもお客様が来ていただけるような店づくりを目標に頑張ろうとしていました。 

 

 そんな矢先に始まったのが、昨今の新型コロナウィルスでした。コロナの感染状況に一喜一憂し、外出自粛と自粛疲れを繰り返す日々が続きました。この状況に、県外のお客様はおろか常連のお客様もご来店の機会が減り、予約されてもキャンセルされたり宴席や接待の数が激減したりと業績は悪化していきました。 新しい料理を多くの方に召しかがっていただくという目標からどんどん遠ざかっていきました。

多くの方に萬谷の変化を知ってもらいたい!

 ワクチン接種の広まりにより、世の中の雰囲気も少しづつ前向きになってきました。弊社では、徹底した感染症対策行うなかで、少人数でのご来店が少しずつある状況です。まだまだコロナ前の状況とは遠く離れております。

 萬谷のお料理は、基本的に月毎にメニューを変更しております。常に旬の料理をお出しするために行っておりましたが、コロナ禍の今、逆にほとんどのお客様に召し上がっていただけないまま次の料理に変わってしまうのが状況です。そのことが、大変残念に思っております。常連で来ていただいていたお客様や萬谷のことを知らないお客様に、ぜひ今のお料理を召し上がっていただきたいと思います。きっと変化に驚き、満足していただけると思います。このプロジェクトを成功させ、ぜひ多くのお客様にご来店していただきたいと考えております。

萬谷の変化① お料理

 萬谷ではこれまで京料理のように一品ずつ和の懐石をコースで提供するスタイルで営業して参りました。コースでの提供は変わりませんが、これまでの和の技術を活かしつつフレンチなど海外の食文化も取り入れながら料理のことを考えるガストロノミースタイルがこれからの萬谷の目指す美食です。現在の萬谷のお料理はガストロノミーを表すべく日々研究を重ねています。毎月コースメニューが変わる中でガストロノミーの”おりょうり”を提供したいと思っています。また最近では、お昼限定で海鮮丼の提供も始めました。こちらもガストロノミーの考えを取り入れたおりょうりになっております。

ヌーベルキュイジーヌ丼

萬谷の変化② 外観

 寺町通に面した萬谷の風情は、まさにここにしかない景観です。その中に今年、宿泊施設の開業に合わせて板塀や門をしつらえました。通りの奥に建つ引接寺の山門や萬谷から見える妙国寺の鐘、夜になると灯る灯籠など一度見て欲しい景観がここにはあります。

 石畳と灯篭が風情な寺町通りお店の前に新しく建てた門

お店から見える寺社仏閣

一度見てほしい景観です。

この越前市の一画をもっと広めていきたい、萬谷に入らなくても訪れてみたいと思ってほしい、寺町はそんな場所です。皆さまが来る目的地になる、そんな思いを胸にこのプロジェクトを立ち上げました。

萬谷の変化③ おもてなし

 県内外のお客様に萬谷のお料理を召し上がっていただくため、2021年4月に宿泊施設を開業いたしました。全3部屋ご用意しております。旅行の目的として、福井県をそして萬谷を選んでいただきたいと思っております。宿泊業にいたしましても、なかなか経営が厳しいのが現状です。このプロジェクトを通して、多くの方に「泊まれる料亭」=「料亭オーベルジュ」としての一面を知って頂きたいと思っております。

Zenのお部屋

Koshiのお部屋

一棟貸しの別邸

別邸の中には、薪ストーブもあります。

福井市の姉妹店「京町家萬會」でも萬谷の料理をお出ししたい!

 福井の美食を広める手段の一つとして、福井市にある姉妹店「京町家萬會」のリニューアルを計画しております。お料理に関して、萬會ではこれまでお昼はお手軽な懐石ランチ、夜は一品料理を中心に営業を行ってきました。ですがこのリニューアルを機に、萬谷の技術を落とし込み、より質の高いお料理を萬會でご提供していきたいと考えております。福井県の中心である福井市でも、萬谷の技術・想いがこもったお料理を出すことで、より目標の達成に近づけると考えております。

お手軽な懐石料理から

萬谷の技術を落とし込んだワンランク上の懐石コースへ
最後に

 萬谷では、ウェディング部門も行っております。コロナ化で団体様のご利用はなくなりましたが、少人数での結婚式が静かに執り行われています。「おそんじゃさん」こと総社大神宮を使った神前式と萬谷での料亭婚も今春、多く行われました。コロナにより一部延期などもありましたが、ご親族だけによる式、披露宴に萬谷の料亭婚は最適の形をご提案できたのではないかと思っています。

 さらに、今年の新たな取り組みとしておりょうりとお酒のマリアージュも始めたいと思っています。コースのおりょうりに合うワイン、日本酒を酒屋さんの教えてもらい、一緒に試飲、試食を行いながら剪定を行っている所です。こちらもぜひ皆さまに体験して欲しい内容です。

 このように、弊社では、皆さんに知って頂きたいことが本当にたくさんあります。このプロジェクトを通して、ぜひその想いを伝えたいと思っております。

 どんな商売でもそうですが、お客様が来続ける限りはつぶれることは無いでしょう。しかしコロナによりそれが一変しました。行きたくても行けない、外に出られない。行動を制限され常に感染を気にしながらの生活になりました。ただこの状況は私達の事をもう一度考え直すきっかけになりました。今までなぜお客様は来てくれていたのだろう。お客様に提供していたのは何だったのだろう。そう考えるときに出てきたのがこのプロジェクトです。福井には古くから伝わる食文化や伝統産業が数多くあります。その中で育まれた料理や風情こそ「私達がつくるこれなんだ!」と自信をもって発信していきたいと思います。

プロジェクトで実現したいこと

・萬谷の変化を県内外へPRする動画の製作とテレビCMでの配信 

・福井市の姉妹店「京町家萬會」のリニューアル




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