【その日ならではの味をつくる飲食店「eatreat.」】
こんにちは、三軒茶屋で「eatreat.CHAYA(イートリートチャヤ)」というスパイスカレーとチャイの店を営んでいる小林静香と申します。eatreat.では、食べる人が安心し・温かくなり・満たされることを意識して、日々の季節の移ろいを細やかに感じながら料理を作っています。

カレーのメニューは、ベジ(野菜と穀物のみ)とノンベジ(肉や魚介)、そしてインドやスリランカの家庭の味をアレンジした3種類のお惣菜で構成するワンプレート。ちょっと変わっているのは、「毎日レシピが変わる」ということでしょうか。

「いつ行っても同じ味を楽しめる」ように、シェフが考え抜いて作ったレシピに再現性をもたせるのが一般的でしょう。でも、わたしは毎日ささやかなレシピの調整をしています。例えば、メニュー表記は同じ「ビーツのカレー」でも、使うスパイスや添えるお惣菜、そして全体を混ぜ合わせた時の味わいのために酸味や辛味などを調整します。


【からだの調子は、環境や食事によって揺れ動く】

では、なぜ調整するのか?

eatreat.のカレーは、アーユルヴェーダという「健康を保つこと」「病気の鎮静」を主な目的とするインド発祥の伝承医療にもとづいた料理です。

人のからだの調子は、環境や毎日の食事によって想像以上に大きく揺れ動くため、毎日の気候の変化に合わせていく必要があります。そのためわたしは、毎朝空を観て、天気予報士の話を聞き、お客さまは今日どんな気持ちでお店を訪れるか? と想像しながら、「その日お店に来る人」のからだを整えるレシピを考えています

料理はどれもシンプルですが、お客さまからは「サウナ後みたいに、温かくなってすっきりする」「心身に沁み入る」と言われることが増えました。お店を出る時には、冷えがなくなり、顔色が明るくなり、眼に輝きが戻った方もたくさんいます。

わたしは、「料理が作りたい」という思いの前に、「自分のからだ特有のリズムを知る」ことの感動を形にしたい、という思いからeatreat.の活動をスタートしています。その感動の表現のひとつが料理であり、今回のクラウドファンディングでは、新たに「本」でその表現に挑みます


【400名以上のお客さまとの対話に基づく本づくり】
私は店舗での料理提供と並行して、アーユルヴェーダを基にしたパーソナル・セッション(カウンセリング)を月10件ほど行っています。お客さまに料理を作ることと同じくらい、一対一で個人のからだと心の声を聴くことを重んじています。

eatreat.のセッションは、お客さまの相談を聞いたうえで、アーユルヴェーダに基づいた食生活習慣の問診を行い、治癒に向けたアドバイスを行います。

普段人に話さないパーソナルな話を私に話すことで、長年の不調の原因が、絡まった糸をほぐす糸口を見つけるように分かり安心する、というのは、お客さまにとってひとつの波の乗り方ともいえると思います。これまで約400名の波乗りの物語、ないしは波に乗りたくてもうまく乗れない悩みを聞いてきました。今回の本づくりでは、彼・彼女らの話も心のなかで携えながら、大切に物語を紡いでいきたいと思います。

今回制作する本のテーマは、「からだの波に乗る」

多くの人は、「なんだか最近調子が悪いな」という経験があるかと思います。一方、調子の良いときだってあるでしょう。あがったりさがったり、人は「自分自身の波乗り」をしているのだと思います。わたしは、かつて経験した「自分のからだ特有のリズム」を知り、それにうまく乗れたときの感動を忘れることができません。

わたしは「人のからだが良くなるように料理を作りたい」と考え料理の世界に入りました。しかし、もともとからだがそれほど丈夫でない自分がガタを崩し、アナフィラキシーショックを起こすほどの食物アレルギーを発症しました。

そこで自分を立て直そうと食養生の源流を遡って出会ったのが、世界最古の代替医療アーユルヴェーダです。アーユルヴェーダはサンスクリット語で「Ayus=生命、Veda=科学」を意味していて、「自分の波を知り、それにうまく乗るための知恵」といえます。

eatreat.は、その知恵をもとに「料理」「セッション(カウンセリング)」「スパイスティー」などさまざまな手法で「波乗り」のサポートをしてきました。今回は、その手法を「本」でも展開します。本は、わたしにとって薬であり、友人であり、まさに波乗りを支えてくれたものだからです。

幼い頃、畳に寝転がり、自分の身長の1/3ほどの大きな図鑑をバサバサと開いたひと時や、元気が出なくても一冊の詩集をポケットに入れて外に出かけた学生時代。時代設定も国も違う物語に感じた「まるで自分の話をしているのではないか」という驚きと感動は、転んだ時にも自分で自分をケアし、また元の心地よいリズムを取り戻す支えになりました。

表現や物語は、人が生きる過程で少なからず得る傷を客観視することを助け、自分にとっての心地よさを教えてくれることがある。本に限らず、演劇、ダンス、映画、音楽、アニメ、漫画などの表現を通じて「癒された」「支えられた」経験がある方は身に覚えがあるかと思います。それは「誰かに傷をケア“してもらう”」のではなく、自分で自分の状態を把握して、「自分で自分をケア“する”」という「あたらしいケア」の形だと思うのです。

eatreat.は、料理やお茶・セッションを通じて「ケアの仕方」を提供するブランドです。ですが、わたし自身が目指す理想のケアはわたしとお客さまの「する/される」ではなく、eatreat.との関わりのなかでお客さま自身が「自分で治癒するきっかけや力を育む」こと。それが、今回のテーマである「自分のからだの波に乗る」ということ。

きっと、月経のある女性や、花粉症など慢性的な不調をもつ人は、自分なりに調子を崩すタイミングや、逆に調子がいい時の特徴に気づき、その付き合い方に気づいた経験をもつ方は少なくないと思います。ともすれば「ケアする/ケアされる」の二元論的な関係性に陥りがちなケアの世界において、わたしは「自分の力で波を乗りこなすこと」を「本」という形で表現することで、あたらしいケアの形を伝えたいのです。

制作する本は、2つの時間が同時に流れる、写真とレシピと詩のグラフィックブックです。

ひとつは一年という〈季節の時間〉。もうひとつは、一生という〈いのちの時間〉。そんな2つのタイムスパンを、かたやイラストで、かたや写真で描き、エッセイやレシピ、散文詩でつなぎます。

ちょっと専門的な話をします。

アーユルヴェーダでは、世の中にあるすべての生き物に「ドーシャ」という「生命エネルギー、体質」があるという考え方があります。わたしにも、これを読んでいるあなたももちろん、犬や猫といった動物、時間や季節にもそれぞれドーシャはあります。

今回の本は、このドーシャを軸に「からだの波に乗る」ための知恵を物語にのせて展開し、〈季節の時間〉と〈いのちの時間〉を3つに区切った3編構成です。

■はじまり編〈厳冬〜春〉
■変わる編〈初夏〜秋〉
■自由になる編〈初冬〜厳冬〉

描きたいのは「ひとが旅をして、海や森、里を歩き、食事をし、たまに転び、傷を再生し、そのうち心地の良いリズムをつかみ自由を得る」という流転の様子。
eatreat.の料理の写真と、そのレシピがつくられる過程を語るエッセイで綴ります。それと並行して、旅するひとの変化や一生をモチーフに描いたイラストと言葉の絵本のような短篇もおさめる予定です。

この本は、ケアされる物語ではなく、自分で自分をケアする物語。

調子がいい状態――つまり健康とは、完璧な理想をこなすものではなく、自分と折り合いをつけてその時々にとって適切なバランスを保つことだと思います。人のからだのバランスは、長く生きていくにつれて環境に影響され、変化します。一度は「これで行こう」と自分の心地のいいペースを得ても、また転ぶ日も来るかもしれない。

そんな日にも、この本を手に取ることでまた自分の心地のいい波に戻ることをサポートしたい。「自分のからだの波・リズムを知りたい」「自分のからだを乗りこなしたい」という方に、そっと寄り添う一冊を目指します。


コロナ禍を経て、誰もが「心身の調律」について考えざるを得なくなったのではないでしょうか。毎日食べる食べ物、暮らす場所、これからの働き方。一つ一つを選択するにあたって「何が自分にとって幸せで、健康でいられるか」を考えたと思います。

この本はそうした「自分にとっての健康、幸せ」を自分自身の力で考え、溢れる健康情報に振り回されず「“自分”に合った術」を知りたいと願う人にお届けしたいと考えています。

公私ともに親しくさせていただいている友人・先輩方から応援メッセージを頂戴しました。愛を込めてたくさん書いていただいたので、メッセージ全文は追って報告レポートに掲載させていただきます。こちらではお名前と肩書きのみご紹介します。(50音順、敬称略)

ao(瞑想講師)/青木満(漢満堂 代表 薬剤師・鍼灸師)/伊藤修司(Tagiru.Ayurveda Resortオーナー)/稲葉俊郎(医師、医学博士)/エナ(Studiomonk主宰)/太田江美(SENN PR)/岡本典子(フラワーアーティスト)/影山桐子(ウィメンズヘルス編集長)/ケイ(Studiomonkマネージャー)/齋藤紘良(作曲家・しぜんの国保育園理事長)/園田麻里子(SHIRO&Ayurveda. セラピスト)/千田弘和(三茶WORK共同代表)/若松由貴子(ヨガインストラクター)

eatreat.の飲食店は、東京・三軒茶屋にあるローカルなコワーキングスペース「三茶WORK」の玄関口にあります。三茶WORKは、三茶に暮らし働く人たちにとって、このまちでの暮らしが豊かに楽しくなるように仲間を募りつくった場で、私もその立ち上げメンバーのひとりです。

三茶WORKのメンバーたち

この三茶WORKで私は本当にさまざまな仲間に恵まれました。ローカルを大切にしていたり、フリーランスで活躍する人も多いのですが、「個人の幸せを一生懸命追求」しながら「仲間の幸せを願う」人ばかりです。ここでの出会いを尊重し、本を作るにあたって「自分たちが作りたい本を作る」という気持ちに賛同するメンバーと、ジャズセッションをするような気持ちで臨んでいきます。

・小林静香(プロジェクト発起人、著者)eatreat.主宰 https://eatreat-foodremedies.com/
・土屋勇太(アートディレクション、デザイン)(株)豊作工舎 代表。ブランディングデザイナー、アートディレクター Instagram: @tsuchiya_yuta117
・伊藤眸(イラスト)イラストレーター https://hitomiito.com/
・藤原章次(印刷)藤原印刷の後継ぎ Instagram: @fujihara_jr
・原口さとみ(編集)フリーランス編集者

※プロジェクトチームには、とても素敵な写真家の方も参加いただいていますが、現時点では公表することが難しくお名前を伏せています。発表をどうぞお楽しみに!

写真とレシピと詩のグラフィックブック『からだのなみにのるレシピ』の出版を実現するにあたり、見込まれる費用は以下の通りです。

・印刷・製本 280万円
・イラスト・デザイン 285万円
・編集・執筆 160万円
・撮影 60万円
・梱包、送料 5万円
・書籍以外のリターンアイテム経費 22万円

計812万円

eatreat.は、料理教室やセッションも営みつつも、まちの小さなスパイスカフェです。今回の挑戦の実現には、1年というめぐる季節の時間だけでなく、写真やデザインやイラスト、そして世界観を支える紙やインクと技術といったプロフェッショナルの力が必要です。日々の売上以上の費用を要するため、クラウドファンディングで、少しでもこの制作費を集めたいと考えています。

季節を表現するために、旬の食材を使い、季節の光をとらえながら写真を撮り、【2022年4月〜2023年3月】の約1年かけて心をこめてつくります。完成まで少しお待たせすることになりますが、制作の様子はクラウドファンディングの報告レポートやeatreat.のInstagramなどを通じて細やかにお知らせいたします。一年という時を共に過ごす気持ちでご覧いただけたら幸いです。


※本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

  • 2023/01/03 13:52

    「このチケットを買ってくれたら日本全国どこでも行きます!」と書いて掲載したら一番人気だった出張料理リターン。2枚買ってくださった遠山さん、ありがとうございます。1枚は2023春の河口湖で行うスペシャルな出張料理に充てることにして、その前に北軽井沢の遠山邸にて撮影も兼ねた出張料理に伺うことになり...

  • 2023/01/03 08:48

    この本の制作をスタートすることになってすぐ、まさかの三茶での間借り営業を終了することになり、2022年は本づくりをしながらお店づくりもしました。この一年を振り返って何が一番辛かったかって...このテナント探しです!三茶で繋がったお客さまが来やすいようにと世田谷区内を第一候補で探しましたが、なか...

  • 2022/08/07 18:00

    「このチケットを購入いただいたら日本全国どこでも行って5名さま分のコース料理作ります」と記してのせた「出張料理リターン」チケット。リターンの中でも一番早く売り切れたのですが、その一枚を北海道札幌在住の梶沼さんが買ってくれました^^梶沼さんはeatreat.が間借りで入っていた三茶WORKの立ち...

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