このプロジェクトの趣旨

◆ピッケノハコとは
おおむね10代~20代の方が日中自由に過ごせる居場所です。

◆なぜ居場所が必要なのか
困ったときに「相談してもいいんだ」と思ってもらえるよう、日ごろから居場所で一緒に過ごすことで、信頼関係を築いていきたいと思っています。

◆運営上の課題
現在公的な補助はなく、寄付金や民間の助成金などを活用した運営となっており、今後もスタッフの安定的な確保に係る財源の確保が課題となっています。


☆応援メッセージをいただきました①
 <前札幌市長 弁護士 上田文雄さん>

NPO法人CAN
 クラウド・ファンディングの成功を願い
                               弁護士 上田文雄

 人に決して優しくない現代社会において、誰でも人は傷つき悩み落ち込み、今を生きる力を模索しながら、ひと時身と心を休める場所を求めることがある。そんなとき、誰に咎められることもなく、ただひたすら温かい目で迎えてくれる身の置き場が必要とされる。だまって、自律のエネルギーが自然と湧きあがるまで、見守り支えてくれるスタッフがそこにいる。そこに行きさえすれば、素の自分と向き合える場が「ピッケノハコ」。私達が住むこの地域で、様々な困難を抱える人々を支え合う活動が安定的に継続可能となるためには、多くの善意の賛同者が必要です。これまでも活動資金確保のため様々な工夫をしてきたが、より広く協賛を求めるため、クラウド・ファンディングを開設するという。従来「寄付」は「取られる」という概念と深く結びついていたように思うが、「寄付」の本来は「活動への参加」である。NPO法人CANの傷ついた子ども達や女性ら、社会の軋轢の中で生き辛らさからの解放を求める人々を支える活動に、多くの市民が深い理解と協賛の意思をもって、クラウド・ファンディングへの参加をされますよう、期待致します。



◆猫のいる居場所 ピッケノハコとは

 札幌市豊平区にあるアパートの一室が、ピッケノハコです。

 おおむね10代から20代くらいの方が、家にいたくないな、誰かと話したいな、なんだかモヤモヤするな…と感じる時にきてもらえるよう、基本的に事前予約なしでこられる日中の居場所です。

 ピッケとは、この居場所にいる猫(スタッフの飼い猫さん)の名前です。ピッケが箱に入ると安心して一休みしている様子から、居場所の名前をピッケノハコと名付けました。
猫のピッケ (2才)

 ピッケノハコは2020年にスタートし、これまでにメディア(NHK『北海道道』、北海道新聞、毎日新聞 等)にも取り上げていただくなど、少しずつ知っていただく機会も増えてきました。


 <ピッケノハコでは、こんなやりとりがあります>
 ・ひとり暮らしのAさん。ひとりご飯は味気なく、食欲もわきません。経済的にも余裕がないので、ついカップ麺やお菓子ばかりを食べてしまうとのこと。時々、「野菜を食べたいです」と栄養補給をしにきてくれます。

利用者さんご希望のおいなりさん
 ・高校2年生のBさん。進路について悩んでいて、親や先生以外の話も聞きたいと思っています。また家に自室がなく、落ち着いて勉強できるスペースがありません。ピッケノハコに学校の課題を持って来てくれて、わからないところは他の利用者さんから教えてもらっています。

 ・20才のCさん。半同棲状態のパートナーからの束縛がひどいそうです。地元を離れているので、身近に相談できる友達もいません。パートナーに変わってほしくて相談窓口に言うと、「別れなさい」と言われてしまったけど…。ピッケノハコにきてほっと一息つきながら、スタッフに悩みをこぼしています。


 ・動物好きのDさん。特に猫が大好きだけど、自分の家では動物を飼えません。ピッケに会えるとすごく嬉しそうになでたり遊んだり。帰り際、「またピッケに会いに来てね」とスタッフが声をかけます。

ボードゲームをしたり、本を読んだり


◆どうして居場所が必要なのか

🐈人間関係の”つながり”の乏しい人ほど、自分のことを誰にも相談できない

 わたしたちNPO法人CAN(以下CANとします)はこれまでの活動を通して、様々な生きづらさを抱えながら日々を過ごされている若い方々とたくさん出会ってきました。CANが出会ってきた方々のことを考えると、
 「誰かに自分のことを相談できる」には、

 小さいころから
 人間関係の“つながり”の中の誰かに
 無条件に愛情を寄せられてきた


 ということが必要だと感じています。
 人間関係の“つながり”とは、人によって家庭であったり、友人関係であったり、職場や学校であったり地域であったり様々だと思います。しかし、CANが支援させていただいてきた若い方々は

 保護者やまわりの大人からの虐待
 地域からの孤立
 差別や偏見

 
 といった要因から、その”つながり”を形成できないまま子ども時代を過ごしてきた方がほとんどです。そのため、年齢的には思春期や成人となっても、自分の力だけで新たな“つながり”を形成していくことは大変難しく、生活の中で困ったことがあっても、誰にも相談できない状態にあります。さらに、子どもの頃から自分のことを誰かに受けとめてもらえた経験が極端に少ないので、はたから見れば明らかに困っているような状況でも、そもそも自分が困っている状態だと認識できない方が多いように感じています。


🐈なぜ居場所なのか

 わたしたちが相談「窓口」ではなく居場所という形をとっているのは、人間関係の“つながり”が乏しく、困りごとを誰にも相談できない状態の方が、
「この人なら自分の気持ちをわかってくれる」
「ここなら自分の悩みを言っても大丈夫」
 
と思えるようになるとしても、それはとても時間がかかることであり、気長なお付き合いが必要だと感じているからです。

 日ごろから気軽に立ち寄れる居場所としてピッケノハコを利用してもらい、となりに座って一緒に過ごす相手としてスタッフとなにげない会話をしていく中で、「自分のことを相談してもいいんだ」と少しずつでも思ってもらえるような関係性を築いていきたいと思っています。
 そして、その方に望んでいただける限り気長なお付き合いを続け、その方の“つながり”の一つとなって、また他の“つながり”を一つでも増やしていけるようなお手伝いができたら、と考えています。

居場所「ピッケノハコ」の役割イメージ


 また、札幌市が2020年度に行った「札幌市若年期の女性を対象とした支援団体に関する実態調査」からも、若い女性で家庭や学校、職場でのことを誰にも相談できていない方が多くいるという現状が明らかになりました。そしてこの調査から、悩みや困りごとがあっても、既存の相談窓口に相談している人の割合はとても低いこともわかりました。
(今回は女性に限定した調査ではありますが。)

 わたしたちの目指すところは、10代から20代の子どもや若者にとっての「よろずや」です。〇〇な人用の相談窓口ではなく、なにに困っているのかわからなくても、どうしてほしいのかよくわからなくても、とりあえず話をしてみたいと思ってもらえる場となるよう、心がけています。

 困ったとき、となりにいるよ


◆ピッケノハコを運営しているNPO法人CANについて

CANの活動については、当法人のホームページやSNS等でも発信しています。

NPO法人CANのホームページはこちら🐾


🐈CANのあゆみ

2004年4月 子ども自立支援グループCANとして電話相談を始める
2009年3月 NPO法人設立
2010年4月 自立援助ホーム事業開始「シーズ南平岸」
2019年3月 「シーズ南平岸」の運営を社会福祉法人に移譲
2020年3月 札幌市豊平区にあるマンションの一室を契約し、事務所を構える。
2020年9月 猫のいる居場所「ピッケノハコ」オープン
2021年8月 札幌市「困難を抱える若年女性支援事業LiNK」開始、再委託先となりその事業にも携わる


 わたしたちCANは、2010年に札幌市豊平区で自立援助ホーム事業を開始し、2019年3月まで9年間ホームを運営してきました。自立援助ホームとは、家庭が子どもの養育にふさわしい環境ではない10代後半の若者が自立の準備をする場所であり、社会的養護*の一形態です。

 そして自立援助ホームの多くは、退居したあとも本人が望む限りは関係を断ちません。CANでも、ホームを運営しながら、ホームを出て地域社会での生活を営みはじめた方々の支援も行ってきました。

 2019年より、自立援助ホームの運営を他の社会福祉法人に移譲しましたが、その後もホームを出た方々とのやりとりや支援を継続しています。嬉しいことがあったとき、またちょっと困ったなというとき、話を聞いてほしいとスタッフに電話してくださいます。ピッケノハコができてからは、スタッフに相談したいときや一休みしたいときに立ち寄っていただいています。

 

 ※社会的養護とは…保護者のない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことです。
社会的養護は、「子どもの最善の利益のために」と「社会全体で子どもを育む」を理念として行われています。(厚労省ホームページより抜粋)

🐈現在の主な活動内容

 CANではピッケノハコの運営と並行して、以下のような支援も行っています。
 

*電話、SNSによる相談
 電話と公式LINEでの相談も受けています。いきなりピッケノハコに行くのはハードルが高いと感じている方でも、LINEのやりとりでつながっているうちに、「ピッケノハコに行ってみたい」と言ってくださる方もいます。

*ピッケノハコ利用者、社会的養護出身者等への伴走支援
 ピッケノハコの利用者やSNSなどでつながった方について、ご本人の希望があれば病院や役所などでの諸手続きにも同行させていただいています。また、自立援助ホームをやっていた頃からお付き合いを続けている方への対応や、社会的養護に関わる方から相談を受け、様々なお手伝いをさせていただくこともあります。

<実際にお手伝いさせていただいた例>

 Eさんは初めてのひとり暮らし。公共料金の支払い方法がわからず、使用量や料金の通知書を見ても、見方がわからず不安になってしまいました。「一緒に見てもらえませんか」と紙をもってきてくれて、スタッフが一緒に確認し、やるべきことがわかると安心できたようです。



「誰かにおめでとうって言ってほしくて」
ケーキを囲んで一緒にお祝いさせていただくことも。


<2021年4月~12月の利用件数(延べ)>
ピッケノハコ利用者 463人
電話、SNS等での相談件数 970件 
同行支援 110件


◆運営上の課題

🐈急なSOSに応えたい…想定外のことが起こる毎日

 ピッケノハコをオープンしてから1年が過ぎ、様々な方に利用していただくようになりました。利用についてはできる限り利用者の方のペースに合わせたいと考えているので、ピッケノハコは基本的に事前予約が必要ない場所にしています。その日どのくらいの方が利用してくださるかも、その日その時次第になるため、毎日必ずスタッフがピッケノハコで待機しています。

 また少しずつ存在を知っていただく機会も増えてきた中で、「病院の受診へ同行してほしい」、「〇〇の手続きがよくわからないから、手伝ってほしい」と相談してくれることも多くなってきました。誰かにSOSを発信することが元々得意ではない方が多いので、CANを必要としてくれてそれを発信してくれた時にはできる限りその場で対応しています。

 実際にあった一日を下の表にしてみました。

 この中で、前の日までに予定が入っていたのは「Aさんの病院同行」のみです。そのほかは、すべて当日に突然連絡がきたり、同行することによって生じた事柄に対応させていただいたことでした。LINE相談のやり取りは一回きりではなく、スタッフたちは頭を寄せ合って対応を考えながら、最初のLINEが来てから相談者の方が何らかの納得を得て終結するまで、数時間かかることもあります。

 一つ一つはささやかなお手伝いでも、積み重ねると結構な労力が必要になり、一日があっという間に過ぎていく日々です。ピッケノハコをいつも変わらず開けておくためのスタッフも確保しつつ、急な発信に対応できる人手が必要になるので、昨年秋にはスタッフの増員も行いました。


🐈居場所「ピッケノハコ」を継続していくために…

 ピッケノハコの利用やその他同行支援などについては、利用者の方へ無料で提供しているものであり、利用のハードルを上げたくないという理由から、今後も利用者の方からお金をとって運営するということは想定していません。
 ピッケノハコの開設とこれまでの運営資金については、法人の会費や寄付金、民間の助成金等を活用してなんとかやりくりしてきましたが、ピッケノハコの利用の幅も広がってきており、今後もスタッフの安定的な確保のための財源確保が課題となっています。

 わたしたちの活動は一見とても地味であり、どの程度需要があるものなのか理解されがたい面もあるため、行政からも財政的な補助が出ていないのが現状です。コロナ禍となり、若い人たちの孤立や貧困についてもメディアで取り上げられる機会も増えてきてはいるように思いますが、今後も引き続きこのような居場所や伴走者の重要性について伝えていくことが必要だと感じています。

 


☆応援メッセージをいただきました② 
 <アフターケア相談所ゆずりは さん>


東京で、CANさんと同じような事業を行っている、「アフターケア相談所ゆずりは」です。

児童養護施設や自立援助ホームなどの社会的養護を経験した人や、そういったところで暮らしたことはないけれど、家族とうまくいかない、居場所がない、頼る人がいないという方たちからの相談を受けたり、週に1度サロンという場所を開いたり、みんなで一緒にジャムを作る工房を運営したりしています。

ピッケノハコには去年、スタッフが札幌出張の時に寄らせていただき、猫のピッケくんにも出迎えていただきました。毎日出勤していると聞いてびっくりしましたが、動物がそこにいる安心感、温かさも感じました。

困っていても、すぐに相談はできない。でも、「ピッケに会いにきた」と言いながら通い続けることが、安心の関係を育むことがあるかもしれません。
その人のタイミングや気持ち、つまりその人自身を大切にするからこそ、支援の押し付けや拙速な解決ではない、隣にいる、一緒に考えるという支援を、CANさんは大切にするのだろうなと感じます。

少し距離のある場所からの応援となりますが、北の大地の頼れる仲間として、エールを送ります。

 

※現在は猫がいる日といない日があります。



◆資金の使い道

ピッケノハコの維持にかかる経費としては

・家賃、水道光熱費
・通信費
・食材費
・日用品費
・その他雑費 

などありますが、なにより活動継続のための人件費の確保が喫緊の課題となっています。

目標金額 1,200,000円
人件費約 1,081,200円(非常勤職員の約1年分の賃金を想定しています)
手数料    118,800 円 (9%+税)

 今回のプロジェクトは、すでに当法人が実施している事業の継続のために、ご支援いただきたいというものです。これまで活動資金について、当法人の会費・賛助会費や寄付、民間の助成金を活用して賄ってきましたが、需要が増えるにつれて利用の仕方や相談内容も多岐に渡っており、今後もさらなる需要の拡大が予想されます。

 これまで活動の周知としては、セミナー等でお話しさせていただく機会をいただいた際、話を聞いて興味を持ってくださった方が、その後当法人の会員になってくださるということも多くありました。また、ピッケノハコができてからはより幅広い世代に活動を周知するため、SNSを使っての周知も行ってきました。今回のプロジェクト実施するにあたり、より様々な背景をもつ方々にも、わたしたちのような取り組みをしているということを知っていただくきっかけという意味も込めて、チャレンジさせていただきたいと思っております。
 今後の活動継続のためにも、何卒ご支援のほどよろしくお願いいたします。

 

◆リターンについて

 活動の性質上、リターンとして提供できる商品などはありません。
ご支援いただいた方へは
①感謝の気持ちを込めてメッセージカードを送らせていただきます。
②活動報告としてニュースレターをお送りいたします。
 (2022年7月に一度、郵送にて送らせていただきます。)
③ご希望の方に限り、当法人のホームページのブログとニュースレターにて氏名を掲載させていただきます。ご希望の場合は、備考欄に掲載希望の名前を必ずご記入ください。名前の掲載を希望されない方はその旨を備考欄にご記入ください。
(ブログ最低掲載期間(2022年7月~2023年3月31日)

◆実施スケジュール

2020年3月   アパートの一室を契約し、居場所開設の準備を開始。
2020年9月   居場所「ピッケノハコ」オープン。公式LINEアカウントをつくり、
        SNS相談も開始。居場所スタッフとして職員を新規雇用。
2021年10月   居場所スタッフ増員のため職員を新規雇用。
2022年3月15日 クラウドファンディング開始
2022年4月15日 クラウドファンディング終了
2022年7月     リターン発送



<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。



最後に

「ちょっと困ったな、一人では不安…って時に、一緒に行こうねってとなりで言ってくれる人が、誰にでもいたらいいなあ… 」
 これが、わたしたちCANのささやかな願いです。

「ピッケノハコ」運営継続のため、なにとぞご支援のほどよろしくお願いいたします。

 またここまで読んでくださり、なにか心に残る部分が一つでもありましたら、それを周りの方へシェアしてくださると大変ありがたく存じます。一人でも多くの方に現状を知っていただくことが、今後の活動におけるなによりのご支援であり、延いては誰もが尊重されて生きていける地域社会づくりにつながっていくのではないかと思っています。



※特定非営利活動法人CANは非営利法人ですが、このクラウドファンディングを支援することで、支援者が税制優遇を受けることはありません。 

  • 2022/12/30 12:00

    こたつでくつろぐピッケNPO法人CAN ピッケノハコスタッフです。ピッケノハコをスタートしてから3年目の2022年も、あっという間に年末となりこちらでの活動報告は気づけば半年ぶりとなってしまいました…今年はこのクラウドファンディングを通して、CANの活動をはじめて知ったという皆さんとのご縁もあ...

  • 2022/05/31 13:55

    NPO法人CAN ピッケノハコスタッフです6月のピッケノハコの開所予定カレンダーができましたのでお知らせいたします。カレンダーは主にピッケノハコを利用してくださる方向けに作っているので、ここには記載がありませんが、6月は、法人として今年度の事業などについて協議する総会があります。昨年の総会から...

  • 2022/04/25 11:18

    ご支援くださっている皆様へCANでは、3月15日から、1ヶ月にわたり、運営する居場所ピッケノハコの維持のため、クラウドファンディングに取り組みました。初めての試みであり、不安もありましたが、自分達のやっていることを多くの人に知ってもらいたい! と、若いスタッフたちが試行錯誤を重ねてページが出来...

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