はじめに

初めまして。私たちは、学生団体無国籍ネットワークユース(SNY)です!これまで私たちは「伝える」ことを目標に、セミナーや写真展などを行ってきました。これらの活動を通して、「無国籍とは何か」「なぜ無国籍について考えることが重要か」そして「私たちに何ができるのか」を伝えてきました。

しかし、セミナーなどは主に高校生から社会人など、比較的高い年齢の方々が対象のものでした。そこで私たちが今回取り組んでいるのは、無国籍を題材にしたより幅広い年齢を対象とする絵本作成です。


 絵本プロジェクト

無国籍については日本であまり知られていないこともあり、難しいと感じてしまう方も多いと思います。また、私たち自身が無国籍について学んでいく上で感じたのは、国籍の問題について学ぶ機会がとても少ないということです。それを、子どもでも楽しめる絵本を通して伝えることで、これまで以上にたくさんの人に無国籍について知ってもらいたいと考えています。また、絵本という媒体で表現することで、「無国籍=とっつきにくい難しい問題」という考えをなくしていきたいと考えています。

私たち自身も学生として学び、どのように貢献できるかを考えながら活動に励んでいます。クラウドファンディングへ参加して、一緒に無国籍についての認知を高めていく仲間になってください!

(早稲田祭2021年度、オンライン配信企画時)


 プロジェクト発足の経緯

このプロジェクトに至った経緯としては、2020年の早稲田祭で行った企画と、早稲田大学で行われたボランティアプレゼンコンテストでの発表が原点となっています。無国籍をわかりやすく説明するために制作した紙芝居を、より多くの人に手に取ってもらいたいという思いから、このプロジェクトが発足することになりました。現在はさまざまな方々に協力してもらい、SNYメンバーが書いた原案を話し合いながらブラッシュアップしていき、絵本として実際にたくさんの人に手に取ってもらえるものを作り上げるために励んでいます。



 無国籍について

無国籍者、つまり国籍を持っていない人たちはこの世界に統計上は390万人、実際には少なくとも1000万人はいると言われています。(UNHCR・2020年)また、多くの場合、自らの意思とは関係なく無国籍となっている人がたくさんいるというのが現状です。もちろん日本にも無国籍の人々がたくさん住んでいます。特に日本では、無国籍者の国籍の認定が曖昧なため、さまざまな問題に直面してしまいます。たとえば結婚や就職、留学など、国籍を持たないために法的、社会的な壁にぶち当たることがたくさんあるのです。

日本における無国籍者を巡った問題点は、大きく三つあります。

1. 無国籍者に対する十分な理解がないこと

2. 国際条約に加盟していないこと

3. 無国籍者を認定する制度がないこと

これらの中で、私たちは一つ目の問題に目をつけました。無国籍に対する理解がないことには、他の二つの問題を解決するのも困難となってしまいます。そこで、私たち学生の力で人々に「伝える」ことを目標として、問題の解決に向けて歩み出しました。

出典:UNHCR(2020) "Better statistics to help end statelessness" https://www.unhcr.org/blogs/better-statistics-to-help-end-statelessness/ (accessed 2022-2-1)


 このプロジェクトで実現したいこと

絵本の完成後は、SNYの活動の一環として無国籍や外国籍の児童が多く居住する地域からそのような児童と関わることが少ない地域まで、様々な学校や施設を訪問し、読み聞かせを行うことを目標にしています。多くの子どもたちに、「にじいろのペンダント」という物語を通して、国籍やアイデンティティ、そして無国籍の問題について考える機会を与えられることを願っています。また、私たち学生が実際に児童に読み聞かせを行い、お話をすることで、この問題により興味を持ってもらいたいと考えています、これからの社会を築いていく子どもたちに無国籍について考える機会を与えることで、認知度を高めるだけでなく、未来の活動にもつながることを期待しています。



 メッセージ

ー作者の陳 天璽先生から 

「みなさん、はじめまして。みなさんは、国籍や無国籍について考えたことはありますか?

私は日本で生まれて間もなく無国籍となり、30年間無国籍のまま暮らしてきました。現在は早稲田大学で教員をしながら、国籍やアイデンティティの研究をしています。日本では、国籍について考えたり、学ぶ機会はあまりありませんね。子どもたちはなおさらです。

2年前、SNYの学生たちに「ララ先生が無国籍として経験したことを講演してもらえませんか?」と依頼を受け、コロナ禍のなかオンラインでお話しをさせていただきました。その際、「いつか、若い皆さんのアイディアで、子どもたちに国籍や無国籍について知ってもらえるような絵本がつくれたらいいなぁ~」と夢のように語っていたのが、SNYの学生たちの努力、そして多くの方々の支援によって、いま現実に近づいており、わくわくしています。

絵本「にじいろのペンダント」を通し、子どものころから国籍について触れ、無国籍への認知を高めることで、人として本当に大切なものは何かを知るきっかけになればと願っています。

そんな素敵な未来社会を築くための具体案を実現化させようとしているSNYの学生たちを心から誇りに思います。学生たちが、未来の子どもたちへ繋げようとしている虹の架け橋を実現するため、どうか皆様の温かいご支援をよろしくお願いします。


ー寺山 みつこさまから

子供の未来に必要な本を日本から発信することの大切さ

日本にも多くの無国籍者が暮らしていること。そして「無国籍」とは何なのかを理解している子どもたちはほとんどいないでしょう。

学校教育を通して正しい知識を身につけるには、まだまだ時間がかかるでしょう。

でも絵本を通して伝えられることがあります。彼らは様々なことを感じ、吸収していきます。

自分の当たり前は、みんなの当たり前でないこと。日本で暮らしているとなかなか見えない、世界が抱える課題があります。

感性豊かなこの時期に、文化・人種の多様性について、共存社会のあり方について、考えるきっかけを与えてくれるこの絵本を一人でも多くの子どもたちに届けられますように。


ー丁章(チョンヂャン 詩人・無国籍者)さまから

人間が国籍を有しているのが当たり前となった現在の世界に、無国籍者が抱える問題は、世の中において、見えづらい状況に置かれています。

無国籍の問題を知ることは、人間にとって大切な問題を知ることにもなります。
このたび、陳天璽さんと無国籍ネットワークユースのみなさんが、無国籍をテーマにした絵本をつくりました。この絵本を通して、子どもから大人まで、無国籍者への理解が深まることを期待します。そして無国籍者が幸せに暮らせる世界が訪れることを願っています。   



 資金の使い道

・絵本の製作費
・リターン経費・送料
・クラウドファンディング手数料


 スケジュール

2022年7月 出版目標

2022年9月 リターン発送、実施



 リターン

本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

また、本プロジェクトは絵本の出版社である大月書店の許可のもと、実施します。また、絵本のリターンについても販売許可を得ております。


商品、発送に係る手数料を計上した上、設定致しております。



 最後に

約二年前に、小さく始めた企画が多くの方々のご協力によって、ここまで大きな企画となりました。出版することによって、多くの方に私達の願いが届くことがとても楽しみです。

みなさまの支援によって、この本は完成します!ご協力よろしくお願い致します!!


(早稲田祭2021年度、前日準備日)



【無国籍ネットワークユースとは?】

無国籍ネットワークユースは、特定非営利活動法人無国籍ネットワークと協働し活動しています。

無国籍ネットワークユース(以下SNY)は、2015年に早稲田大学国際教養学部の陳天璽教授のゼミを原点とし設立されました。

当団体は、無国籍者が暮らしやすい社会の実現に向けて「学ぶ・伝える・寄り添う」という三つの視点をもち、様々な企画を立案し支援を行っております。メンバーは様々な大学から集まった学生・院生で構成されていて、早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)の支援サークルのひとつです。


【当団体の活動への想い】

 無国籍であるということは日常生活において様々な弊害を引き起こします。例えば、無国籍者は国籍を証明できないため、国家間の移動は非常に困難です。また、国からの生活保障も受けられなかったり、就職・結婚・医療・教育など生活のあらゆる場面で壁にぶつかります。他にも、「無国籍」が広く知られてないことにより、差別や偏見といった弊害も存在します。私たちはこのような不自由を抱える無国籍の方でも暮らしやすく、将来に希望を持てる社会を作りたい、という思いのもと活動しております。学生は、SNYを通して社会問題に対してどうアプローチできるのかということを日々学んでいます。直接支援システムを作ったり、莫大な資金を得たりしなくても、学生だからこそできる取り組みがあります。まず、疑問を持って積極的に学ぶこと、エキスパートの大人たちと出会い知識を得ること。そこから発信をし、多くの人の目にこの問題が触れることで、その当事者の人まで私たちの想いが届くということ。無国籍という事実で困る人がゼロになる世の中ではなく、国や周りの人の柔軟な体制のために、私たちは学び、知識の普及に取り組むのだと考えます。これからも無国籍ネットワークユースは無国籍という社会問題に寄り添い、学び、そして皆さんに伝えようとする姿勢を忘れません。

SNYのこれまでの活動経歴

SNYの活動は、①伝える②知る③寄り添う の大きく三つの軸に分け活動しています。具体的な活動内容を以下に紹介します。


  1. 伝える


  • セミナー

 SNYでは親団体の無国籍ネットワーク(以下、SN)と共に無国籍についての知識の周知を目指し、セミナー(勉強会)を行っています。従来は対面での講演を行っていましたが、コロナ禍においてはオンラインセミナーを開催しています。無国籍者の置かれている現状を当事者の声を通して伝え、学生の声も交えながら、沢山の方にご参加いただき成り立っています。昨年は、「コロナ禍における無国籍者の実態」等のセミナーを実施し、無国籍者の“今”に起きている様々な困難をお伝えしました。


  • 写真展

 団体設立当初から、講演会と並行して行っているのが写真展の開催です。最近では、昨年2021年8月12日(木)から15日(日)に写真家の新畑克也(しんばたかつや)氏主催、三の丸芸術ホール(群馬県館林市)にて、写真展『DIGNITY - 尊きミャンマーの人々- in Rakhine State』を共同で開催しました。新畑氏がとらえた写真を通して、ロヒンギャの人々の生き方やその思いを理解していただくことを目的に行いました。当日は館林市の皆様など多くの方にご来場いただき、学生自身も学びが絶えませんでした。

(SNYが運営を務めた写真展のリーフレット等)


広報

SNYはインスタグラム、フェイスブック、ツイッターの3つのSNSを活用しています。学生だからこそSNSでの発信が持つ力を信じ、取り組んでいます。これからの目標は、「学べるアカウント」です。イベントやセミナーの広報のみでなく、学生による新しいニュースやインタビュー記事などの発信もしていきます。

Instagram:https://instagram.com/statelessnetwork?utm_medium=copy_link
Facebook:https://m.facebook.com/statelessnetworkyouth/
Twitter:https://twitter.com/sny_waseda?s=11
YouTube:https://youtube.com/channel/UC37Wvz9ClwnPzNkN3ceig1A


(2022年2月2日時、SNYのインスタグラム @statelessnetwork)


スピーチコンテスト

 2021年5/16(予選)と5/28(決勝)に早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)主催で行われたスピーチコンテストでは、第一位、また観客賞を獲得しました。『キミたちは、何故ボランティアをするのか?』というテーマに対し、無国籍とはどのような問題なのか、国籍を「スカーフ」に例えた物語に沿って発表しました。

  1. 知る

 新型コロナウイルス拡大前はマレーシア研修や現地訪問を実施していました。海外渡航が難しくなってからは、月二回の定期ミーティングで無国籍について調べ学習から発表を行なう「輪読会」を継続し、テーマについて調べたり疑問を見出します。先輩・後輩を問わずメンバー全体で知識を深め合い、またこの知識共有を通して生まれた新しいアイデアが、次の勉強会や各企画のテーマに結びついていきます。


  1. 寄り添う


  • 教育支援

日本に住むロヒンギャの子どもたちを教育面で支援するために、週1回程度オンラインでの授業を無償で行っています。無国籍の子ども達は両親の話す言語が日本語ではないため、家庭内で学校の勉強のフォローが難しく、学習面で困難に直面するケースがあります。そのような状況を少しでも改善すべく、私たち大学生が継続的に支援を行うだけでなく、日常の話し相手にもなります。個別で授業をすることで、学習の進捗状況に合わせて一人一人に適した支援が行えるよう心掛けています。


  • 物資支援

日本で暮らし、生活に困窮している無国籍の家族のサポートのため、物資の支援を行っています。ヒアリングを実施した後、のべ200名の方々に食品、衛生用品、衣類、教材、学用品などを提供しました。コロナウイルス拡大前は、支援している家族に物資を手渡しし、交流することもありました。




*絵本出版のプロジェクトは、「無国籍ネットワークユース」、「無国籍ネットワーク」、「大月書店」以外の記載された他団体様とは関係なく実施されているものです。


このプロジェクトの問題報告はこちらよりお問い合わせください