はじめに

本プロジェクトは、発案者の清水が、記者の友人から紹介されたパレスチナ人看護師のアブダッラーさんと一緒に、障がいや戦争によるトラウマと生きるガザの子供たちへリハビリとケアを届けるための資金集めをするプロジェクトです。

集められた資金は、ガザ地区にあるNGOの『バイトナー』が運営するセンターにて、子供たちにリハビリセッションを提供するために活用されます。

解決したい社会課題

空爆の爪痕

みなさまは、昨年の5月にガザ地区でイスラエル軍による大規模な空爆があったことは覚えていらっしゃいますでしょうか。国際連合人道問題調整事務所(UN OCHA)によると、この空爆で死亡した子供の数は66名にのぼります¹。(ニューヨークタイムズ紙が亡くなった子供たちの写真と名前を「彼らはまだ子供だった(They Were Only Children)」というタイトルでウェブで公開しています。)²

またこの空爆では約2,000人が怪我を負ったことが報告されている¹ほか、家族・友達を失ったことによる心の傷を抱える子供たちが大量にいることも想像に難くありません。バイトナーによれば、戦争によりPTSD(心的外傷後ストレス障害)を負った子供たちの数は5万人に上るといいます。

経済・社会的要因による困難

ガザ地区では長年にわたる閉鎖によって、電気・水・食料・医療品といった必要物資が慢性的に不足しています。戦争によるものだけではなく、先天的な障がいとともに生きる子供たちも、十分なサポートを受けられていないのが現状です。

また病院で勤務しながらバイトナーのボランティアスタッフとしても働く看護師のアブダッラーさんによれば、保守的なガザ地区の特に地方では、家族や親せきの障がいとリハビリの必要性に対する理解の欠如も問題になっているといいます。また高い失業率とインフレに苦しむ貧しい家族にとっては子供を送り届けるための交通費も大きな負担になっています。

このプロジェクトで実現したいこと

このプロジェクトでは、子供たちにリハビリテーションとケアのためのセッションを届けることを目的に、以下を実現する資金を集めます。

①子供たちがセンターに通うため、バイトナーが子供とその家族のために交通費を支出できるようにする。

②子供たちがセンターに通うモチベーションを保つため、セッション中に教材や軽食を提供できるようにする。

③休日を返上して無償で働くボランティアスタッフのためにバイトナーが彼らの交通費を支出できるようにする。

④特にPTSDを抱える子供たちのために、バイトナーが遠足やレクリエーション活動を行うための資金を確保する。

資金の使い道

今回の目標額である40万円を集めることができれば、
20人の子供たちに対する4種類のセッションを月に12回ずつ開催し、2か月間継続できます。

【内訳】
約100,000円:子供20名と家族のための交通費(12回×2か月×20家族)
約50,000円:ボランティアスタッフ5名(理学療法士2名、作業療法士1名、言語療法士1名、心理学者1名)のための交通費
約50,000円:子供たちのスナック・ドリンク代(12回×2か月×20名)
約50,000円:PTSDを抱える子供向けのレクリエーション、遠足費用
約50,000円:センター運用費(光熱費、教材費、印刷費など)
約100,000円:ロジ代(手数料、税金、リターン発送代、リターン製作費、国際送金手数料など)

※本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。なお、目標額に達しなかった場合には参加者数やセッション回数を減らしたり、レクリエーションをより安価なものに変更することでプロジェクトを実施予定です。

プロジェクト実施スケジュール

8月10日  現地へ第一回送金(プロジェクト立ち上げ資金のため、クラウドファンディング終了前に一部送金します。)
8月上旬  スタッフミーティング
8月中旬  開始準備
8月中旬  セッション開始
8月20日 クラウドファンディング終了
9月下旬  追加送金(プロジェクト継続のため、残りの集金額を送金します。)
10月    セッション終了

※8月4日㈮の空爆により、第一回送金から開始準備について遅延しております。

※支援対象となる子供たちはバイトナーのクリニックに所属する医師や専門家の診断により決定され、より深刻な症状を持つと診断された子供たちから優先にセッションに参加します。

現地のスタッフからのメッセージ

「子供たちが自分たちの可能性を最大限に楽しむべきだと考えています。」

微笑むファーイクさんの写真ボランティアのファーイク・アンナッジャールさん

「私は子供たちが、私たちのコミュニティの未来だと信じています。」

微笑むイブラヒムさんの写真ボランティアのイブラヒム・サンムールさん

「子供たちはコミュニティの未来です。そんな将来のリーダーたちに、未来に向けた準備をしてもらうという自分の役割をとても幸福に感じています。」

器具を準備するタラアさんの写真言語聴覚士のタラアト・カダルさん

最後に

私は、今回のプロジェクトがガザ地区の社会の「未来」である子供たちに好影響を与えることを期待している一方で、それがプロジェクトの本質的な目的であるとも、持続的なものであるとも考えていません。すでに上記でご説明したように、今回のプロジェクトが成功したとしても、被益者は20名の子供とその家族だけです。また、ビジネス立ち上げ等の収益を上げることのできるシステムではないため、2か月のプロジェクト終了後の継続性にも疑問が残ります。

それでも今回このプロジェクトを立ち上げたのは、「日本からの支援」に大きな意味があると感じるからです。

私は2018年から2019年にかけ、パレスチナ西岸地区で半年間ほど暮らしていました。その時に知り合った同世代の若者たちの間に立ち込める「諦めムード」に心を痛めたことを記憶しています。パレスチナの若者たちは、70年以上の長期にわたる政情不安とそれに伴う暴力によって、経済的にも精神的にも苦しみを感じ、「努力をしたって意味がない」「誰も、もう私たちを助けてはくれない」と、悲観的になっていることが少なくありません。

パレスチナ西岸地区で一番といわれるビルゼイト大学の商学部を卒業した友人は、仕事がなくレストランで時給1時間300円ほどのアルバイトをしていました。ガザ地区で工学を勉強し、UNIDOが実施するビジネスコンペで優勝した友人は、ガザでは自分が作りたい農業ロボットの材料が全く手にはいらないことを嘆いていました。

またウクライナに対するロシアによる侵略で戦争が始まったことで、「国を奪われ難民となる人がまた増える」ことに心を痛める一方、「なぜ国際報道はパレスチナのことを長らく無視してきたのに、ウクライナにはあれほど心を寄せるのか」という理不尽さを感じているパレスチナ人の友人もいます。

私は、今回の資金集めを通して、彼らに「まだ日本にもあなたたちに心を寄せる人がいる」「まだ国際社会にパレスチナを見捨てない人がいる」ということを伝えたいと思っています。

本プロジェクトはもちろんガザの子供たちのために実施されます。しかし同時に私は、40万円という額をかき集め、休日を返上し身を削ってボランティアをする彼ら・彼女らに少しでも共感と応援の気持ちを見せることこそ、むしろ今後のパレスチナ社会に大きなインパクトを与える可能性があると感じています。

みなさまの温かいご支援を心よりお願い申し上げます。

【参考】
¹Protection of Civilians Report | 24-31 May 2021 | United Nations Office for the Coordination of Humanitarian Affairs - occupied Palestinian territory (ochaopt.org)
²They Were Only Children - The New York Times (nytimes.com) 

  • 2022/08/14 16:02

    支援者、閲覧者の皆さまお世話になっております。以前緊急でお知らせをいたしました通り、空爆の影響でプロジェクトに遅れがでておりますことをご報告します。現地NGOバイトナーの皆さんにはまず自身の生活を優先して欲しい旨をお伝えしており、プロジェクト詳細については今週再度打合せの時間を設け、今後の予定...

  • 2022/08/06 21:01

    支援者、閲覧者の皆さまお世話になっております。本プロジェクト起案者の清水です。皆さまに急ぎお伝えしたいことと、お願いしたいことがあり筆を執りました。本日8月6日は、本来であれば日本時間16時より、現地NGOのバイトナーのスタッフらと私でオンライン会議を行い、プロジェクトのキックオフや送金に関す...

このプロジェクトの問題報告はこちらよりお問い合わせください