はじめに
わたしたち ブリッジ エーシア ジャパン(BAJ)は、1993年の設立以来、「ともに知恵を出し合い、ともに汗を流す」ことを理念とし、国際協力を通じて社会的に困難な状況にある人々の自立のための支援を行い、国境を越えた人々の連帯をはかることを目的に活動しています。主にミャンマーでは、難民帰還支援、小規模インフラ整備、職業訓練など、ベトナムでは零細農家支援や環境教育活動などを展開しています。
ミャンマーでは、長年にわたる民族対立による武力衝突の激化や、とくに昨年2月に起きたクーデター以降は、現地でのNGO事業の多くが制限され、活動の縮小はやむを得ない状況です。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と連携で進めているインフラ整備事業などは継続できていますが、草の根レベルの活動として住民を対象にした生活向上支援などの事業は中断を余儀なくされてきました。
そうした状況下で、少しでも住民の笑顔を取り戻したいと、ミャンマー・ラカイン州当局からの活動許可を得るため現地職員を中心に交渉を進めてきた結果、今年の5月末に活動許可を得ることができました。事業内容は、女性の自立と民族融和のための「裁縫技術訓練」の再開です。この地域のムスリム女性は、男性に許された複数婚の結果、夫からの収入を断たれて生活に苦しむ女性が多数います。そうした女性たちに裁縫技術を身に付けることで収入の道を開き、また言語や宗教の異なる女性たちが一緒に学ぶことで、民族対立という境遇の彼女たちが少しでも「平和な日常」をとりもどす機会となることを、過去の裁縫訓練の経験から確信しています。
解決したい社会課題
ミャンマーのラカイン州北部にはイスラム教徒と仏教徒ラカイン族やヒンドゥー教徒、あるいは精霊信仰などが混住し、言語や生活習慣の違いなどにより住む地域も分かれています。またラカイン族とビルマ族は歴史的な民族対立を抱えており、さらにムスリムに対する制度的な民族差別などがあり、ムスリムのバングラデシュへの難民流出や、加えて最近のクーデターによる軍政権に対する反軍闘争などが激化し、武装闘争へと拡大しています。
こうしたなかで女性たちの置かれた立場は、仕事らしい仕事もなく、生活するために少し裕福な家の掃除や料理をして、報酬は少しの食料をもらって家族を養うような女性が大多数を占めています。くわえてクーデターによる社会の混乱で、脆弱な女性の立場はさらに悪化し、希望を失い委縮しています。わたしたちは、現地スタッフとともに知恵を出しあい、貧困と差別に直面している人々が、少しでも平和な市民生活をとりもどすことができるような支援活動を続けていきたいと考えています。
【補足データ】
ミャンマーはASEANの中でも最貧国 *1
ミャンマーの就業率 :女性の就業率は男性よりも30%低い *2
ミャンマーの貧困率: 24・8% *3
ラカイン州の貧困率: 41.6% *3
ミャンマーの少数民族: 人口の70%はビルマ族だが、30%は134の少数民族から構成されていると言われており、
ラカイン州には、仏教徒を中心としたラカイン人、イスラム教徒のロヒンギャ、ヒンドゥー教徒も居住している。
*1:GLOBAL NOTE.世界の1人当たり名目GDP 国別ランキング・推移, International Monetary Fund.(2020)
*2:Myanmar Living Conditions Survey 2017: Key Indicators Report, UNDP (2018)
*3:Myanmar Living Conditions Survey 2017: Poverty Report, UNDP (2019)
これまでのミャンマーでの活動は
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は1992年以降、ラカイン州にて難民援助、貧困改善、民族融和プログラムを続けていますが、わたしたちBAJも1995年以降、UNHCRのパートナーとして、現地での事業を遂行しています。 具体的には、車両整備や道路・橋梁建設や補修、学校校舎建設などの小規模な社会インフラ建設事業を、住民への技術訓練を行いながら(On the Job Training)実施しています。また、1998年には、地域女性に対する裁縫訓練事業を開始しましたが、治安悪化に伴い、2018年以降中断していました。
わたしたちは、ラカイン州における長年の活動実績を通じて、行政当局や国際機関からの理解と、地域社会における世代・性別を超えた信頼を得て、今回の裁縫訓練事業再開に漕ぎつけることができたと自負しています。
このプロジェクトで実現したいこと
BAJマウンドー事務所のスタッフが、以前の裁縫教室の卒業生をインストラクターとして起用し、現地の女性たちに裁縫訓練を行うことを通じて、生活収入向上、女性の自立や民族間融和を図っていくものです。以前の事業期間(1998~2017年)においては累計約6,000名の卒業生を輩出し、さらに卒業生たちを通じて家族親族の生活の安定や地域社会の活性化にも寄与することができました。現時点ではまだまだ現地は政情不安定な要素が多く、訓練場所を一つの教室に限定していますが、地道に継続していきたいと考えています。
~中断前の裁縫訓練教室へ国連難民高等弁務官が視察来訪、スタッフや訓練生にインタビュー。2017年7月の写真です~
応援メッセージ
○ 平田 喜代枝さん (BAJ会員。20年前に裁縫専門家としてマウンドーに数回訪問)
”5年ぶりにBAJの裁縫教室が再開できてうれしいです。
20年前になりますが、裁縫ミッションでマウンドーへ行きました。
手縫い、ミシン縫いの基礎など、一針一針に心を込めて
「作って楽しい、着てうれしい、見て可愛い服作り」を目指して
一緒に過ごした時間をなつかしく想い出します。
針仕事は、つらい時も勇気と希望を与えてくれると思います。
大変な状況の中、心と心の糸がつながって、笑顔になりますように。”
○ 松本 裕平さん (株式会社トリコ 副社長。BAJ会員)
”以前、BAJの新石さんと一緒にミャンマーでBOPビジネスに関する調査をしたことがありました。
そのときにミャンマーで仕事をする難しさを知り、同地で長年活動されているBAJさんを応援したいと思うようになりました。
いまでは会員となって、会社として全国の支店でフルクル(古着リサイクル活動)に協力しています。
女性の裁縫教室の活動は、先の見えない暗闇のなかで灯る小さな火のような活動だと思います。
難しい状況でも、今できることを一歩ずつ進めていくBAJのチャレンジを応援します。”
○ 大場 翠さん(BAJ元ミャンマー・タウンゴップ駐在員)
”ミャンマーの混乱や苦しみは、想像を絶するものがあります。クーデターからNGOの
活動には制約が多い中で、ラカイン州の活動禁止の事態はもうどうしたらいいものか・・。
試練の時が続きますが、BAJや現地スタッフたちの底力を信じています。
今だからこそ粛々と続ける。現場から離れない。ラカイン州は多くの問題を抱えていますが、
内側からの気付きや変化が何よりも大切だと感じます。裁縫教室の継続を応援しています!”
目標金額の内訳、具体的な資金の使い途(第一期)
施設や用度品はコストのかからないもので流用しますが、約5年ぶりの再開となるため、ミシンなどは一部新規に調達しました。後はランニングコスト。継続していくためにはどうしても必要となります。皆さまからのご支援は下記のように使わせて頂きます。
・ミシン調達 20万円 ・講師、運転手人件費 50万円
・車両・燃料代 15万円 ・教材費 20万円
・訓練生昼食代等 65万円 ・施設修繕費用 30万円
計 200万円
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
リターン
ご寄付の金額に応じて、以下の返礼を予定しています。
【3,000円】・ニュースレター
・第一期終了時にはオンライン活動報告会を開催予定(開催要領詳細は別途メールなどでご連絡)。
【5,000円】・ニュースレター
・第一期終了時にはオンライン活動報告会を開催予定(開催要領詳細は別途メールなどでご連絡)。
【1万円】先着 80名様まで
・訓練生が作成した裁縫製品(コースター)
・ニュースレター
・ 第一期終了時にはオンライン活動報告会を開催予定(開催要領詳細は別途メールなどでご連絡)。
【1万円】先着20名様まで
・訓練生が作成した裁縫製品(刺しゅう入りハンカチ)
・ニュースレター
・第一期終了時にはオンライン活動報告会を開催予定(開催要領詳細は別途メールなどでご連絡)。
【5万円】先着10名様まで
・訓練生が作成した裁縫製品(エチケットポーチ)
・ニュースレター
・ 第一期終了時にはオンライン活動報告会を開催予定(開催要領詳細は別途メールなどでご連絡)。
【10万円】先着10名様まで
・訓練生が作成した裁縫製品(ブックカバー)
・ニュースレター
・ 第一期終了時にはオンライン活動報告会を開催予定(開催要領詳細は別途メールなどでご連絡)。
【50万円】先着1名様まで
・訓練生が作成した裁縫製品2種(ランチョンマット+コースター・セット)
・BAJ代表、事務局長、プロジェクトマネジャーによる個別の活動報告会にご招待。
オンラインにて現地事務所とつなぎ、現地の様子を直接お伝えします。
★上記の裁縫製品は全て、現地ラカイン地方の民族衣装用の生地を使い、訓練生がミシンの上達を願いながら縫い上げたしなものです。まだまだ不慣れな彼女たちなので、縫い目が蛇行したりしているかもしれませんが、平和な日常をかみしめながら作ったものです。ミャンマーの女性たちとのつながりの象徴としてお手元にお持ちいただければ幸いです。
<寄付金控除について>
本プロジェクトへのご寄付はBAJへの寄付となり、当団体が寄付金の受付および領収証発行を行います。
このプロジェクトへの寄付は寄付金控除の対象になります。認定NPO法人への2,000円を超えるご寄付は、A.総所得金額、B.所得税額、のいずれかから控除できます。確定申告の際にBAJが発行する領収証を添付してください。
BAJでは毎年1月に、前年分の寄付記録を記載した領収証を発行しています。
*領収証はCAMPFIREではなく、当団体が発行・郵送致します。
最後に
女性の自立と民族融和のための「裁縫訓練事業」再開は、わたしたちの悲願でした。
長年にわたるわたしたちのミャンマーでの活動は、UNHCRや助成機関と連携したハードインフラからスタートしましたが、真の意味での国際協力はソフト面での充実も不可欠であり、生活収入向上や教育支援などの活動にも注力してきました。しかしながら、この数年間のミャンマー、とりわけラカイン州では治安悪化やクーデターの影響に直面し平和な生活を奪われています。こうした人々に、平和な普通の暮らしを取り戻してもらうために、「裁縫訓練事業」は即効性のある活動だと考えています。
現地スタッフの頑張りによって関係当局からの許可も下りたために、既に6月6日から活動を再開しています。直近では当地の治安が再び悪化し、現時点では一時的な中断を余儀なくされています(10月8日時点)が、現地の情勢を見極めながら地道にこの事業を遂行していく所存です。そのためには、残念ながら、資金面での限界があります。このプロジェクトに少しでもご興味を持っていただいた皆さまのご支援で、何とかやり遂げたい一心です。どうぞ、このミャンマーの女性の裁縫教室を応援してください!!
団体紹介
代表者ごあいさつ
<根本悦子>
ミャンマーでは昨年のクーデター以降、各地で起きている紛争による移動や
渡航の制限など各種の規制に伴い、わたしたちの活動も計画通りに進めていく
ことが困難となりました。それでも現地職員の知恵と努力で、小規模でも
できることを模索しています。ご賛同いただける方は是非ご支援をお願いいたします。
認定NPO法人 ブリッジ エーシア ジャパン(BAJ)とは
1993年に国際協力の任意団体として発足したBAJは、ベトナムの戦後復興支援から始まりました。1994年に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の要請を受け、ミャンマーのラカイン州北西部のマウンドーを拠点に、帰還難民の定住促進事業を開始しました。 2000年からは、ミャンマー中央乾燥地域で生活用水の供給事業を、さらに2001年にはベトナムのホーチミンに連絡事務所を設け、貧困地域の生活改善事業を始めました。以降、約30年間にわたり、ミャンマーとベトナムを拠点に、住民参加、収入向上、技術移転、環境保護などの活動を続けています。
More Info.
ご興味ある方は以下のサイトもご覧ください。BAJの最新活動報告、これまでの様々な取り組み、更には事務局長の本音のつぶやきもご覧いただけます。
ホームページ https://www.baj-npo.org/
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