はじめに・ご挨拶

2003年以来20年間にわたって、東京都文京区西片、東大農学部のすぐ近くで、真の国語を教える学習塾「言問学舎」を経営しております、小田原漂情(雅史)と申します。25歳の時から学習参考書の出版社に勤め、以後教育業界ひとすじに生きてまいりました。

いっぽう若い時から短歌、三十代半ばからは小説、当初から一貫して紀行文などを書いて来て、言問学舎を創業するすこし前の2000年までに歌集、小説などを8点刊行しておりました(私家版1点を含みます)。

また言問学舎の創業時からの定款の中に、「学習教材図書及び教育情報紙・誌の出版販売」という項目を掲げており、2019年3月から『国語のアクティブラーニング 音読で育てる読解力』を刊行するなど、塾経営のかたわらではありますが、国語教育と文学に関係する書籍の出版を行なっています。ちなみに定款の項目に関して、創業時から数年の間は教育情報紙「言問だより」を発行し、本郷・西片・白山地区周辺のご家庭に配布しておりました。

なお昭和63(1988)年5月に個人で最初の本(第一歌集『たえぬおもひに』)を刊行し、また平成31(2019)年3月に言問学舎として最初の出版をすることができた(先述の『国語のアクティブラーニング 音読で育てる読解力』第1巻)、すなわち昭和と平成の終わりに個人、会社として最初の出版ができたことに、本づくりにたずさわる者として、小さなことですが意味ぶかいものを見出しています。


このプロジェクトで実現したいこと

森鷗外の名作『舞姫』を、高校生のみなさんに深く読みこんでもらい、もって小説などの文学作品だけでなく、論説文の論理的読解力の向上をも図る「スーパー読解『舞姫』」の出版です。鷗外の『舞姫』原文に加え、言問学舎舎主・小田原漂情による全文現代語訳を掲載し、全文の音読DVD(小田原が音読しています)もついていますから、現在の高校生や古文に不慣れな方にも、『舞姫』にすんなり親しんでいただくとができます。 

また内容を深く読みとる「スーパー読解シート」とその解答・記述例によって、読者のみなさんが、本文(原文)中から手がかりをつかみ、主人公豊太郎や恋人エリスの言動を通して心情をさぐることや、そこに至る背景、さらには明治時代の日本人がヨーロッパへ渡って感じた衝撃などについて考え、論理的に作品を読んで、国語力を高めることができる、言問学舎渾身の国語教材です。 文語体で書かれた明治中期(というより日本の近代文学の勃興期)に書かれたこの作品を深く読むことで、感覚的(感性的)、また論理的な受容力のどちらの面をも、大きく伸ばしうる国語教材になるということを、微力ながらお示ししたいという考えから、本書を構成・執筆した次第です。願わくは多くの読者の方が、原文の文語の味わいで、この『舞姫』の表現の妙に触れることができるようになって欲しいと思っております。

言問学舎の出版物ですから高校生を主対象とする「教材」となってはおりますが、おそらくは、かつて『舞姫』を読んで心に残った大学生以上の年代の方々にも、楽しんでいただける本になっていると思います。


プロジェクトをやろうと思った理由

2020年代の社会は、AI全盛、かつグローバル化の時代です。これまで人間がやって来た仕事が多数、AIにとってかわられるとも言われており、国語に大きな特色のある塾を営んでいても、英語に比べ国語が軽視されがちであることを痛感しております。そんな中で、現高校2年生からは学校の国語の授業で「山月記」、「こころ」、そして「舞姫」を学ぶことなく国語の勉強を終える人たちが、これまた多数出て来るという状況になりました。一部の言説だけを取り上げてことを断じる考えは毛頭ないのですが、これまで耳目にした論調の中には、「文学には論理がない」とするものもありました。

しかし、文学作品をただ感覚や情緒だけで理解したり、教えたりすることはありません。たとえば短歌でも、心情の面や、枕詞、体言止めといった形式面の技術だけでなく、ことばとことばの呼応の仕方や音韻の効果など、論理的に解析する面が多分にあります。小説ならば、人物同士のかかわりや心理面の描写など、読み解くために論理を要する機会はさらに多くなるでしょう。

ましてやこの『舞姫』は、古文の文体で書かれている内容を理解してもらうところからはじまって、現代語訳をしていても目をみはり、わくわくしてしまうような鷗外の精密な文章を読みとって、さらに人間の心理や文章そのものの筋道のつながりを理解させるなど、「論理的に教える」材料の宝庫ともいえる作品です。

実際に、この「スーパー読解『舞姫』」の原形を作って指導した2020年度の大学受験生の1人は、国立理系受験だったため言問学舎での国語の受講は高3の1学期まででしたが、もともと好きだった国語の理解力がさらに上昇し、共通テストで8割をマークしました。その年は二次試験が行なわれなかった国立宇都宮大学に国語を原動力として合格し、「あれがありがたかった」と、この「スーパー読解『舞姫』」のことを振り返ってくれています。

言問学舎に通っている人だけでなく、ひろく全国の高校生のみなさんに、『舞姫』をわかりやすく、より深く理解して、さらに読解力・国語力を大きく向上させて欲しいという思いから、本署を出版・販売することを決意しました。いわゆる「コロナ禍」で、塾業界は2020年4月・5月をのぞいて営業休止に至ることはありませんでしたが(言問学舎でもオンライン授業を併用しました)、その年の定員縮小や種々の対応の影響は大きく、出版事業も歩みをゆるめざるを得ませんでした。しかし高校3年生の多くが『舞姫』を学ぶのは今年が最後となりますから、機を逸することなく何としても今年の1学期に出版を、との結論から、本プロジェクトで多くの方々のご支援を仰ぎたいと考えた次第です。


これまでの活動

ご挨拶のところにも記した『国語のアクティブラーニング 音読で育てる読解力』は、これまでに高学年用(小学5年生以上対象)、中・低学年用(小学2年生~4年生対応)各2巻の計4巻を刊行しております。また高校生に文語文法(古文の文法)をわかりやすく教える『文語文法の総仕上げ』を2019年10月に出版しており、「大変わかりやすい」と好評をいただいております。

塾として「真の国語」を掲げる前のキャッチコピーは、「楽しくて深い国語の世界へ、ようこそ」でした。もちろん「国語の本質を教えます」の意は、創業当初から語りつづけています。かいつまんで言うと「真の国語」とは、試験問題のように作られた問題の答えをさがすことでなく、文章が言わんとしているところを正しく読みとり、そこに自分の感じたことをすりあわせ、自分の考えとして組み立てて、最後は自分の文章として表現する、その力をはぐくむことです。そのための国語教材を言問学舎として開発し、出版してまいりました。

『国語のアクティブラーニング 音読で育てる読解力小学5年~中学2年対応1』

2019(平成31)年3月発行



『国語のアクティブラーニング 音読で育てる読解力小学2年~4年対応1』

 2019(令和元)年6月発行



『文語文法の総仕上げ』小田原漂情編著

 2019(令和元)年10月発行 



『国語のアクティブラーニング 音読で育てる読解力小学2年~4年対応2』

2020(令和2)年8月発行



『たまきはる海のいのちを‐三陸の鉄路よ永遠に』小田原漂情著

2021(令和3)年3月発行



歌集『猛禽譚』石井綾乃著

2022(令和4)年4月発行



『国語のアクティブラーニング 音読で育てる読解力 小学5年生以上対応2』

2022(令和5)年7月発行


資金の使い道

「スーパー読解『舞姫』」はB5判154ページの本ですが、現代語訳を別ページで青刷りにしたり、「スーパー読解シート」の解答・記述例を赤刷りにするなど、本づくりそのものの部分でも通常の本より原価がかかっています。また原文をよりよく理解し、感動を共有していただくために、原文の音読をDVDに収録して、付属させています。そのためDVDの制作費も必要であり、通常の出版より費用がかかります。

今回集まった資金は「スーパー読解『舞姫』」の制作資金の一部に充てさせていただきます。


リターンについて

リターンとしては、すべての方に、文京区立森鷗外記念館が作成された「鷗外」のクリアファイル(A5サイズ)と、『舞姫』の原文を読み解くために強い味方となる『文語文法の総仕上げ』(小田原漂情編著/言問学舎刊)をセット致します。

また、今回記念品として作成する「スーパー読解『舞姫』」特注ボールペン、「スーパー読解『舞姫』」特注コルクコースターのセットがあります。

「文学および小田原漂情応援セット」として、「これまでの活動」にかかげた言問学舎の出版物以外の、小田原漂情が2000年12月までに刊行した7点(私家版を除く)の歌集、エッセイ集、小説のうち、絶版・在庫僅少本を除いていずれか2冊セットもしくは4冊セット、あるいは絶版・在庫僅少本を含む5冊セットとすることが可能です。この場合、どの本にするかご希望がある場合は備考欄に書名を、ご希望がない場合は「まかせます」とご記入いただくようお願い致します。

『碓氷峠鉄道文化むら」さんにおけるロングセラー

紀行エッセイ、恋愛論、故灰田勝彦先生に感謝をささげるエッセイ集


さらに、言問学舎創立二十周年記念として、言問学舎で入会金・月謝・季節講習費・書籍購入費に使える言問学舎特別利用券(※譲渡可。2023年12月14日まで有効) をセットすることもできます。譲渡の範囲は特に定めませんので、お孫さんやお知り合いのお子さんにプレゼントしていただくことも可能です。


実施スケジュール

4月28日現在

 「スーパー読解読解『舞姫』」本冊は、再校まで終了。

 付属(原文の音読)DVDは、作成進行中。  

 リターングッズ「鷗外」クリアファイルを本日仕入れ済み。

5月1日    DVD承認完了

5月8日    本冊稿料

5月20日頃  DVDが印刷・製本所へ納品。

5月下旬   本冊出来、取次へ出荷。

6月上旬~  リターン送付スタート


最後に

国語は、すべての学問の礎(いしずえ)となる大切な勉強です。文章を読み解く力、すなわち読解力こそ、その国語の中でもど真ん中の、重要な力です。

その読解力は、一朝一夕に身につくものではありません。しかしながら、すぐれた文学作品を深く理解することで、表面ではなく読者、学習者の内面の深いところで、何かが動き、読み解く力が飛躍的に増すことがあります。森鷗外の『舞姫』は、そのうってつけの教材であり、「真の国語」を教えて満二十年となる今年、「スーパー読解『舞姫』」を送り出すことで、多くの高校生の国語力向上に貢献したいと願っています。

そしてまた、『舞姫』のような名作が、若い人たちにずっと読み継がれていくようになるほんの一歩の力になることができれば、国語教育に人生をかけて来た身として、幸いこれにまさることはありません。

国語と文学を愛する方々に『舞姫』の感動をお届けし、若い人たちの国語力向上に貢献できるよう、ご賛同下さるお一方ずつのご支援を、よろしくお願い申し上げます。


<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

  • 2023/08/03 23:28

     言問学舎の小田原漂情と申します。「文学のど真ん中から、論理を含む強い国語の力をはぐくむ本をつくりたい!」の際は多くのみなさまからご支援を賜り、まことにありがとうございました。 ひきつづきのプロジェクトとなりますが、本日、「真の国語力をはくぐみ、大切なことを伝える本を広めたい!」を公開致しまし...

  • 2023/06/07 20:59

     これまでご支援いただいているみなさま、またこのページにお目通し下さっているみなさま、ありがとうございます。「スーパー読解『舞姫』」は、先日市場流通版在庫が入荷致しましたが、あわせてクラウドファンディング用の特別製本版の仕上げ作業をすすめております。 いっぽうクラウドファンディングの募集期間が...

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