生産農家が減少している手漉き和紙の原料“トロロアオイ(ねり)”をみんなで育てて!
和紙職人の生まれ故郷「小川町」から和紙を世界へ
とうとう、食品化商品第一弾『トロロアオイ万能ソース』完成!

このページをご覧いただきありがとうございます!

プロジェクトの番頭を務めております、企画屋かざあなの川口です。

私たちは、世界無形文化遺産に登録されている細川紙をつくる和紙の里、埼玉県比企郡小川町で、

 世界的にも需要があるにも関わらず、生産農家さんが少ない手漉き和紙に不可欠な原料“トロロアオイ(ねり)”をみんなで育て、

小川町の和紙職人さんと一緒に、和紙をもっと多くの人に広めたいと考え、

2021年から「わしのねり」プロジェクトを進めています。


私は自身でさまざまなノートを作ってきたなかで和紙と出会い惚れ込み、和紙に書き留めることで感性が豊かになる感覚をいろいろな人に伝えたいと思い、字が綺麗に浮いて見え、欧州ではチェック柄として馴染みのある市松罫の和紙ノートを開発し、パリで販売をはじめました。

ノートを欧州で販売するなかで、自然から作られた日本の伝統工芸に対し、海外の方の方が価値を認めていることに気づかされ、和紙の原料をたどることになりました。

そこで知ったのが、トロロアオイの生産不足、農家さん減少による手漉き和紙存続の危機です。

2021年より「わしのねり」プロジェクトを立ち上げ、今までに全国216名の方とトロロアオイの栽培をはじめ、約150kgを出荷することができました。

出荷時の様子 右:小川町トロロアオイ生産組合会長 黒沢岩吉さん

トロロアオイの栽培にはなかなか難しい部分もあるのですが、このプロジェクトで培ったノウハウにより段々と良いトロロアオイを育てられるようになってきています。

活動していくなかで、農家さんの労力の割に価格が見合わない「買取価格」の問題が見えてきました。

以前はトロロアオイの根が手漉き和紙の原料として使われ、それ以外の茎や葉が食品に使われることで、なんとか農家さんの採算がとれるものでした。

今では、その流通や加工方法は途絶えてしまっていましたが、昨年より新たな食品化に向けて動き出しはじめました。

また、インバウンドで和紙の生産量が上がり、トロロアオイがもっと必要になると想像していましたが、現場はそうなっていないのが現状です。

トロロアオイの生産は本当に難しいですが、この和紙業界の問題をひとつひとつ丁寧に解決して、和紙を後世に残せたらと活動しています。


薄くて丈夫で保存性が高いことで世界的に知られている日本の和紙ですが、この薄くて丈夫な和紙を作るには、原料となる『ねり(トロロアオイ)』が必要不可欠です。

手漉き和紙は、水のなかに楮などの植物の繊維を拡散させて漉くことで繊維同士を絡ませて紙にしていきます。

しかし、水よりも重い繊維は、水だけで漉くと水中で拡散させてもすぐに沈殿してしまいます。

水が抜ける速度が早すぎるため繊維が均等になりません。

そこでトロロアオイの根を叩いて出てくる『ねり』を使います。

『ねり』が水中で繊維をコーティングし、均等に分散して浮遊させます。


『ねり』の助けによって簀(す)の上に繊維を長く留め、簀桁(すけた)を揺することで繊維をより一層絡ませることができ、世界でも評価される薄く強い紙ができあがるのです。



この重要な役割を担う『ねり(トロロアオイ)』は、全国的に生産者が高齢化し減少しています。

また、昨今の異常気象により、不作になるエリアがでたりと生産量が不安定な年があります。

その年にトロロアオイが生産できなければ、和紙が漉けない=和紙が作れない=職人が食べていけないという状況になります。


「わしのねり」は、参加型クラウドファンディングとなっており、一般の皆さんも一緒に育て、農家さんや職人さんとの交流を通じて、多くの方に参加いただき、農家さんや職人さんの励みになってきました。

立ち上げから3年になり、北は北海道、南は宮古島まで、毎年約70名の方にプロジェクトにご参加いただき、トロロアオイを育てていただきました。

家庭での栽培について、ノウハウが蓄積され立派なトロロアオイを育てられる方も出てきました。

また昨年、事務局は全国各地の産地にお伺いし、トロロアオイの実態と使用法やニーズなどをヒアリングしてきたことで、さらなるトロロアオイの可能性と流通の問題を把握することができました。

1年目は24名の方が、2年目は34名の方が、3年目は38名の方が根を育てるまでに行き着き出荷※いただきました。

出荷にはA・B・規格外とあり、だんだんA・Bランクの良質なトロロアオイを出荷できるようになってきました。

※根は出荷いただきますが、できが悪かった根や茎、葉、夏に咲く花や蕾はご家庭で調理することができます。

種は毎年良質な根を育てているトロロアオイ生産組合の方から、分けていただいています。
注)家庭菜園用とは種が異なります。また、雑種や種用に育てていないトロロアオイはねりの出が悪いことがわかりました。

わしのねりプロジェクトは、この種を各家庭で育て、その根を送っていただくことで、トロロアオイ農家さんに寄贈し、手漉き和紙制作現場に回していただく仕組みです。

育てていただいた方にも和紙を使っていただくため、わしのねりプロジェクトで育てたトロロアオイで漉いたユネスコ登録の細川紙一筆箋や食品などを返礼品としてお送りさせていただくとともに、A・Bランクに入った方には、細川紙での感謝状をお送りさせていただいています。

※栽培途中でうまくいかなくなったとしても、参加者の方には、プロジェクトでできたトロロアオイを使って漉いた、一筆箋やしおりに使える和紙をお送りさせていただきます。


種蒔きは梅雨前(5月中旬〜下旬)。夏に花が咲き、秋頃(11月上旬)に収穫できます。

栽培するにあたり、虫の付きにくい家の中で育てるには深い鉢が必要になります。庭では、土を柔らかくした状態にする必要があります。場所は日当たりの良い温暖なところが理想的。栽培中には状況等を情報共有したり、農家さんから話を聞いたりして、参加者のみなさんと一緒に育てていきます。

収穫・郵送いただいた『ねり』はトロロアオイの農家さんの組合に寄贈し、生産者と消費者がつながれる品評会や実際に小川町に来ていただいての収穫体験や手漉き体験も開催しています。



2023年は、わしのねりメンバーで38名の方が最後まで根を育てることができ、トータル約50kgを出荷することができました。A・Bランクを多く出荷できるようになりましたが、出荷量はわずかに増加という結果でした。
また、各産地を回ることで日本で一番の和紙の生産量を誇る越前では、特Aが必要とのことがわかりました。
今回新たに特Aランクの目標を設けたいと考えています。

トロロアオイは連作が難しい植物です。昨年できたとしても今年は病気になりやすいということもあり、最後まで根を育てきれるように安定栽培に向けてメンバーで情報共有していくとともに、昨年全国の各産地にお伺いしてきたことで、育てるにあたっての注意点もより見えてきました。マニュアルをバージョンアップしていきます。


約2年かけ、やっとトロロアオイの粉末を活用した食品を提供します!
ひとつめは、トロロアオイのとろみを活かし、有機の里小川町の野菜とともに食べていただきたい「トロロアオイ万能ソース」
ふたつめは、蕎麦で有名な長野県小諸市で再現された「トロロアオイをつなぎにしたお蕎麦」
みっつめは、可能性は無限大!「トロロアオイの粉末」

トロロアオイの根は和紙の原料に使われていますが、古くから漢方に使用されたり、東日本大震災以前には、かまぼこや蕎麦のつなぎにも使われていた食品です。花は一日花のため、一般にはあまり流通しませんが、高級料亭で出されるようなこともあります。

現在では、トロロアオイは根だけが使われ、根のみの買取価格であることから、生産コストがまったく見合わず農家さんはボランティア状態になってしまっています。以前のように根以外の葉や茎を活用※することで、農家さんの買取価格をあげてトロロアオイ農業の支援につなげることを考えています。

※過去にどのように食品に使われていたか、震災により廃業してしまったため、わからない状況で色々な方に話を聞いたり、元の流通に再度使用できないか歩き回ったりしていました。

2022年の取り組みで乾燥・粉末化まで進めることができ、和ビーガン料理人本道佳子先生に見ていただき、食材としての可能性を引き出していただきました。
2023年になり、効率の良い乾燥・粉末化方法が見えてきました。
トロロアオイは、茎や葉にもオクラのようなとろみがあり、絡み合わせたり、つなぎになります。
今期では、実際に提供するとともに、より効率の良い粉末化を見出したいと考えています。


しっかりとしたとろみが出るねりを作るには純然な種が必要です。
トロロアオイは、周りのアオイ科の植物の花粉で種を作ってしまい、その種で育てるとねりが弱いトロロアオイが育ってしまいます。カタチは立派でもねりが弱くては職人さんに迷惑がかかるとともに、和紙のコストアップに繋がってしまいます。
純然なトロロアオイの種を育てて、農家さんをはじめ皆さんに配布できるよう、プロジェクトのメンバーで純然な種用のトロロアオイを小川町の畑で育てたいと考えています。
毎週は難しいですから、交代制や行けるときに行くような仕組みを考えています。


今年は、細川紙、石州半紙、本美濃紙がユネスコ登録されて10年になる記念の年です。

和紙の魅力を再発見できるような商品開発や発表を考えています。
現時点でもメンバーが制作をしているものもありますが、作家や企業などとコラボレーションしていきます。
職人さんと一緒に動いているプロジェクトならではの展開を楽しみにしていてください。


小川町からも近い内山紙で有名な長野県ではじめているプロジェクトがあります。
長野県内の神社さん(ほか栃木県、宮城県)でトロロアオイを育てていただき、1年中和紙が生産できるよう小諸市にある氷風穴で夏まで保存。そのトロロアオイを使って漉いていただいた内山紙を御朱印に使用する取り組みをはじめています。
この輪をもっと広げることで、内山紙の職人さんに仕事が増えると考えています。
内山紙は、雪の上に楮を晒すことで白い和紙が漉ける「雪さらし」という製法をとっており、島崎藤村が原稿に使用していたことでも有名な和紙です。
その存続が危ういなか、県内の神社さんのご厚意によりはじまった取り組みです。
手漉き和紙の御朱印は味わい深く、また陽に当たればあたるほど白くなるという和紙本来の特性による経年変化も楽しむことができます。この長野モデルを確立し、他県にも広がればと考えています。



このプロジェクトを通して、小川町のトロロアオイ農家さんや紙漉き職人さんとつながってっていただき、わたしたちが農家さんや職人さんを想い、農家さんや職人さんはわたしたちを思って野菜や和紙を作っていただくいい関係が生まれてきています。

この関係こそが、和紙業界の課題解決につながるとともに、世界に誇れる日本の和紙を盛り上げていけると信じています。

わしのねりも4年目に突入しますが、回を重ねるごとに、プロジェクト参加者の意見やアイディアからカタチになったものや、自分自身で小川町の和紙から商品を作られる方も出てきています。

今回やっと食品化にたどり着けたトロロアオイ万能ソース。

メンバーのなかから楽しみながら育てて欲しいという想いからできたインテリア和紙ポッド(昨年のバージョンアップ)。

通常だと捨ててしまう楮のガラ棒を活用した木炭アートチョーク。

トロロアオイを育てながら、こんなことできたら面白いんじゃないという妄想や気づきを楽しんでいただけたら幸いです。



2024年3月〜4月  わしのねり参加者募集・クラウドファンディング
2024年3月〜4月 わしのねり第四期開始記念説明会開催
2024年5月上旬    種、マニュアル発送
2024年5月中旬    育て方説明会・農家さん訪問・ライブ配信 
2024年5月下旬   種まき
          希望者で農業体験会開催
〜         情報共有・ 月1寄合(リアル&ZOOM)
2024年8月予定    希望者でトロロアオイ畑お手伝い会
2024年10月下旬  収穫体験イベント開催
2024年11月上旬  トロロアオイ収穫・品評会・出荷
          紙漉き和紙職人さんにお渡し
2024年11月中旬 トロロアオイ乾燥・粉末化
2025年12月頃  ユネスコ登録10周年記念和紙新商品発表
2025年1〜2月     トロロアオイ加工食品・感謝状配布   


目標金額:840,000円

 ・「わしのねり」プロジェクト運営費 123,200円
  ※家庭菜園用トロロアオイの育て方マニュアル作成・印刷・配布作業
  ※トロロアオイ成長定点撮影記録配信
  ※収穫体験・情報交流会・品評会開催、SNS管理
    ※和紙体験学習センター使用料
・支援者様へのリターン費 490,000円
  ※トロロアオイの種・育て方マニュアル以外にかかる費用
  ※新商品開発費(リターン品)
・CAMPFIREへの手数料(17%+消費税) 226,800円


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

本プロジェクトに関し、わしのねり参加メンバー、トロロアオイ生産組合、紙漉き職人さん、小川町役場、小川町の農家さん、小川町の飲食店さん、水上製本所、氷風穴の里保存会さん、全国の和紙の産地さん、神社さん、企画屋かざあなオンラインサロンメンバーをはじめ、たくさんの方々に支えていただき、起ち上げて3年間プロジェクトを運営することができました。

NHKの番組や新聞、ラジオをはじめ、さまざまなメディアにも取りあげていただきました。

本プロジェクトは生産するぞ!和紙はいいものだぞ!という使命感もありますが、参加者のみなさまに楽しく育てていただき、農家さん、職人さんとつながる楽しさを感じていただけたら幸いです。

参加される方がいると、農家さんも職人さんも張り合いが出るのか、本プロジェクトの進捗を楽しみにされており、参加者との交流を楽しみにしています。

また、全国の和紙産地に伺った際にも、トロロアオイの重要性や必要性が強く熱望されていることを実感しました。

1年目には、化学糊などもよく耳にしましたが、若い職人さんも入ってきはじめ、化学的なものを使うことの疑念を感じる方が増えてきているとともに、消費者もナチュラルなものを求められる方が増えているようです。

今回の「わしのねり」は4年目となり、農家さん、紙漉き職人さん、消費者がつながる伝統工芸のこれからのモデルとなり、自然をとりこむ同化感覚を持つ日本だからできる持続可能な社会に向けて、新しい循環の仕組みづくりに向けて確実に歩んでいると実感しています。 ぜひ、一緒に楽しんで「ねり(トロロアオイ)」を育ててみませんか。和紙に触れてみませんか。

ご参加・ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。


<募集方式について>

本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

  • 2024/04/12 10:00

    2021年に始動したわしのねりプロジェクトも3年が経ち、4年目を迎えます。これまでに約200名の方々が参加され、この農家さん、職人さん、一般の方の環は広がってきています。わしのねりの根幹になりますトロロアオイを育てて農家さん、職人さんに届けることにより、信頼関係が構築され、壁のない関係から様々...

  • 2024/04/09 10:00

    募集から早々に、ご参加及びご支援いただき、誠にありがとうございます。本プロジェクトは今年で4年目を迎えるまでに来ました。ここまでこれたことに感謝いたします。数年に渡ってご参加いただけている方もいらっしゃいますが、今回からはじめて参加される方のために、今までの経緯や今後の展望について、また和紙の...

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